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残業代に差がつく❗『シフト制』と『変形労働時間制』の違い知ってますか?【一問一答】

障がい福祉サービス事業所や介護事業所で、『シフト制』による勤務をされている方は多いと思います。
でも、「シフト制と変形労働時間制の違いって何ですか?」って聞くと「えっ一緒じゃないの?」っていう方も多いのではないでしょうか。
今回は、そのあたりを一問一答形式でお伝えしたいと思います。

Q1 『シフト制』と『変形労働時間制』って何が違うの?

A1 簡単に言うと労使協定があるかないかです(例外あり)。変形労働時間制労使協定は結構細かくルールを定める必要があるのでちょっと面倒くさいですね。

Q2 それぞれ向いている事業所ってあるの?

A2 前提として、平均所定労働時間を40時間とします。この場合に
★事業所A(例 月8時間、火8、水6、木6、金6、日6)
★事業所B(例 月8、水8、木8、土8、日8 *従業員ごとに休日が異なる)
★事業所C(例 月8、火10、水6、木7、金9)
★事業所D(例 月10、火10、水10、木10)
という4つの事業所があった場合に次のようになります。

事業所Aは週6日勤務ですが、1日8時間以下、週40時間以下ですので、時間外割増賃金は発生しません。そのため、シフト制で問題ありません。

事業所Bはいわゆる『変形休日制』というもので、休日が一定ではないという状態ですね。これもシフト制の1種ですが、運用上は法定休日がいつになるかを明確にする必要があると考えます。
就業規則に「週の最初の休日を法定休日とする」や「法定休日はシフト表に記載する」といった定めが必要になりますかねー。

事業所Cと事業所Dは1日8時間を超えているので、『変形労働時間制』をおすすめします。

Q3 『変形労働時間制』ってどういうものがあるの?

A3 基本的には4種類です。しかし介護・障がい福祉・保育事業所は『1ヶ月単位の変形労働時間制』がほとんどですね。

Q4 なぜ他の3種類の変形労働時間制は使えないの?

A4 まず『1週間単の非定型的型変形労働時間制』は飲食店など一部の業種に限定されていて、福祉事業では使えません。

『フレックス制』は、職員がいない時間が発生する可能性があるので、おそらく認められないと考えます。

『1年単位の変形労働時間制』は、ちょっと微妙でして、神戸市の『障害福祉サービス事業 指導監査基準(処遇編)』の着眼点に「1ヶ月を超えた変形労働時間制を採用する場合は、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出ているか。」っていう記載があって、認められる余地はあるんですよ。
ただ、「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」は1ヶ月(28日)単位なんで、変なことはしないほうがいいかもしれません。
もちろん、放課後等デイサービスなんかは長期休暇による労働時間の変動が大きいので、指定権者に相談して導入するのは「あり」かもしれませんね。

Q5 じゃあ『1ヶ月単位の変形労働時間制』で注意するポイントってあるの?

A 例えば31日の月で、土日が8日あったとすれば、23日勤務なので、1日8時間勤務だと184時間になりますよね。でも総枠ルールっていうのがあって31日の月は177.1時間を超えた部分の6.9時間は1.25倍の割増賃金が必要です。

Q6 バカか!時間外割増手当を払いたくねーから変形労働時間制を導入するんじゃねーのかよ!出直してこい!!

A6 (うるせー、クソ!)じゃあ、とっておきの方法をお伝えしますよ。

『1ヶ月単位の変形労働時間制』は1ヶ月以内、つまり2週間単位や4週間単位でもOKなんです。例えば4週間単位の変形労働時間制なら160時間(週1回以上休み)の設定になるんで、その範囲なら時間外割増賃金は不要になります。事業所C、事業所Dでも問題ありません。

Q7 それいいじゃん!

A7 ただ、賃金の計算期間とはズレちゃうし、シフトの作成のタイミングなんかも大変かもですね。
あとは1日あたりの平均所定労働時間を7時間42分以下に変更するかですね。結局は事業所にあった方法を選択することが大切ですね。


おまけ

社労士西山としては、変形労働時間制は4週間単位の変形労働時間制をオススメしますね。1日7時間42分としたら短くなった労働時間分どうするのかって話ですし。

まぁ「1日8時間×5日で残業なし」っていうのが労使ともに最良ですけどね😊

シフト制については、こちらもご参考ください✨
厚生労働省 いわゆる「シフト制」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.htm

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