傾聴=心が健康でなければ務まらない
『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』
古宮昇 著
読了しました。
結論から言うと、自分の心が健康でなければ、他人の話に耳を傾けるのは難しいということが、よくわかる本でした。
傾聴に際し当たり前のことなのでしょうけれど、その基本的なことが抜け落ちておりました。
いかに今の自分の心が健康ではないかを、突きつけられたような気持ちにもなりました。
(母上との関係性を良好なものにしたい)
との想いから、傾聴について学ぼうと考えたのですが。
そもそもそれが"自分を救うための救世主願望"(第5章 傾聴を妨げる心の動き より)だったのかもしれないと。
"自分が役に立つ存在であることを確認したい"という気持ちが強く働くことを、救世主願望(メサイアコンプレックス)と呼ぶそうです。
この願望を抱く人は、自分自身に価値を感じられないため、他者を助けて自分の価値を確かめようとするとのこと。
(母上との関係を良好なものにしたい、母親の話をちゃんと聴ける娘でありたい)
という願望は、母上のためではなく、自分自身のためだったのかもしれないと。
献身的に働きかける一方で、相手が自分のことを必要とするようにコントロールしようともする、とも記されており、自分にもそういうところがあったなと思いました。
遡れば、晩年の父上に対しても同じような気持ち(当時はそれとは気づいていませんでしたが)で接したり、さまざまな手続きに奔走していたのかもしれません。
(自分の存在価値や存在意義を見出したいばかりに、両親を利用していたにすぎないのではないか?)
そんな風にも思いましたし、実際そうだったんだろうなと。
心が健康ではない上に、精神的に大人になりきれていない自分には、傾聴はハードルが高かったんだなと気付かされました。
そして、誤った中途半端な知識で傾聴の真似事をするのは、とても危険な行為だということもわかりました。
20年以上経った今も癒えない心の傷を抱えた自分は、傾聴をする側ではなく、される側なのかもしれないと感じた一冊でした。
と、自己嫌悪に陥りかけましたが、とても勉強になりましたよ。得られた気付きを今後に活かせたらいいなと思います。
改めて傾聴のプロは凄いなあと感じさせられました。
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