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問題を先送りしないためにCEOに必要な人リスクの備えと覚悟

初期フェーズのスタートアップCEOが気をつけておくべきこととして、人リスクの備えと覚悟をしておくということが挙げられます。

人リスクの備えと覚悟をしておくとは誰にいつ辞められても何とかなるようにしておくということです。
この備えと覚悟がないために人の問題で我慢したり苦しんでいるCEOたちを見てきました。

注意すべき兆候

本来意見をぶつけていくべき相手と本音で話せない、話す時に緊張してしまう、やり取りする中で自分に自信がなくなる、相談できずに自分で抱え込んでしまうといった兆候が見られたら注意が必要です。

自分と相手との関係性が順調ではない、相手と対等ではなく主従関係になってしまっているといったヘルシーではない状態に陥っているかもしれません。

一方で、相手と本気で対峙しない限りこの状態は変わらないだろうという深刻な状況に陥っていても、この問題を先送りにしてしまうことが往々にしてあります。

問題を先送りにする理由

渦中にいるCEOから大抵このようなコメントが返ってきます。

事業が回らなくなるから…
そうはいっても、自分に足りないスキルや専門性があるから…
ぶつかったら社内の雰囲気が悪くなるから…
今辞められたら、投資家からの印象が悪くなるから…

そして「良いところだってあるんです」「毎回そういうわけではないので」「自分にも非があるので」と自分自身を納得させようとします。

特に相手が自分より相当の経験値がある、自分では対応できない専門性がある、メンバーへの求心力や社外への知名度があるであったり、自分自身が目の前のことに必死で頭が回らないといった状態のときに発生する傾向があります。

その人が辞めてしまう時の様々なリスクが頭をよぎり、本来やるべき重大な決断や行動ができないのです。

人の問題は自然には解決しない

私の経験上、人の問題は自然に解決することはないと思っています。
本気でこの状況を変えたいと思うなら、相手が辞めるかもしれないという最悪ケースも想定して対峙していく必要があります。

一方で、辞めてしまったら事業そのものが回らなくなるかもという不安な気持ちもよくわかります。
CEOはどんな時であっても事業を回し続ける必要があります。だからこそ対峙と併せて万が一の備えが必要です。

どのように備えておくか

当たり前のようでできていない人が多いのが「相手がやっている内容を把握しておく」ということです。
例えば把握すべき相手がCTOだった時の例で挙げると、自身がコードを書けるようにしておくということではありません。誰と連携しながら、何をやっているのかという粒度での理解ということです。
そして全部を把握するということではなく、特に影響度が大きく緊急性が高いものを優先しましょう。おそらく大半の企業はお客様へのサービス提供に直結するところになると思われます。

実務の代替ができるようにしておくということではなく(もちろん代替できるに越したことはないものの)会社にとってどのようなことを誰と進めているのか、今どのような状況なのかということを理解しておくことが重要です。

また、辞めた場合のシミュレーションとバックアッププランも想定しておきましょう。
最悪この部分は内部メンバーで対応できそうだ、あてになりそうな外部にお願いできそうか、一時的に機能しない箇所があった時に会社にとってクリティカルかなど考えを巡らせて、必要に応じて手を打っておきましょう。

このようなことをお伝えすると、冷たい、他人だからそう言えるんだと思われるかもしれません。
でも対峙しなかったがゆえに組織が崩壊していったり、お互いが不幸になったケースを見てきたり経験してきました。繰り返しになりますが、人の問題は自然には解決しません。

CEOがやるべきは先の先まで考えたうえで会社のために手を打っていくことです。
今、この記事に挙げた兆候を感じている方は、今の状態に向き合っていきましょう。

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