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【マッチ工場の少女】もとい、ネズミ捕りの少女

早い話が、一夜限りのお遊びだと自分を弄んだ男に復讐する少女の話です。

※以降、結末もお話しますのでご注意ください。
タイトルの通り、主人公のイリスはマッチ工場で低賃金で働いています。
家には無職っぽい母と無職っぽい母の彼氏がいて、一人で彼らを養っている様子。おまけに家事労働をしているのもイリス!
母と義父はいつもいつもソファに座って煙草吸ってるだけ!

ある日イリスは給料日に1着のドレスを衝動買いします。
母は返品して来いと怒り、義父にいたってはイリスを殴ります。
イリスは家出。ドレスを着てバーに行き、ある男と目が合い、関係を持ちました。

ところがその後の男は電話もくれないし会ってもくれない。
やがて言われた言葉は、「これっぽっちも愛してない」
ガーーーーーーーーン。

その後も色々あり、イリスは男をネズミのように殺す、そんなあらすじです。

この映画の最高なところは、誰にも肩入れすることなく容赦がないところ。
イリス側にも、男側にも、観客側にも容赦がない。
「これっぽっちも愛してない」なんて、そうそう言われない。言うこともない。
それにセリフも最小限。
余計なシーンがひとつもない。
だから、結局男たちが死んだのか、一命を取り留めたのかも描かれない。
イリス自身の容赦なさもいい。
男を殺鼠剤で殺すのですが、お店で殺鼠剤を買う時の、
イリス「効果はどう?」
店員「イチコロ」
イリス「最高」
この短いやり取りが素晴らしいです。
もうまるでこの子に躊躇いはないのだな、とわかるシーンです。

男に殺鼠剤を飲ませただけでなく、イリスは母・義父・知らない男にまでも殺鼠剤を飲ませます。
ここが重要なポイントです。
知らない人も!??
母親も『良き母』とは言えませんが、イリスがとある事で深く傷ついた時には心配する様子を見せていたり、家出から戻ったイリスを当然のように迎えたり、母親らしい一面もあったのに、無感情に殺られたわけです。

苦しむ母と義父を見ている時も無表情。
警察に捕まる時も無表情。
『壊れちゃった』
そんな解釈がしっくりきました。

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