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大学のセンセイの就職事情

大きい企業だと部長,次長,課長,係長のような役職があるように,大学のセンセイにもランクがある.現代の大学だと,教授,准教授,専任講師,助教が有名なランクで,他に助手(新),副手,教務職員が置かれる場合もある.また非常勤の教育職は非常勤講師,非常勤の研究職には特任教授や特任准教授があり,博士研究員というポストもある.

企業の場合,部長→次長→課長→係長のような指揮系統がはっきりしているケースが多いが,大学の場合だと教授→准教授→専任講師→助教という指揮系統が残っているケースは大変に少ない.専任講師あるいは助教のどちらか一方を置かない大学も多い.では大学がどうなっているのかというと,教授,准教授はまず確実に研究室またはゼミを主催している.大学や学部の方針によっては専任講師や助教も主催している場合があるし,助教だけは教授とペアを組むことになっている大学(学部)もある.

日本の企業の場合,企業内で徐々にランクを上げていくことがまだまだ多いだろう.一方大学の場合,学内でランクを上げていくケースは比較的少ない.学内昇進を禁止する内規を持つ大学もあるが「上のポストが埋まっている」問題に引っかかる場合や,学内の昇進基準が自身の領域とマッチしないことが原因となる場合も多い.

またアップ・オア・アウトが設定されている大学も多い.5年以内に昇進するか,外部へ移るかしなければならないのだ.5年連続勤務したら無期雇用に転換してもらえるはずだと気づいた方もおられるだろうが,厚労省の通達によって大学教員は例外とされている.

教員の昇進基準であるが,一般公募(採用)の基準とだいたい同じである.それは何かといえば,研究分野と研究業績である.学部や学科によって教育分野が決まっているので,そこからあまりにかけ離れた研究分野の人を採用するわけにはいかない.例えば,僕が仏文科の教員公募に応募しても書類選考で落とされるだろう.そもそもフランス語読めないし.

分野のマッチングの次に見られるのが研究業績である.逆に言うと,研究業績以外はわりと見てもらえない.どれだけ教育を頑張ろうと,どれだけ入試で活躍しようと,どれだけ学内のインフラ整備を手伝おうと,基本はスルーである.

というわけで,大学のセンセイたちはいつも就職活動をしているのである.

どのような就職活動をしているのか,その一旦を書き留めておきたい.なお以下書くのは僕個人が体験したケースで,例えば文学系や社会学系だとかなり景色が異なる.

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