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薦めたい定額制動画配信サービス首位のNetflix(ネットフリックス)

甘井先竭(かんせいせんけつ)
→ 旨い水のでる井戸は、多くの人が汲みに来るので他の井戸より先に涸れてしまう意から、才能のある人ほど早く衰退するたとえ。

流行のスピードが加速し続けている。

この流れはしばらく続くというか変化をしながら、さらにスピードが上がっていくだろう。

それほどまでに今の時代はコンテンツが溢れかえっている。

そして、一昔前の検索する時代からレコメンドの時代がデフォルトになりつつある。

ここ数年ですっかり世の中に浸透したのが定額制動画配信サービスだろう。

薦めたい定額制動画配信サービス

日経ビジネスの調査によると、Netflix(ネットフリックス)が首位だった。

一貫しているのが、コンテンツである作品そのものへの投資を拡大すると同時に、画面上での利用者への見せ方も工夫している。

一説によると、Netflixにはフォーマットが準備されているという。

山場をどこに持ってくるとか、1話をどこで区切るかといった細かい組み立てを、分単位あるいは秒単位で管理しているとも噂されている。

そのフォーマットにどのように色付けしていくのか、企画の部分を全世界に募集しているというダイナミックな戦略を取っている。

世界最大級となったNetflixのコンテンツ制作費は年間で170億ドル(約1兆8,500億円)以上という計画であることが、2021年の第1四半期の決算書から読み取れる。

今後、Disny+(ディズニープラス)やPrime Video(アマゾン)などの他社の定額制動画配信サービスの追い上げが想定され、業界の競争が一層激しくなりそうだ。

日経ビジネスの調査結果から読み解くNetflix

日経ビジネスの調査は消費者1万人を対象に、あるブランドをどれだけ友人や同僚に薦めたいかを11段階で選んでもらう、顧客推奨度(NPS)だ。

10~9点を選んだ人を推奨者、6点以下を批判者とし、全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いてスコアを算出するというものだ。

この調査から、ブランドへの信頼、愛着の度合いがわかるというものだ。

そんな調査で、定額制動画配信サービスの分野で首位となったNetflixは、2015年に日本に上陸し、会員数は500万人を超えている。

2020年の定額制配信サービスでの市場シェアは、19.5%で首位という状況である。

NPSマップを見ると、2位はdアニメストア、4位はDisny+(ディズニープラス)となっており、推奨者充足率が50%を超えており、9~10点を付けた推奨者が多いことがわかる。

NPSの数値だけで見ると、Prime VIdeo(アマゾン)は3位で、Disny+を上回っている。

ただ、推奨者の割合はDisny+よりも低いという結果になっている。

ファン特化よりも幅広い支持を狙うというAmazonの戦略が伺える。

改めて首位のNetflixを見ると、毎年日本円にして1兆円以上をかけて日本など世界各地でオリジナル作品を制作し、韓国発のイカゲームなどヒットを連発している。

この豊富な資金を背景にした質の高いコンテンツが、人気の理由だということは間違いないだろう。

ただ、それだけではなく、配信作品そのものや、Netflixという存在への関心を高める戦略が奏功しているとNetflixは発表している。

Netflixの戦略

Netflixの戦略の1つは、なんといっても徹底したサービスのパーソナライズ化が挙げられるだろう。

冒頭にも述べたが、もはや検索をするという文化がレコメンドという文化に変遷しつつある。

Netflixの持つレコメンデーション機能は重層的で、視聴履歴などを基に関心のありそうな作品を画面に並べること以外にも工夫がある。

例えば、サイトを開いたときに出てくるサムネイル画像のキーアートだ。

1作品につき1種類の画像だけが作られて表示されていると考える人は多いかもしれないが、Netflixは多い場合には20種類以上作るという。

2019年から配信された、全裸監督のシーズン1の場合、作られたキーアートは19種類もある。

主演の山田孝之の上半身が裸でビデオカメラを担いでいるもの、山田孝之の目のアップ画像、作品内に登場する人物が数十枚のお金を掲げているものなど実に様々だ。

これらのキーアートのうち、どれがクリックされやすいかを視聴履歴を基にアルゴリズムで分析し、利用者ごとに違うものが表示されるというのである。

つまり、サスペンス系が好きな利用者であれば目をアップにしたキーアート、ロマンス系の作品が好きなら出演者が恋人同士のように寄り添っているキーアートといった具合だ。

そして、一定期間視聴されなければ別の画像に差し替え、利用者に再びアプローチするという徹底ぶりだ。


なにもサムネイル、キーアートだけではない。

Netflix(ネットフリックス)では、作品の見せ場をまとめた予告編も複数製作し、ユーザごとに表示されるものが変わっている。

サービス内で見られる作品のあらすじについてもパーソナライズされていて、その人に合ったものが表示されるように試験しているというのだ。

Netflixのサブスクリプションの料金は、画質や同時に見られるデバイス数などによって月額990~1980円(税込)の3種類ある。

いったん入会してもらえれば、積極的に視聴してもらえるようにブラッシュアップしなくてもいいと思っている人もいるかもしれない。

デジタルコンテンツ協会は25年の国内動画配信市場の規模を20年比35%増の5,020億円になると推計しており、放っておいても事業が自然に伸びそうなものだ。

しかし、現状はそんなに甘くない。

大事なのは新規の利用者獲得に加え、入会した後のチェーンレート、いわゆる解約率を抑えることだ。

作品数だけでは単純に比較できないが、料金だけを見るとPrime Video(アマゾン)は月額500円と安い。

長く利用してもらうには当然愛着心を持ってもらう必要があるが、そこの価格は重要だ。

このため、Netflixではサービス画面上の工夫に加え、2021年からはファンとの接点づくりに注力している。

例えば、2021年9月に開催した世界同時配信のオンラインイベントである、TUDUM(トゥ・ドゥーム)がそれだ。


Netflix(ネットフリックス)の主要作品の出演者や制作陣が各国から登場し、トークセッションを開催する。

また、作品の未公開映像を配信したり、新作を発表したりとNetflixを楽しんでもらえる仕掛けとして大々的に実施した。

ブラジルなど一部地域でファンイベントを開いていたが、世界規模で開催したのは初めてで、2,500万回以上視聴されたそうだ。

2021年12月にはイベントと同名のトゥ・ドゥームという名前の英語版ファンサイトを立ち上げている。

そこで撮影の裏側を紹介するなど、利用者らがより作品に愛着が湧くような仕組みを取り入れようとしている。

まとめ

相変わらず、Netflix(ネットフリックス)の勢いが衰えを知らない。

かくいう私も、ついNetflixの作品は見てしまっているので、まんまとNetflix側の戦略に引っかかっている側にいる。

一方で、なぜここまでつい見てしまうのか、そのあたりにも注目をしていて、自分たちで新たにサービスを立ち上げるときには、なにかしら役に立つものがあればという目線も忘れていない。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。