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日帰り18きっぷ旅(主に兵庫県)

 青春18きっぷが一回分余っていたので使ってきた。18きっぷ旅をするぞ!っていうときは、大抵張り切って始発に乗ったりだとか、行けるところまで行って泊まったりだとか、住んでいる地域(近畿)を超えて使用することが多かったのだけど、日帰りでさっくりと、しかしながらもなかなかに充実した旅路を経て帰ってきました。

近所の桜。曇天。

 朝起きて、洗濯機をまわして、洗濯物を干してから駅に。始まりはいつも、京都駅。昨日の昼過ぎから続いていた雨が止んだものの、なにやら悪天候の影響もあり、各線でダイヤの大幅な乱れが生じていたため、思い描いていたルートとは別の方向の電車に飛び乗る。遅れが生じているので乗客も多く、電車で1時間と少し立ちっぱなしで揺られて、明石駅で下車。

 明石駅で降りたわけは単純。お昼ごはんがてら、明石で明石焼きを食べてみたいなー!と思ったのだ。駅前の商業施設に大きな本屋さんが入っていたので、職場で使う用のボールペンと、Xでバズっていたメガネがずり落ちないグッズを見つけたので買うなどする。明石の情報を知るべく、ガイドブックコーナーなどをチラリと見る。ほうほう、なんか有名な立ち飲み屋さんがあるのねぇ。

 駅ビルのすぐ裏に、明石のおいしい魚介類が揃っている「魚の棚商店街」がある。魚屋さんや明石焼きのお店や、寿司店、穴子屋さんなど、なかなかの活気。さて、明石焼き屋さんに行こう!どこに入ろう!お、昼休みっぽいサラリーマンたちが入って行ったぞ!ここにしよう!
 ……と思ったけれど、財布の中に一万円札しか入っていないのを思い出して、細かいのにくずさなきゃと使命感にかられて、近くにあった魚屋さんでいかなごの釘煮(生姜)を購入。なんかおいしそうな雰囲気がしていたんだよ。

地元では うおんたな って呼ぶらしいよwant you(ヤジマリー風)

 個人商店とか飲食店とかで一万円札を出さないといけないとき、「すいません、大きいんですけど〜」と言ってしまうのは、おばあちゃんやお母さんの影響なんだろな。

 いかなごの釘煮が入ったビニール袋をぶら下げて、さっきサラリーマンが連れ立って入店していた明石焼き屋さんのお店へ。

その名前明石焼き(GO)

 座敷とテーブルと一人掛けのカウンター席があるこぢんまりとした店内には、私のような観光客と近くから来たであろう常連っぽい家族連れの方、半々ぐらいの割合でいらっしゃいました。明石焼きとミニ生ビールのセットを注文すると、ビールと一緒に面白いものが運ばれてきました。
 それは…「漢字テスト」…!!!写真を載せるとネタバレになっちゃいそうなので控えるけども、私の出された問題は読み仮名を書く10問で、正解率に応じて代金から割り引いてもらえるというものでした。(6問で5%、8問で10%、全問正解で20%)

私は4問しか正解できませんでした!(漢検二級)

 明石焼きは、ぷりぷりフワフワで、優しくて熱々でおいしかった!今日はちょっと寒かったから、体が温まったよー。

明石焼きを乗せて出てくる台は手前に少し傾いていて、手前のものから台の塗りのハゲが少ない。明石焼きの滞在時間が長いと思われる箇所は、台の塗りのハゲが激しい
店舗の軒先に立派な干物が干してあった

 駅前で美味しそうなパンを買い、明石駅からさらに電車で西に。大都会・姫路へ。駅前から太く伸びる大通りからは、立派な白鷺城こと姫路城がそびえ立っている。

とは言えど、なぜ肉眼で見ると遠くても立派な城やのに、カメラで撮ると小さくなるのだろうか

 雨が上がり、空には晴れ間がのぞいており空気も涼しく、さぞかし姫路城付近も桜などの花々が綺麗で見頃なんでしょうけど、姫路城には行かずに駅前の大きなアーケードつきの商店街へ。花屋さん、お仏壇屋さん、食器屋さんに文房具屋さんなどなど、私の住む街や地元でも昔はこんな店があったけど、もう閉店して無くなってしまったなあというような懐かしい雰囲気お店が活気を残したまま現存しており、賑やかでした。食器屋さんというか、業務用の食器屋さんでもあるような、大規模な食器屋さん。楽しくて、ついつい長居しちゃった。一日見ていられる。台東区のかっぱ橋道具筋の一角にありそうな、大きな食器屋さんでした。

 さて、ふわふわの明石焼をすぐに胃袋の中で消化してしまったので、喫茶店に。姫路名物の「アーモンドトースト」を食べてみたくて、Googleマップで調べたら現在地から近かった、なんかイカした名前のレトロな喫茶店へ。

その名も「珈琲&洋菓子 大陸」

 どうやら、姫路で一番古い喫茶店なんだそう。店内はなんかこう、、、他にお客さんが数組いたから店内の写真を撮るのを憚られたんだけど、メソポタミア文明やマヤ文明を思わせるヨーロッパっぽい調度品で、昭和レトロ喫茶店という枠にとどまらない、シックで荘厳な店内でした。
 それよりもびっくりしたのが、ブレンドコーヒーとアーモンドトーストを頼んだらさ、

\\サービスでケーキがついてきた!(右手前)//

 注文していないケーキがテーブルの上に置かれたので、びっくりして店員さんに「セットでこんなに大きいケーキが付くんですか…!?」と聞くと、「はい、ドリンクを頼まれたお客様に…☺️」とのことでした。後から来たカフェオレを注文したおばあちゃん二人組もまた、セットでケーキが付いてくるのを知らなかったみたいで、
「私ねえ、ケーキも食べたいなって思ってたんよ!」
「そうねそうね、ちょうどよかったね!すごいサービスね!」
と、とても嬉しそうで、見ていて微笑ましかったです。

 コーヒーは酸味がありさっぱりしていて飲みやすく、写真奥のアーモンドトーストは厚めの食パンの上にアーモンドクリームがちょっとこげてパリッじゅわっと苦味があって美味しく、ケーキはホワイトチョコレートとクリームの甘さが嬉しく、酸味・苦味・甘味の三位一体のマリアージュでした。落ち着いた雰囲気で、良い喫茶店だったな……。また行きたい。しかし、明石焼を食べた後に、トーストにケーキて、お腹いっぱいでパンパンのパンよ。

ティータイムサービス! こういうの見ると嬉しくなっちゃう。かわいい。大陸本社って字面、強い。

 姫路駅のビルの中のお店を回る。スリーコインズ、ニコアンド、ハンズ、ユニクロ、北野エース、ドラッグストア、服屋さんなどなど…平日夕方にこういう風にのんびりと商業施設をまわるなんてとても久しぶりな気がして、心がリラックスしているのを感じた。今住んでいる京都にもこれらの店はあるのだけれど、どこに行っても観光客がめちゃくちゃ多くて、ゆっくり落ち着いて買い物をする気持ちというか、もはや足を運ぶ気持ちになれないのが正直なところなのよね…。お客さんが来てくれるのは喜ばしいことなのだけれどね。
 今回は、自分が住んでいるエリアから少し離れて心に余裕があるからか、ゆっくりできてよかった。

🚃🌸⛰️

 さて、姫路からそのまま引き返して東に戻る…というのもなんだか芸がないので、姫路から北に播但線に乗って、和田山駅から山陰本線で帰ることにしました。

 まずは姫路駅から数十分ほどワンマン電車に乗り、兵庫県の福崎駅へ。ここは、柳田國男先生の生家がある土地です。

なので、駅前にかっぱのなんかこわいやつがあった

 この間、18きっぷと新幹線を乗り継いで盛岡に行ったのだが、その際に行けなかった遠野物語の舞台でもある遠野に、次は行きたいなと想いを馳せていたところだったので、柳田國男つながりでゆかりの地に下車できてよかった。
 福崎駅での乗り換え時間は20分ほどだったので、観光はできなかったけど、福崎市は妖怪をモチーフにした町おこしをしていて、市内中心部に妖怪のオブジェが点在しているらしくて面白そうだった。今度は晴れた日に、駅前でレンタサイクルを借りて回ってみたいな。

河童に尻子玉(人の肛門にあるらしい)を抜かれたら、溺死するらしい。こわ。我是河童て。

 電車はどんどんと町と町を繋ぎながら山中に進んでゆく。新生活が始まったばかりの高校生たちの会話が可愛くて、ついついイヤホンを外して盗み聞いてしまう。
 電車は揺れながらも、夢みたいな景色の中を走ってゆく。若い葉を携えた淡い色の野原、田んぼ、点在する満開の桜の木、薄暗くなりゆく空、古い家、墨色の雲と山、きっとこんな景色は今だけで、儚さにため息をついちゃうぐらいに幻想的でした。いい季節だな。来年ももし春の18きっぷを買ったら、桜の季節の平日に、西に向かって使いたい。

低彩度の春が好き〜!

 姫路から家の最寄りまでのおおよそ約5時間は、事前にダウンロードをしてきた韓ドラをお供に過ごしました。途中で泣いたり、車窓に目をやって桜の美しさにため息をついたり忙しくしており、かなり怪しい人間だったと思う。

 4月、新年度が始まって、なかなかに忙しくて仕事中は気持ちが休まらないけど、お休みにのんびり過ごしたら自分の状態が俯瞰して見れていいな。こういうゆっくり時間をこのタイミングで取られてよかった。

短い春よ


 

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