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ハチの食べ方を考えてみる(仮:第1)

始めに。

先ず最初に二つお断りを入れさせてもらおうと思う。特に一番目の要項に不快感を示したのならば回れ右でブラウザを閉じてほしい。
・「虫をとって食う記事」であること
・  ひょっとしたら虫シリーズが続くかもしれないのでタイトルに仮で第1と表記すること。
以上のことに納得できる諸氏だけが閲覧するがよろしい。

〜出会い〜

ある日、庭で洗濯物を乾かそうとしていた時やたらに飛んできては周囲を警戒するハチの群れを見かけた。
我が家の庭はわりと広く家庭菜園や薬味、果樹までも植わっている。
そのため春から秋の終わりに様々はハチが来訪する。
ただ秋の終わり頃になると優良物件だと言わんばかりにアシナガバチの類いが営巣しようとする事が2年で1度程の頻度で繰り返される。
正味、私や虫好きな変わり者にとっては「スズメバチでもあらへんのにいちいち騒がんでもよろしゅうおす」くらいな出来事なのだが世間一般ではなかなかの緊急事態らしい。
事実何年か前にセグロアシナガバチが営巣した際には家族に叩き起こされ駆除させられたり去年は虫の事なんて毛ほども知らない無知なお隣さん苦情頼まれたので風化して住人もいないトックリバチの巣を撤去して”あげた”
今年は公道にも近い所で営巣されそうだったので根を張る前に排除することにした。
私は群れで社会生活を築くヒト科生命体の一個体なので泣く泣く私情を懐にしまい周りに配慮してハチをナイナイしよう。
見つけたんなら自分で業者くらい呼べよな!!!!

フタモンアシナガバチ。

庭を観察しているとどうやら4匹ほどの小さな群れらしく纏めてある木に巣を作ろうとしているようだ。

\コンニチワ!/

最初はこの辺に出るなら「セグロアシナガバチ」か「キアシナガバチ」?と思っておりただサイズが小さいので「ヤマトアシナガバチ」?かと思っていたのだが顔つきや色味から「フタモンアシナガバチ」であると確信した。
いずれにしろ排除するにしてもただ殺処分するのも寝覚めが悪いのでどうせなら食べてしまおうと考えついた。

…さて同定も終えたのでラム酒片手に網を振り回して4匹中3匹捕獲した。
20代過ぎた大人が片手に酒、片手に網持って庭で走り回ってるなんて完全に通報ムーブだ。場所が場所なら小中学校の不審者情報に載せられる案件だ。
皆は真似しないように。

ハチを食べるということを考える。


取り急ぎフタモンアシナガバチのラム酒漬け。

日本では長野や海のない県等でハチを食べる文化があるなんてわざわざ言及するほどの事でも無いし、野食の道を行く先人たちのブログやYouTubeなんかでも食べているところを見ることができ断じてゲテモノでは無い
国内で主に食用にされるのはスズメバチ科でありアシナガバチはどちらかというと物好きな人たちの食べ物といった扱いである。

私は別に昆虫食推奨派ではないし「虫を食べるんなら姿形を活かせ!」なんて言う人間ではないのだが今回はそのままの姿で受け入れられやすそうな料理を作ってみたいと思う。
しかしハチを丸のまま食べるなんてことはそれこそ1000年以上の歴史があるわけだし揚げたり醤油味で煮たりして「エビの風味がする〜」とありきたりな感想で纏めたくはないのでここで一旦立ち止まり少し思案してみよう。

①サイズと数が小さい少ないので刻んだり砕いたりはしない。
②味付けはシンプルに香辛料の類いは最低限。
③甲殻類特有の殻や足が気にならないような調理法。

この三つを押さえた上で導き出した料理は。
「アーモンドプラリネ」だ。
優しいシンプルな甘さとキャラメルでカリカリになり香ばしくなったアーモンドとなら違和感も無くきっと協調してくれるだろう。
Let's Try!

フタモンアシナガバチアーモンドプラリネ(詠唱)

素材の下ごしらえだが経験上ハチの成虫の羽は殻よりも足よりも舌に障るため毟り取った方が吉だ。

ブチッとな。

次はアーモンドをローストする。
丸のままのアーモンドより購入しやすくクリスピーになりやすいスライスアーモンドを使う事を推奨する。

所々茶色くなるまで弱火で炒める。

だんだんとキツネ色が付いてきたらここで先ほど羽を除いたフタモンアシナガバチを入れる。

投入のタイミングは大事!

普通のアーモンドプラリネならばアーモンドがキツネ色になったら火を止めて砂糖と水を入れるのだが今回はハチに火が通ってから入れる。
昆虫に限らずだが陸や河川等でとった動物というのは寄生虫やウイルスや細菌のリスクを大なり小なり持っている。
故にしっかりと加熱しなければならない。※冷凍で対処する方法もある。
何にしろ実行するなら事前に情報を集めておくのが肝要だ。
真似して病気or怪我したなんて言うのは一切責任取らんからな!
長々話したところでハチに火が通ったようだ。
加熱したアーモンドとハチを一旦取り出して空いた鍋に砂糖大さじ3 : 水大さじ1程度入れて溶かしていく。
焦げないように余熱や火加減に気をつけてうっすら飴色になったら先述の二つを投入して絡めて粗熱が取れたらバットに薄く伸ばし入れる。

ハチは下敷き状態。

冷めて固まったら取り出して砕いたらフタモンアシナガバチアーモンドプラリネの完成!

う〜ん、いい匂い!

フタモンアシナガバチアーモンドプラリネ実食+まとめ。

見た目が完ッ全に異物混入プラリネだ…。ここがスーパーならTwitterで大炎上してクソアフィカス野郎にまとめ記事を出されてしまうだろう。
まぁ今回はハチ食べることがメインだし人に振る舞うわけでもないから何の問題も無い。

イメージ適にはもっと琥珀みたいになるはずだったんだけどなぁ…

見れば見るほど砂糖菓子に巻き込まれて死んだハチだ。
個人の見解の範疇だが虫食べるときは極力ものを見ずに食べた方が脳が認識する前に口に運べるのでお試しあれ。

いただきまぁ〜〜…

先ず目論み通りカリカリと心地よい歯ごたえでハチの甲殻や足などは全く気にならない。
しかしやはり数が数、濃厚なハチ!みたいな感覚は無く「もっと捕まえればよかったかな…」という思いが湧いてくる。
だが根気強く咀嚼し続けていると砂糖の柔らかな甘みの奥から微かに感じるラム酒のフワッとした香りと控えめながら存在感をアピールするごく短い繊維のような食感と淡泊な味が感じられる。水分と脂質が全く無く旨みも感じられる最低限なカニの爪が表現としては一番近い気がする。
それでもプラリネに入れて浮いてる感じは無いし味付けも丁度よかったのでもっとハチの数を集めてアーモンドと半々にした上で再度作ってみても良さそうだ。

最初のが一番琥珀ぽかった。
ジュラシックパーク…。

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