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たき火で燃え広がる、親子の世界

普段火を見ることって、本当に減りましたよね。30年前と今、全然違う。
子供の頃、カップラーメンに使うお湯は、ガスコンロにヤカンを乗っけて沸かしていました。冬にはストーブの炎が居間で燃え盛っていましたし、仏壇のローソクに火を着けるのは好きだったような覚えがあります。

火を忘れてしまった僕と火を知らない息子は、薪を持ってキャンプ場へ向かうことになりました。そこで僕たちの世界は、大きく燃え広がることになるのです。


【大火】薪をいっぱい使ってみた

最初に手探りながら行ったデイキャンプで、初めてのたき火。
「空気を入れるのが大事」
そうどこかで教わり、風が通るような構造でやぐらのように薪を組んでみる。大量に。惜しみなく。ノットエコロジー。
着火剤の力を借りると、瞬く間に大きな炎になるんです。燃え移る先がそこら中にあるのだから、当然だと思います。
しかし…これは…本当につまらない!
絶対に勝てる相手と戦うよりも、勝てるかどうかわからない相手の方が燃えますよね?たき火だけに、燃えますよね?
薪はあっという間になくなってしまうし、炎は大きすぎて近寄りがたいし。コレジャナイ感と熱波が、僕たちをモワっと包み込みました。

これぞキャンプファイヤー

【小火】お世話しないと、即鎮火

小さなたき火って、なんだかかわいい。
料理ができたり、お湯を沸かしたり、細かい作業ができます。
1本から3本くらいの薪を使って、火種を段々移していく。
その作業が楽しいし、なかなか大変。
少し目を離すと、真っ白い塊になっていて白目をむいたことが何度もありました。寝ることが仕事の赤ちゃんがいつの間にか眠ってしまうように、さっきまで赤かった薪はスッと白ちゃんになってしまうのです。
隙間を作って、空気を通して、ちゃんと火を上げさせてあげるのが大事なお仕事。お世話し続けることが、たき火に関わった僕たちの使命。ミッション。燃やし続けろ、心の炎を。

火を繋げ、次の世代に

火を見るよりも明らか

人間ははるか昔に火を手にして、夜でも獣が近寄って来ない場所で安心して過ごし、食べ物に熱を通すことができるようになりました。僕たちのような最近の人間の、原点のようなものなんですね。
僕たち親子は、自然の中で改めてこの"火"というものをじっくり見ました。大きな火にも、小さな火にも、きっと大事なメッセージが、燃えるようなメッセージが込められているはずです。きっとそうだ。そうに違いない。
本当に燃えちゃったのでメッセージが何かはわかりませんが、この体験が日常で味わえない素晴らしいものであったのは確かです。
火を使わない生活でニヤニヤしながら暮らしている僕たちの世界が、たき火によってサーッと燃え広がった、そんなファイヤーなお話でした。

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