コード感のあるアドリブソロとは

ジャズのアドリブソロはコード感を出さなくてはいけない(から難しい)というようなことが耳にすることがあるのですが、聞くたびにこれはなんか違うなと感じます。
確かにコード感を出すことで良いサウンドになることは多いと思いますし、できないよりかはできた方がいいとは思いますが、コード感を出さなければいけないかというと、必ずしもそうではないと思います。

■偏ったジャズアドリブのイメージ

ギターだと、いきなりジャズから始める人はかなり少なくて、大体はロック系もしくはアコギ系から始めると思いますが、アドリブという話だと、流れ的にはまずペンタトニックを覚えて、ブルースとか1コードとか、コードがシンプルな土台の上で練習していく思います。

そういった状態からいざジャズをやってみよう!となると、ジャズはコード進行が複雑で、コード進行に沿った演奏をしなければならない = ソロも常にコード感を出さないといけない、というような考えになっていくフシがあります。

またこれに加えて、ジャズの教材や、講師(?)がこういったことを広めている感じもあります。
(個人的には、もし講師がコード感を”””出さなければいけない”””と教えていたら、なんちゃってなのではと思いますが)

もちろんコード進行に沿ったソロを弾くことは必須ではありますが、常にコード感を出さなければいけないかと言えばそんなことはありません。

■ コード感=コードトーンという先入観

コードを構成するのはコードトーンなので、コード感を出すためにはコードトーンを中心にしてソロを弾く必要がある、というのは誰もが考えると思いますし、これは確かに正しいです。

ただしここで問題になるのは、コードトーンだけでアドリブソロを弾き続けるのはとても難しく、またそれができたとしても自由な演奏にはほど遠いということです。
また、すでに述べてきていますが、ソロを弾くのにあたって、常にコード感を出す必要はありません。

あるいは別の視点から見てみると、コード進行自体がコード感を出してくれるという側面もあります。

■コードが進行していればコード感は出る

たとえば下記のフレーズを、一方は1コードで、もう一方はⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行で弾いた時、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ進行上で弾いた方がなにやらコード感のようなものが出ているように聴こえると思います。

コード感

これを無理に説明してみると、KEYのスケール上の音は、1,2音のアボイドノートを除けばコードトーンとテンションノートで構成されているため、例えば適当に弾いたとしても各コードで意図的にテンションノートやコードトーンを使っているように聴こえる ⇒ コード感のようなものが出ていると感じる、という感じだと思います。

また、例えば1つのコード上でスケールを順に8音弾いたとしたら、その中には確実にコードトーンが含まれているので、コード感も当然出ると言えるでしょう。

このように、コードトーンを無理に入れようとしなくても、コード進行の上でスケールの音を弾いていけば、コード感(もしくはコード感のようなもの)が出てくるわけです。
(反対に、例えば1コード上でコードトーンを弾き続けていても、コードが進行がしないためコード感が出ているのか出ていないのかよくわからなくなってくると思います)

■何を考えて弾けば良いのか

とすると、スケールの音を弾くのであれば何を弾いても良いのか?というと、なかなかそうもいきません。

ジャズのアドリブで重要なのは、コード感よりも、サウンドしているかしていないかで、特にサウンドしていないフレージングを排除していくことが非常に重要です。

これはどういうことかと言うと、過去記事でも書いていますが、例えばオモテ拍から弾き始めるとダサいのでウラ拍から入るようにするとか、変に音を飛ばさずに順番に弾いていく、というようなことで、またサウンドしていないフレーズを排除するにはサウンドしているフレーズを知る必要があるため、定型フレーズの練習も重要になってきます。

それと、アボイドノートを長い音符で弾くのも避ける必要があります。
どの音がアボイドノートなのかについては別途覚える必要がありますが、おそらく伴奏に合わせて弾いてみれば明らかに違和感があると思うので、演奏中に違和感を感じたらすぐ隣の音を弾いてやるなどすれば、一応避けることができると思います。

また、コード感という意味で言うと、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ進行であればⅠのコード上ではコードトーンを弾くなどして解決感を出してやると良いと思います。
(もちろん、解決感を出さない時があってもOKです)

■サウンドしている、とは

ジャズの演奏はできる限り自由であるべきなので、この音が理論上合っているのかどうかみたいな考えよりも、サウンドしているかしていないか、極端に言えば自分が良いサウンドだと思うかどうかを優先した方が良いと思っています。
そう考えるとやはり、コード感を出すとか出さないとかそういうことがそれほど重要ではないということがわかってくるのではないでしょうか。

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