見出し画像

なんと自由なんだろう

'211025

弾丸だけれども綿密に練られた、そんな東京旅行だった。
たくさん刺激を受けたから文章にしたためたい、と思いながら、家に帰れば疲れて、気持ちが落ち着いて書かなくなってしまうだろうということで、今に至る。新幹線の中で今回の旅の総括を書きます。

今回は「人に会う」「美術館を巡る」を通して刺激を受けたかった。限られた人と限られたことをしてると脳みそが自分で考えるのをやめるから、それをどうにかしたく。

美術館、百聞は一見に如かず。いくら美術書を読んでも、podcastを聴いても、やっぱり訪れるのが一番良い。

1つ目は和田誠展。東京オペラシティ。よく演劇とか披露されてるイメージ。和田誠の名前は小さい頃に見ていたはずだけど、ちゃんと認知をしたのは1年前くらい。昔から本が大好きで、小学校の図書館で見つけた星新一の本。ちょっと潔癖だったから汚い本は触れなくて、新しい本が入ってきたらよくチェックしてた。その時に読んだのが星新一のショートショートシリーズだった。挿絵を担当していたのが和田誠。あとはタバコのhiliteのパッケージデザインをした人だっていうのも最近知った。それ以外は知らなかったんだけど、なんとなく興味が湧いて行った。

彼の生涯に渡る作品が3歳から没年まで並んでいた。それらを見ていくうち、私が個展を開くとしたら何か展示できるものってあるのだろうか、と考え込んでしまった。何もないわ。当時3歳の彼の作品は教育番組に出てくる絵の紹介コーナーのそれだった。同じ人間なんだと思った。みんな芸術家なんだなと。
描き続けるうちにコツや技法を掴んできたんでしょうね、と彼も語っていたらしい。和田誠展で感じたのは「継続は力なり」だった。ちなみにhiliteのデザインは彼が24歳の時。タバコを吸っていた人なのかは知らない。

2つ目はアナザー・エナジー展。podcastを聴いて行かねばならなぬ、と。森美術館で開催。数年前ぶりの訪問だった。とにかくたどり着くまでが迷路。着くや否や、作品のスケールや印象に全部持ってかれた。16人のアーティスト全員のインタビュー映像が公開されていて、この人のこの言葉好きだな、と感じながら回れたのも良かった。10代の頃からアーティストになることを決意して、そのまま50年以上続けていることについて、化け物だと思った。好きだから続ける、という人もいたし、やらなければならないという使命に感じている人もいたし、アーティストのモチベーションはさまざまだった。当たり前だけど。

作品を見ていく中で、ソーシャリーエンゲージドアートというものに出会った。参加者の対話・討論を通して、なんらかの社会変革をもたらそうとする活動を指すらしい。住宅街の通りを貸し切って、数十のスペースを設け、有志の参加者がイエローのスカーフを目印に付ける。そして好きなように語り合う。道端で知り合いと話しているみたいに。作品の観覧者は自分の興味のあるスペースへ行って耳を傾ける。社会運動とアートをとても直接的に表すことができる手段だと思った。

3つ目は光の系譜展。三菱一号館美術館。何せ外観がとても素敵。初めての訪問だった。私がアートと分類されるものに興味を持ち始めたのは2018年11月。ニューヨーク旅行でMoMAを訪れて以来、私の重要な関心事項であり続けている。instagramの広告で出てきたこの展覧会。しっかり顧客データ分析されてしまっている。だがしかしここは乗っかっていく。モネやゴーガン、ピカソなどなど著名な画家たちの作品が存在していたけど、ひとり。ついに見つけてしまった。見つけてしまったというよりか、探していなかったけど出会ってしまった。大好きな画家に。

レッサー・ユリィ。自然を描くときの色合いがダークトーンを含んでいて、見ていて落ち着くと同時に胸が躍る。家に飾って眺めていたいと思った。絵は買えないのでポストカードを買った。この人に会えただけで今回の東京の美術館巡りは意味のあるものでした。あ〜良い気分。

そんなわけで、「わざわざ」美術館を巡るために東京を訪れることについて味を占めた私は、これからももっと実行していきたいなと思う。

そして私の大切な友達たちにもっと会いたい。