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パソコン音楽クラブ「See-Voice」によせて

すぐには何も思い出せなかった。 ただ緩い水の中にいるような、柔らかい霧の中にいるような感覚だけが残った。 堤防に立った。 小さな漁港で育った自分にとって海は、日常のそばにあるけれど、日常とは少し違う場所で、生臭くて、薄汚くて、少し危ないけれど、楽しい遊び場で、大きくて、怖くて、景色は良かったけれど、よく分からなくて、どこか不気味で、いつも死の匂いがする場所でもあった。海は、空で、風で、音だった。 海の見える堤防に座ると、なんだか感傷的になって、普段恥ずかしくて言えないような気

    • hyperpopに関する雑記

      ごく最近、このhyperpopという言葉をツイッター等で観測する機会がぐっと増えてきた感じがしている。 NYタイムズでこんな記事が出たり… 世界のちょっとオタクぽい音楽好きに特に好まれている印象があり、オタクであるおれも例に漏れずハマっています。 今のところ日本語ではまとまった情報もない(多分)ですが、日本でも一部音楽オタクの中では「今キてるやつ」くらいの共通認識が育まれているという感じがしており、さらにデカいムーブメントになりそうな予感がプンプン、なんか今の感じを忘れな

      • パソコン音楽クラブ「DREAM WALK」によせて

        音楽について語るとき、具体的な内容を語る事ができない。 音楽理論に関する知識も、背景となる文化の理解もほぼない。 ただ「良い!」とか「わからん!」とかそういう気持ちがあるだけだ。 それでも何か具体的な話をしようと足掻くと、自分の今まで触れてきた音楽(多くもなく、偏りもある)との共通点を必死に探す。 どこかで聞きかじったジャンル名やアーティスト名と無理矢理に紐づけて「○○っぽくて良い」なんて根拠のない偉そうなことを言うのだ。 アーティストのアティテュードや、実際のリファレン

      パソコン音楽クラブ「See-Voice」によせて