歌うようにフレーズを弾くとはなんなのか

「歌うようにフレーズを弾け」(もしくは「歌わせるように」)とはよく言われる言葉ですが、正直抽象的なので、このアドバイスだけで歌うように弾くことを体現するのは難しいと思います。

この言葉が聞かれる状況は2種類あり、1つは既存のフレーズを弾く際のアーティキュレーション(音の強弱などのこと)の付け方を示す場合、もう1つはアドリブソロを自分で作る場合です。

既存のフレーズを弾く際の話で言えば、恐らくその後にある程度具体的な指示が出ているはずなので、ここでは言及しません。
ここで言及するのは後者の、アドリブソロを弾く際のアドバイスとして発せられるケースです。

■典型的な抽象的アドバイス

このアドバイスは、きちんとした演奏ができる人が言う場合と、微妙な演奏をする人が言う場合の2つがあり、前者は演奏を言語化していないか、もしくは詳細に説明する気がないということだと思いますが、後者は抽象的なアドバイスをすることで優位に立ちたいという考えから発せられることが多いように思います。(個人の感想)

「実際に歌ってみるといいよ」というような発言も併せて見られますが、方法論を知らず、また経験のない状態では、歌ってみても良いフレーズは中々浮かばないというのが実際のところだと思います。

■歌うようにアドリブを弾くとは

これは、メロディックにアドリブを弾くという風に言い換えることができると思います。
フレーズをメロディックに聴かせる方法の例としては、順次進行でフレーズを作る方法と、モチーフを活用する方法があります。

①順次進行のフレーズ
順次進行とはスケールの音を2度動かすということで、つまり順々にスケールの隣の音を弾いていくということです。

スケールの音を並べて弾くのはダサいと思われがちですが、これは結局音の並べ方の問題で、オモテ拍からドレミファソー、ソファミレドーと弾くのはダサいですが、下記のようにウラ拍から弾き始めたり4分音符を上手く使ってやったりするとメロディックに聴こえてくると思います。

歌うフレーズ1

②モチーフを活用したフレーズ
この方法は、例えば4音程度のモチーフフレーズを作り、音の動かし方や譜割を似せたフレーズを続けて弾いていく方法です。

この方法を使うとコール&レスポンスのような雰囲気が出ますし、フレーズ間にまとまりが生まれるため、演奏に説得力を出すことができます。
なお、モチーフは全部のフレーズに完全に適用する必要はなく、多少譜割などが違うフレーズが間に入っても問題ありません。

歌うフレーズ2

凝った音の組み合わせを作ろうとするとアドリブでは難しくなりますが、①の順次進行の動きと組み合わせる方法であれば、比較的簡単にモチーフを生かしたソロを作ることができると思います。

歌うフレーズ3

上記①②以外にもメロディックに聴こえるフレーズの仕組みがあると思いますので、メロディックだと感じるフレーズやソロ、もしくはメロディーを見つけたら分析してみてください。

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