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千葉ロッテのグッズショップをレイアウトから分析してみた

こんにちは。スタジアムヲタクのモリチッチです。
2023/7/24にZOZOマリンスタジアムで行われたプロ野球、ロッテvsソフトバンクの試合を観戦してきました。9回裏に角中選手にサヨナラホームランを打たれ、12連敗を喫したホークスファンとして沈んだ心の中、この記事を書いてみました。

図1.マリーンズのグッズショップ

1.ショップの基本情報

ZOZOマリンスタジアムといえば、巨大なグッズショップが有名だと思います。今回の記事では、このグッズショップのレイアウトを数式を用いて解析していきたいと思います!

図2.グッズショップのレイアウト予想

以上の図がZOZOマリンスタジアムの店内レイアウト図のイメージです。縮尺や商品配置に正確度は欠きますが、大体のイメージだと思ってみてください。この店内レイアウトにはどんな工夫がされているのかということを紐解いていきたいと思います。

2.客単価のメカニズム

図3.スーパーマーケットにおいて購入された商品の種類
(流通経済研究所の資料をもとに作成)

この図は、スーパーマーケットで購入された商品の内、計画購買された商品と非計画購買された商品がどれくらいの割合だったかを表す円グラフです。計画購買は流通経済研究所の定義に従うと、「来店前にその商品を買うことを計画していたか」ということです。つまり、購入された商品の4分の3以上の商品はその場で購入を決めた商品になるということになります。リテール売り場では、予定していた商品を予定通り買える仕組みと、予定していなかった商品をついつい買ってしまう仕組みの二刀流で挑むのが効果的なのだと思います。

ところで、客単価はどのようなモデルで考えることができるでしょうか。
客単価=買上個数(←導線長×立寄率×買上率)×商品単価
流通経済研究所では以上のモデルが紹介されています。導線長は店内で来店客が歩く距離、立寄率は各商品の前に立ち止まる割合、買上率は立ち止まった観客がその商品を購入する割合です。導線長に絞って考えると、店内を歩き回れば歩き回るほど、多くの商品が目に入るため買上個数が上がるだろうというのは直感と合っているように思えます。

3.グッズの分類


図4.商品種類の分類マトリクス

では、このモデルをどのようにレイアウトに活かすのが最適なのでしょうか。以上のマトリクスは計画購買と、非計画購買されやすい商品を買上率(売れ行きの良さ)でさらに分類したものになります。「パワーカテゴリ型」は目的買いが多く、売り上げも大きいことからリテール売り場の花形であり、多くの来店客が立ち寄りたいと考えるでしょうから、店内の奥のほうに配置させるのが最適だと思います。なぜなら、それにより導線長が伸び、買上個数の増加が見込めるからです。「もう一品型」は、店内に置かれているのを見て、その場で「いいな」と思って買ってもらうようなカテゴリーです。つまり、このカテゴリーにとって重要なのは、一人でも多くの来店客の目に入ることになります。すると、主導線沿いに並べることが効果的になるといえるでしょう。


図5.商品分類の具体例

4.千葉ロッテマリーンズの解析

この分類をプロ野球グッズに当てはめるとこのような形になると思います。では、ZOZOマリンスタジアムのグッズショップではどのようなレイアウトとなっているのか再確認してみたいと思います。


図6.レイアウトの色分け図

マトリクスに対応した色で色分けして、僕なりに分類したのが異常の店内図です。特徴として、青色の「もう一品型」が主導線付近に配置されています。これによって、レジまでの経路で必ず1度は通るため、ついつい買ってしまうという来店客が多くなると思います。

また、緑色の店外露出重視型が主導線から離れた場所に置くということが徹底されているという特徴もあると思います。プロ野球グッズの場合、これらのグッズは単価が高い場合が多く、カゴに入れる直前に悩んでしまう人が多いため、主導線から離れたところで時間をとれる配慮をされているのではないでしょうか。

赤色のパワーカテゴリ型は店舗奥に配置したほうが導線長が伸びると指摘しましたが、マリーンズの場合には入り口付近に置かれていました。これはおそらく、オペレーション上の理由も影響しているのだと思います。例えば佐々木朗希選手グッズの棚にはマグカップなど、壊れやすいものもあったため、壁沿いの安定した場所で販売したいという事情があるのだと思いました。

パワーカテゴリ型の配置を考える以外にもメモリアル品の展示位置を変更することも効果的ではないかと感じました。ショップ内には投手の初勝利時ユニフォームやサインボールなどの展示が散りばめられていました。レイアウトを考える目的は導線長を長くすることなので、その目的を果たすという意味では、有名選手のメモリアル品を店舗右奥などの位置に展示するということも効果的になるのではないかと感じました。ただし、マリーンズのショップの場合、奥で販売されているカテゴリーは買上率が比較的低い商品だと推測できるので、インパクトがどれほど大きいかは議論が必要だと思いました。

5.おわり

今回はマリーンズのリテールショップをレイアウトから切り込んでみました。「プロ野球」という同一業界でもショップの形式はチームごとに特徴的だと思います。その違いに着目して、その背景にある意図を探ってみると面白いと思います。
ご意見、ご感想等、ぜひお聞かせください!

参考文献


流通経済研究所、「インストア・マーチャンダイジング」2023/5/23

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