皇治に学ぶ生き残る力

大晦日のRIZINの対戦カードの中で最も賛否両論あったカードといえば五味対皇治の試合だと思います。

皇治はK-1を離脱してから白鳥や森本狂犬などRISE系のファイターに度々戦いたいと言われていますが、皇治は君等では話題にならないとスルーし、ファイターやファンからは逃げていると言われてきました。

大晦日の前にはついにyoutuberのシバターからも逃げるなと言われてしまいました。

そこで今回は皇治について考察していきます。

話題先行になりがちな皇治ですが強さという観点で皇治の格闘技界におけるポジションを理解している人は少ないと思うのでまずは強さという部分から掘り下げてみます。

彼のキックボクシング通算成績は44戦27勝15敗2分です。(五味戦はキックなしなので含まず)

キックボクサーとしてはかなり優秀な部類に入る成績です。

40戦以上やっている時点でかなり希少だし、勝ち越し12というのも評価できるポイントです。

またHEATとISKAで王者になっており、通算の戦績とベルトの本数で見ればかなり上位の実力者です。

しかし、彼は実力よりも話題先行型と言われています。

RISEの白鳥を始めとする実力者の対戦要求をスルーしたり、会見でのスタイルがそう言われる所以なのだろうと思います。

次に彼の戦績の中で負けた相手を深堀りしましょう。

全部書くのは面倒なので主な所を挙げると京谷祐希、神戸翔太、前口太尊、町田光、不可思、卜部功也、大雅、小宮山工介、武尊、那須川天心です。

2015年のK-1グループ再参戦後に戦った相手は記憶にある方も多いと思いますが、京谷や前口、不可思と戦ったことがあると知っている人は少ないと思います。

そして彼が敵わなかった相手はほとんどがベルトを何本も巻ける業界を代表する強豪です。

彼が勝った相手で王者クラスだと卜部弘嵩、島野浩太朗、スタウロス、ヤン・サイコあたりです。

だから王者クラスとの試合では大幅に負け越しています。

ここで考えたいのが彼の実力はファン(というかアンチ)もすでにわかっているはずです。

キックボクシング業界では上位の実力者ではあるものの天心や武尊にはなれないキャラです。

つまりアンチを黙らせるほどの強さはありません。

もし彼が武尊や天心と方を並べるほど強ければあんなに会見ではしゃぐ必要はないです。

彼のYou Tubeを見たり、試合後に相手選手とやり取りしている姿を見ればわかりますが、彼は根からの悪人というかワルではないと思います。

そして皇治と戦った武尊が試合後に皇治を見直す発言があったことからも皇治がキックボクシングに真摯に取り組んでいることがわかります。

また、ファンは皇治が天心や武尊と肩を並べる実力はないことはわかっていると書きましたが、それ以上に本人が一番その現実を理解しているでしょう。

だからただ試合をして証明するのではなく、どうすれば人が見てくれるかという方向に舵を切ったのではないかと思います。

ファイターであれば誰だって天心や武尊のようになりたいと思うはずです。

ただほとんどのファイターが彼らのようになれないし、彼らほど強くない状態で当たり障りのないコメントや実力主義のカードを組んで試合を続けても中々人は振り向いてくれません。

皇治の実績はキックボクシング業界でもトップクラスと書きましたが、同じくらいの実績のファイターで皇治ほど一般人に知られている人はいないでしょう。

同程度の実績があれば他の仕事をしたときの名刺にはなると思います。例えば一般の企業で取引先の相手は元キックボクサーで約50戦して世界王者になったこともあると言われれば、他の営業マンと比べてもかなり強い印象に残ります。

ただ、格闘技業界で生きて金を稼ぐのであれば、その実力以上に集客を考える必要があり、それを実現するのはキックの実力は充分だけど世間一般にそこまで浸透しない白鳥戦より世間を巻き込んだ格闘技ブームのど真ん中に立っていた五味隆典戦の方が適しています。

また、皇治の立場からすれば40戦以上やって自分の実力と立ち位置を理解しているのに今更自分の実力を計るような白鳥戦はメリットがないと考えるのが普通でしょう。

それによく考えてもらいたいのが元々五味戦が決まる前にも彼は大晦日はチェ・ホンマンやボブ・サップとやりたいと言っていました。

彼がかつて練習拠点としていたシルバーウルフは魔裟斗が作ったジムで魔裟斗への尊敬も口にしたことがあったと思います。

魔裟斗が現役時代にボクサーやMMAファイターのKIDと大晦日に試合をすることはあってもボブ・サップやチェ・ホンマンなど競技の枠からはみ出した試合はやっていないし、オファーしたら「谷川舐めてんのか?」と一喝されていたでしょう。

つまり大晦日に大幅な体格差の試合をするある意味見世物的な役割を自ら進んでやっているし、それは元々キックボクシングを志した時の姿ではないということです。

でもこの業界で何をしたら生き残れるかというのを考えて今があるのだと思います。

これはすごい大事なことで一般の会社でも社長を志してもそこまで出世できない人が大半です。

あるいは他の夢でも自分が志したり憧れたりする人がいても自分の才能がそこまでではなかったということは往々にしてありえることです。

そうなったときに実力がないからといってその世界で生き残るのを諦めるのか他の手段を使ってでも何とか成り上がってやろう、生き残ってやろうと考えるかで人生はかなり違ってくるのではないかと思います。

現在、You Tubeで毎週土曜日に配信されている仮面ライダークウガで例えるならば皇治はズ・ゴオマ・グです。

ゴオマは未確認生命体3号かつズ集団なので普通に考えれば2話〜4話あたりで倒されているはずのキャラですが途中でダグバの力も手に入れつつ、クウガがゴ集団と戦っていた39話まで生き延びます。

・・・話が逸れました。

RIZINに来てから天心戦、五味戦と決まった時点でかなり炎上していた皇治ですが、彼を叩く人も一度自分に置き換えてなにかこれから自分が生きていく上で参考になるものがないか考えてみるのも良いと思います。

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