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【2023年】3月に読んだ本

『ミトンとふびん』吉本 ばなな

ヘルシンキ、ローマ、台北、香港、金沢、八丈島を舞台に、“別れ”の喪失感を抱える主人公たちの短編集。大切な人を失っても変わらず生きる日々を、激しい言葉や劇的な展開ではなく穏やかに淡々と描いていく。誰しもそれぞれにそれなりに傷がある。時間の力や他者の愛を借りながら、どうしようもないことを受け入れて明るい未来を少しだけ想像してみる希望が見えた。
「SINSIN AND THE MOUSE」「カロンテ」が好き。

『鏡のなかの鏡ー迷宮』ミヒャエル・エンデ

『モモ』『はてしない物語』のミヒャエル・エンデよる、現実世界を超えて鏡の中の迷宮へと導く奇想天外な30の連作短編集。書かれていることをそのまま理解するというよりかは、感覚的にその奇妙なゆがみを楽しむ作品だった。

『ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス』ミヒャエル・エンデ/ヴィーラント・フロインド

エンデが3章まで書いていた未完の作品に、子どもの頃からエンデ作品を愛読していた同じドイツの児童文学作家ヴィーラント・フロインドが書き継いで完成させた全16章の物語。エンデを愛する日本のjunaidaが表紙と挿絵を描き、一冊すべてがエンデへのリスペクトに満ちていて良かった。

『貧乏サヴァラン』森 茉莉

家事はまるで駄目だが食事はつくるのも食べるもの大得意な著者の美食エッセイ。森鴎外を父に持つ生粋のお嬢様さまの美意識に江戸っ子とパリジェンヌの気質がプラスされ「自分の世界」を生きる我の強さが好きだった。
マリアの気持ちでアイスティーを仕込んで寝たい。バタ、牛酪、バタア。(レトロな食べもの表記好き)

『虎のたましい 人魚の涙』くどう れいん

『わたしを空腹にしないほうがいい』『うたうおばけ』に続く、歌人くどうれいんさんの3冊目のエッセイ。(この2冊も良かった)
素直で豊かな感性を持つ20代の著者の感じる“今”を見つめているのが楽しい。
キートン山田、引退していたのか…。

『渡り鳥たちが語る科学夜話』全 卓樹

前作『銀河の片隅で科学夜話』に続く、科学×世界の美しい不思議。前作よりかなり難しくなっているように思う。その中でも以前に興味を持って勉強していたネットワークの話が出てくる第15夜「位階と不正の文化系統」やありとあらゆる生き物を何でも食べる司祭が出てくる第18夜「バックランド司祭と聖蹟」は軽く楽しめた。世の中で一番不味いのはモグラと黒蝿らしい。

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その他

研修作成用の資料として読んだ“フィードバック”がテーマの本。
●『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』中原 淳
●『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』ヴィランティ 牧野 祝子
●『対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』世古 詞一
●『みんなのフィードバック大全』三村 真宗


以上、3月に読んだ本でした。


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