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Stationery Diary Page16/はさみ

今回のテーマは「はさみ」。小学生のお子さんは夏休みの自由研究や工作などでも「はさみ」を使う機会も多いかと思いますが、今回は、はさみの歴史と、お子さん向けのはさみについてお話したいと思います。

まず、はさみには大きく分けて二種類の形が存在します。アルファベットのUのような形をした「U字型」と刃が二つクロスしている形状の「X型」です。U字型は、1本の鉄をU字型に曲げてあり「にぎりばさみ」や「和ばさみ」とも言われるもので、裁縫の際によく使う「糸切りばさみ」を思い浮かべていただくとわかりやすいと思います。一方、X型は、「洋ばさみ」とも言われており、二つの鉄を交差して作られています。

そして、このはさみですが、なんと、紀元前1500年ごろからあったと言われていまますが、古代ギリシア時代の紀元前1000年ごろに作られたとみられるU字型の握りばさみが現存する最古のはさみとされています。主に、羊の毛を刈るための道具としてU字型のはさみが使われていたそうです。

そして、X型のはさみは、古代ローマ時代に作られたものが現存する最古のものと言われています。紀元27年頃には、羊の毛を刈るだけでなく、布を切ったり髪の毛を切ったりとさまざまな使い方がされるようになっていたそうです。

では、日本には、いつごろはさみがやってきたのでしょうか。日本に伝来したのは、6世紀ごろ。U字型をした中国の握りばさみだったそうです。源頼朝の妻である北条政子が使っていた菊の紋章入りの握りばさみが現存しており、化粧道具として使っていたのではないかと言われています。X型に関しても、奈良の正倉院から発見されているそうなので、少なくとも奈良時代には伝わっていたと考えられています。

その後、はさみも時代が進むにつれて進化をしていきました。日本では、文明開化の流れに乗り明治時代に洋服の生地が輸入されるようになったと同時に、布を裁つためのはさみも海外から入ってきました。しかし、当時のはさみは、重く、日本人が持つには大きすぎて使い勝手が悪かったそうです。そこで、古くから刀を作っていた刀鍛冶がその技術を生かし、改良を重ねて日本人向けのはさみを製造するようになたtことで、広く洋ばさみが普及するようになりました。

そして、文房具としてのはさみが登場したのは19世紀末頃、フィンランドの『フィスカース(Fiskars)社』によって開発されました。その約80年後の1967年には、持ち手の部分に樹脂を使用し、軽くて使いやすいはさみの開発に成功。それまで、すべて金属製だった重くて使いにくかったはさみに革命を起こしました。

子供用のはさみ
子供用のはさみ


現在では、さまざまなはさみが製造販売されています。変わり種ですと、刃が複数枚ついていて細かく裁断することができる「シュレッダーばさみ」や「ペットボトルが切れるはさみ」やコンパクトな携帯用のはさみなどユニークなものもたくさんあります。

お子さん向けのはさみには、開く力を補助するために柄の部分にスプリングが付いたはさみがポピュラーです。主に2歳から5歳くらいまでお子さんにおすすめです。また、刃の部分に細かいギザギザが施してあり、刃も柄もすべてプラスチックできている安全性の高いはさみもあります。

ペットボトル用ののはさみ


また、工作が楽しくなるようなギザギザの形や波の形に切ることができるはさみもありますので、こうしたお子さん向けのはさみを安全に使いながら夏休みの工作を楽しんでいただけたらと思います。

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