見出し画像

パニック障害と私の一年間

以前の投稿にも書いた通り、私は産後まもなくパニック障害を発症しました。

そして、通院を始めてからちょうど丸一年になります。

自分なりにパニック障害と向き合ってきたこの一年間のことを振り返ってみたいと思います。

はじめに

2020年の3月に妊娠が判明。
妊娠中、つわりや出血などのトラブルはあったもののメンタル面は終始良好でした。

そして11月後半、出産当日。
あまりの痛みと苦しみに過呼吸気味になり、陣痛の波の合間に「あれ?ちょっと気がおかしくなりそうかも」という予感が一瞬よぎりましたが、不安になる間も無く次の陣痛に襲われたため、その時は特に発作は起こりませんでした。
産んだ後は痛みからの解放やら達成感やら子どもと会えた喜びやらでそれどころではありませんでした。

しかし出産から2日後、唐突にその時は来ました。

私が入院していたクリニックでは、産婦向けサービスとしてフットマッサージのサービスがあります。
アロマを使ったリラクゼーションということで私も楽しみにしていました。

そしてマッサージタイム。
セラピストさんがホットタオルを顔にかけてくれて、オイルを使ってマッサージ…
気持ちよくて至福の時間でしたが、ふとこんな事を思いました。
「そういえば私、こういう状況が苦手だったな…」と。

視界が塞がれる、身動きが取れない場面…
昔からこういう「逃げ場のない」環境に苦手意識があり、過去にいわゆる「パニック発作」らしきものを起こしたことがありました。

その事を思い出してから、急に冷や汗が出てきました。
そして次の瞬間、頭がカーッとして心臓がバクバクし、手汗が止まらなくなりました。
脳みそがバグって、交感神経が異様にたかぶって、気が遠くなるような感じ…
「早くマッサージ終われ…」と心の中で念じつつ、なんとか乗り切りました。

それからは「またあの発作状態になったらどうしよう」という不安・緊張が常に付きまといました。
大事なプレゼンや面接の前など、極度の緊張状態になることは誰にでもあると思いますが、私の場合はそれが24時間続く感じです。
それと同時に「育児があるから病院にも通えないよな…」という心配もありました。

退院後はとりあえず「自分は大丈夫、大丈夫」と言い聞かせながら過ごしていましたが、軽度の発作や予期不安の連続の中の育児、やっぱり限界でした。
「病気になってしまったみたい。つらいけどこの子の世話があるから病院にいけない。どうしよう。」と夫に相談したところ、「とりあえず病院の予約を取ろう。その日に合わせて半休をとるから安心して」と言ってくれました。

こうして私は通院することになり、「パニック障害」の診断を受けたのです。

通院について

近場にある精神科・心療内科を標榜する病院に通っています。
なぜこの病院を選んだかというと単純に家から近くて通いやすいから、それだけの理由でした。
なので、もっと近いところにメンタルクリニックがあればそちらを選んでいたと思います。

この病院の患者の大半は高齢者です。
認知症の治療に力を入れているため、高齢者の方が多いようです。
若めの人も見かけますが、患者本人なのか高齢者の方の付き添いなのかはわかりません。
私もその環境に埋もれることが出来るので、気持ち的には楽です。

高齢者がメイン層の病院だとパニック障害の治療には向いていないのでは…とも思いましたが、私の主治医の先生はしっかり話を聞いてくれる&処方についても色々と考慮してくれるため信頼しています。
喋りも穏やかで、高圧的なところがないので話すだけでも気持ちが落ち着きます。
一人一人の診察に時間をかけてくれる分、待ち時間が長いのがネックですが…

大体1ヶ月半〜2ヶ月くらいの間隔で通院していて、その日は夫が半休を取って息子の面倒を見てくれています。

処方薬について

・毎日飲むもの

・レクサプロ(抗うつ薬)
・レスタス(超長時間型のベンゾ系抗不安薬)
・抑肝散陳皮半夏(漢方)

「不安になりにくい心」の土台を作っています。

抗うつ薬?と思われるかもしれませんが、レクサプロはパニック障害にもよく処方される薬のようです。(私はうつ症状は特に出ていません)
レスタスは作用時間がめちゃくちゃ長い抗不安薬です。一般的に作用時間が長いほど依存性が低いとのことで、なるべく頓服薬に頼らなくて良いようにこれを飲んでいます。

そして最近、漢方を飲み始めました。抑肝散は有名ですよね。実際に抑肝散で抗不安薬をやめることに成功したケースもあったそうで、先生の提案で試してみることになりました。

・頓服薬

産婦人科退院時にとりあえず処方してもらったデパス(抗不安効果が強く、即効性がある)をそのまま継続していたのですが、とりわけ依存性が高いと言われるデパスを飲み続けることはやはり抵抗があったため、

・ワイパックス(中間型の抗不安薬)

に変更になりました。
予期不安が強まり「やばい予感がする…」と思った時には無理せずにこれを服用します。
いずれにせよ依存性があることには変わりはないので、本当はあまり飲まないようにはしたいんですけどね。
ただ、一時期よりは頓服薬を飲む頻度は減ってきたな、と感じます。ひどい時は毎日飲んでたので…

デパスはまだ残っているので、これは既に発作が起きてしまった時の最終的な切り札として持ち歩くことにしています。「お守り代わり」というやつです。

今目指しているのは頓服に頼る回数をさらに減らすことです。
そしてゆくゆくはレクサプロ、レスタスも断薬に向けて動いていければいいなと思っています。

生活について

私はうつ症状は出ていないので、発作も予期不安もない状態では基本的に元気です。人並みに落ち込むことはありますが、希死念慮とかは全然無いです。
ただ長時間の外出や「身動きが取れない場所」には未だに恐怖心があります。

私の場合、最初の試練は息子のお宮参りでした。
祈祷の時間が20分ほどあるようで、その間じっと過ごすことに果たして耐えられるのか…

先生からは、
「身動きが取れなくても、人がいるところは安心だと思えばいいんですよ。一人で倒れるより怖くないです。人って意外と優しいんですよ。」
「事前に自分がパニック障害だと伝えることで安心材料になるなら、どんどん伝えるのも良いかもしれません。」
などの助言を頂きました。

なので、お寺に予約電話をする際に思い切って
「自分には持病があり、発作が起きる可能性があります。そのような場合、途中退席は可能ですか?」と相談しました。

断られるかな…と思いましたが、「大丈夫ですよ。主役であるお子さんを他のご家族に預けていただければ、お母さんは退席して外の空気を吸いに行っていただいても良いですよ。」との返答でした。
このお陰でだいぶ気持ちが和らぎ、無事に20分間の祈祷を受けることができました。

美容院は、今まで通っていた大きめのところからオーナーが一人で切り盛りしている近所のところに乗りかえました。
マンツーマンの方が落ち着くかも…というのと、予防的に頓服を飲んで臨むので、車じゃなくて徒歩で行ける場所が良かった、というのが理由です。

こちらも予約の際に、あらかじめパニック障害持ちである事を伝えました。
オーナーも若い頃に同じような発作が起きた経験があったそうで、「キツくなったらすぐ言ってね」と理解を示してくれました。
(それでも長時間の拘束はまだ辛いので、カットだけお願いしてカラーは自宅でセルフでやっていますが…)

パート先(現在籍だけ置いており、産休育休の手当は貰っていません)にも事情を話し、この状態では復帰は難しいかもしれないと正直に話したところ、「復帰の時期は決めなくていい。今は治療に専念して、やっぱりダメだ…と思ったらその時に決断をすれば良いよ。」と言っていただきました。本当に有り難いです。

また、友達10人ほどとオンライン飲みをした際にも思い切って打ち明けてみました。
なんと私以外にも2人、パニック障害の経験者がいてびっくり!経験者だからこそのアドバイスを色々くれて、心に沁みました。

先生の言う「人って意外と優しいんですよ」の意味を身をもって体感した一年になりました。

また個人的にとても嬉しかったのは、一人で映画館に行けたことです。
真っ暗で大音量、人が沢山いる環境、席によっては身動きが取りづらい…
私の苦手な要素が詰まった場所ですが、大好きな「僕のヒーローアカデミア」の新作映画をどうしても観に行きたかったのです。

公開直後は混んでいるだろうと思い、公開から2ヶ月ほど経った頃に行きました。
事前に空席表をチェックし、発作が起きてもすぐに抜けられるように通路側に狙いを絞り、少しでもリラックスして過ごせるように広々空間でフカフカのVIPシートを予約しました。(500円追加で払うだけ。しかもワンドリンクついてくるのでコスパ高し!)

そしていざ映画館へ!
自分なりに対策したおかげで、約2時間集中して映画を楽しむことが出来ました。
「こんな自分でも映画館に行けた…」というのは大きな自信になりました。

こんな、普通なら当たり前に出来ることに対していちいち「できた!」と喜んでいる自分はなんなんだろう…と思うこともありますが、自分を褒めるハードルが下がるということは自己肯定感の向上にも繋がるような気もします。

これからについて

もちろん寛解が一番の望みですが、今は「焦って治そうとするよりはこの病気と上手く付き合っていこう」という気持ちでいます。

なかなか手強い病気だな…と焦ることもありますが、焦っても何も良いことがないのは身をもって理解しています。

また個人的には「自分に合ったリラックス方法を見つける」ことが結構大事だと思いました。

その時々でブームが違うのですが、
・セルフお灸
・ミンティアを食べてスッキリする
・ノーズミント
・産後エクササイズ
なんかは結構良い気分転換になりました。

今は頭皮マッサージや無印のフレグランスにハマっています。

あとは息子の存在が最大の癒しです!これは間違いない。
私がこんな感じなので二人目は考えられない分、息子を全力で可愛がっていくつもりです。

これからこの子にも色々苦労をかけちゃうのかな…と思うと暗い気持ちになりますが、先のことは考えすぎない!あくまで向き合うのは”今”!と思うようにしています。 

おわりに

私は自分のことを「メンタルだけは安定してるな〜」なんて呑気に思っていたのですが、そんな私にも突然パニック発作が襲いかかってきたので、本当に誰でもなる可能性があるものなんだな…と感じています。

また、思い切って周囲にカミングアウトすることで「私もパニック障害だったよ」「鬱でメンクリ通ってたことある」などの反応をもらうことがあり驚きました。
案外、メンタル系の病気って身近なものなんだな…と実感した一年でもあります。

よく「真面目で責任感の強い人ほどなりやすい傾向にある」なんて言われていますが、私は真面目でもないし責任感もよわよわの適当人間なので…未だに「なんで私パニック障害になったんだろう?」なんて思うこともあります。

とにかく健康第一なので、皆さんも「あれ?なんか心身の調子がおかしいかも?」と思ったら一度病院に行くことをオススメします!いのちだいじに!

※はじめて「ですます調」で書いてみたけど意外と難しかったので、次回からはいつも通りの感じに戻します。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?