見出し画像

経営者は人事評価から逃げないでほしい

こんにちは、ナザレです。
今回は、経営者の人事評価に対する姿勢について書いていきます。

皆さんの会社では誰が人事評価を行いますか?
上司? 人事部? 規模によりさまざまでしょう。
しかし、中小企業、もっと言えば社員数が30人未満の会社になってくると、経営者自身が評価をしているケースは多いと実感します。
もちろん30人くらいですから、中間管理職を置くのもコストですし、人事部なんてものを作ることも難しいという理由で経営者がやらざるを得ない状況もあります。

私が見てきた中でも社員数30人未満の会社というのはけっこう多い。
世の中は大企業が幅を利かせているように見えるが、実際は社員数の少ない会社もかなり存在しているというのが日本の現状だ。

そんな小規模な会社であっても社員がいる限り評価の問題はついてまわる。
誰をどういう給与・賞与にするかというのは、どんな組織にも存在する課題なのだ。
とはいえ、大企業のような大袈裟な評価制度を持っている小規模会社は少ない。
というか、そんなにしっかり作っても社長一人で運用できないというのが実情だ。
そんなわけだから、社長が一人じっくり考えて評価するということも実際には起きている。

ここで問題なのは、社員から「なぜ私の評価が低いのか」と問い詰められたりすることがあるからなのだ。
一応、「君は〇〇が△△だからだよ」と伝えるものの、あまりわかってくれない。
場合によってはさらに不満をぶつけてきて、会社批判までする。
なんとかなだめるわけだが、心身ともに疲れ果ててしまいます。
そして、自分一人で評価すると客観性がなく、社員が納得しづらいのではないかと考えてしまう。
その行き着く先が、経営者以外に幹部(中間管理職など)を作って、その幹部たちと評価をすれば客観性が出るし「これは会社の評価だから」と言えるのではないか?という考え方です。

この考え自体はいいと思います。
社員のためにもっと透明で客観的な評価を目指したいという想いがあるのであれば、それは社員にとってもメリットのあることだと思います。しかし、「会社の評価だと伝えれば、社員も経営者に文句を言いづらいだろう」などという打算があるのだとしたら、それは不純な考え方だと思います。

経営者が評価に対する責任を負わなかったら、その下の幹部連中も適当に評価したら、言い訳がましくなったり、逃げる姿勢をとるでしょう。
幹部に責任を負わせるような経営者と一緒に仕事をしたい人はいないでしょう。

また、小規模会社で経営者一人で評価をつける場合、幹部は評価に関わらないわけですから、一人一人の社員の評価に対してコメントしたり励ましたりすることができます。
でも、幹部が関わっていると、励ますことは難しい。
例えば、ある社員に対して経営者と幹部が低い評価をつけたとします。
自分たちで低い評価をつけたわけですから、その社員を励ますことはできないでしょう。
「がんばろうぜ!」と言ったところで「あなたが低い評価をつけたんでしょう!」と言われるのがオチです。

一番深刻だと思うのは、12〜13人くらいの規模で、幹部が5人くらいいる場合です。
これは実際に存在したケースですが、全社員の半分程度が評価に関わっていて、もし自分が低い評価だった場合、皆さんだったらどう思いますか?
会社の半分から「お前の評価は低いんだぞ」と言われているような気になりませんか?
幹部の人たちからすれば、小規模会社だからすぐ近くに低評価を下した社員がいるわけです。
低評価社員からすれば、自分を低評価にした人たちが特定できるわけですから、毎日モヤモヤした気持ちで仕事をすることになります。
低評価にしたくせにニコニコ話しかけてきたりするわけですから、なんともやるせない気持ちになります。

こうなってくると、幹部と一般社員の分断が起こってきます。
お互いが対立関係になってしまい、上司が部下に指示をしようにも、言うことを素直に聞いてくれなくなったりします。
会社の半分から嫌われたと思い込んだ社員は、当然やめていきます。
大企業だと、直属の上司は評価してくれないけれど、他の上司は評価してくれるかもしれないと希望を持つこともできます。
人事部も評価に目を通しますから、上司だけの主観にとらわれない評価も期待できます。
しかし、今回紹介した小規模会社のケースでは、どうあがいても幹部5人が評価をするわけです。評価を上げられればそれに越したことはありませんが、そのモチベーションが湧くかどうか、転職した方が早いかもしれません。

この評価体制で得をするのは経営者です。
みんなで出した評価だから、会社の評価と言い放つわけで、それで責任はかなり分散されます。
「私だけの評価じゃない、みんなで考えた客観的な評価だ」
そんな逃げの口上で社員が納得するわけはありません。

私は、複数人で評価を下すことが悪いと言っているわけではありません。
経営者が責任を分散させるためにやっているのだとしたら、そのように誤解されるようなことがあったのだとしたら、それは良くないことだと言っているだけです。

社員からの追及の矢を受け、そこで悩み、考え、社員と対話していく、不満を解決していく、そういう経営者のもとで働きたいと考えている人はたくさんいます。
責任を負いたくないなら、評価制度なんて作らないほうがいい。
別になくても、そこまで大きな問題にはならないはずです。

綺麗事だと言われる方もたくさんいると思います。
確かにそうかもしれません。
実践するのはとても難しい。
文句を言われたら嫌になります。
誰だってそうです。
でも、評価をすると決めた以上は、経営者が逃げずに責任を負ってほしいのです。
逃げずに向き合うことで、きっと社員もついてくるも思います。
そういう人と一緒に仕事がしたいと考えている人たちは、たくさんいるはずです。

この記事が参加している募集

人事の仕事

この経験に学べ

読んでいただき、ありがとうございました。面白い記事だと思っていただければ嬉しいです。応援として頂いたサポートは、また良質なコンテンツ作成に使わせていただきます。もちろんフォローも大歓迎です!