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過去の男と生きている

少し足を延ばして気になっていたカフェに来た。

すごく良い。

広い店内に洒落た家具や植物が無造作に点在されて、各テーブル人目が気にならない配置になっている。こりゃ長居できそうだ。

流れる音楽が少し大きいのが気になるけど。

泡だったアイスコーヒーも美味しいな。

なんて言う名前のコーヒーだっけ?

しかし、カフェだと言うのに一人で来ている客がいない。

みんな誰かと来ている。

普段なら一人でいることが気にならないのに今日は寂しい。

お気に入りの場所を見つけたのに誰かにシェアできないもどかしさからかな。

あぁ、これはたまにくる虚無感って奴か?

この感じまずいな。

ここの駅は、昔大好きだった人と来たことがある駅だ。次から次へと思い出が浮かび上がる。

あの時一緒に笑った会話を思い出しては今でも笑ってしまう。

忘れたいのに。

私はずっと過去の男と一緒に今を生きている。
そこには誰もいないのに。

毎日毎日過去を身に纏って生きている。

だから日々楽しくないのかな。

自分の感情がここにないみたい。

細い線でハートを描くけど、色は真っ白で中身は空っぽのような私の心。

意識が抜けて頭は重しがのってるみたい。

目を開けて真っ直ぐ見てるのに目の前には何も映ってない感覚。

なんだか魂が抜けてるような、なんだろうこの幽体離脱感は。

ああ、またこの感じ。

何かが全然足りない。

人がいっぱいいるのに席が死角になって誰からも見えないことをいいことに自撮りで遊んでみる。

肌汚っ。ブスやな〜。写真を即消去。

撮り直してこのままマッチングアプリでも登録してみようかな。

こんな時に一緒にお茶してくれる人いたらいい のにな。面倒臭いのは嫌だけど。
寂しさをうめてくれる都合のいい人が欲しいな。ストレスにならない人。
それか私を変えてくれるくらい好きな人が欲しい。そんな人いる?


ああ、足りない。

私は何を望んでるんだろう。

何が不満でどうやったら満足するのだろう。

素敵な場所で美味しい物を食べて幸せを提示されても心が全然満たされない。

どうやって生きていいかわからない。

今日のような日を懐かしく思う明るい未来が来るのだろうか。

今は全く見えないよ。

カフェの後、大好きだった人が住んでたマンションの前を通ってみた。

お腹いっぱいなのにあの日一緒に朝食をとったパン屋さんに入った。

何やってるんだか。

忘れたいあの頃を自分から思い出しにいくなんて、不幸せな女ってこうゆうことするんだろうな。

選択ひとつひとつが間違っている。

一体私は何がしたいんだろう。

あの頃は幸せだったと自分を正当化したいんだろうか。

一日が長いよ。

こんな日はいつまで続くんだろう。







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