STEMとSTEAMの違い。Artって必要なのか?

STEMとSTEAM教育の違いはご存知でしょうか?

STEM=Science+Technology+Engineering+Mathematics
STEAM=Science+Technology+Engineering+Art+Mathematics

そう、STEAMには、Artが入っているのです。


STEM教育が提唱されて間も無く、教育者たちはSTEMというオリジナルコンセプトから、STEM-X・TEAMS ・STEAM・STEAMIE・STREAMと言ったコンセプトを誕生させました。とあるカンファレンスでは、HAMSTERという言葉まで出てきたそうです。えっハムスター・・・。
ちなみにハムスター(HAMSTER)は、Humanities・Art・Math・Science・Technology・Engineering・Readingの頭文字だそうです。
あまりにも色々な造語が誕生してくるもんだから、2015年にはSchell Gamesというビデオゲームデザイン会社のCEOのJesse Schell氏が、
「なんでもかんでもつけ加え始めると、結局何にもならなくなります。全部大事じゃないってことになります。」と警鐘を鳴らしたそうです。
あれも言いたいこれも言いたい!とプレゼン資料になんでもかんでも詰め込んでしまって、要点がボケてしまって、結局伝えたい事を伝えきれない。
そんな感じでしょうか。

STEAM教育、なぜArtが必要なのか?

アリゾナ州立大学のHenriksen博士は、「アートをベースとした教授法はSTEM科目に対するモチベーションや関心を高め、良質な学習を導く事ができる。」と述べています。また、STEAMジャーナルでHenriksen氏は「科学技術分野において、教えたり学んだりする者にとって、STEAM教育は必要不可欠な枠組みにならなくてはいけない。」と記しています。
また、STEM教育にアートを統合する事で、STEM科目の学習を新たなレベルに押し上げる事ができ、創造性・想像力・協働する力を育む事ができます(Sousa and Pilecki 2013)。 STEM教育にアートという要素を組み込む事で、既存のクリティカルシンキング、問題解決能力やコミュニケーション能力を更に高める事ができるとも言われています。

STEM教育にAを付け加えるのはただの芸術、装飾的な意味を付加したものではありません。Invent to learnという著書の中で、筆者のSylvia Libow Martinez氏とGary Stager氏は、「STEAM教育のアートの力によって、子供たちはより多くの種類の自己表現ができる。」と述べており、Sousa氏とPilecki氏はFrom STEM to STEAMという著書の中で、彼らはアートがもたらす効果についての研究結果を発表しています。

アートがもたらす効果は以下:
1:脳を活性化し認知能力の発達を促す。
2:長期にわたる記憶力の向上。
3:創造性の発達。
4:ストレス軽減。

私は、小学生くらいまでの子供達にとっては、STEM教育にArtを加えることはとても効果的だと思います。子供たちは視覚から多くのものを感じ取り、興味を持つ事も多いので、実験道具に様々な色や質感のアイテムを可能な限り加えたりする事で、なんだか楽しい!と思って興味を持ってくれる事が多いと思います。もし、前回のノートで書いた、木の棒やブロックを用いた実験の全ての実験道具が木の色一色だったらどうだったでしょうか? カラフルな実験道具が皆のワクワクに一役買っていたのは言わずもがなだと思います。


わたし自身は、高校時代は生物・地学・科学なども勉強しましたが、特に科学は色が無い無機質なモノクロの印象がありました。(ご専門の方すみません・・・。)もっと早くにこのSTEAM教育に見られるような、身近なものやカラフルなアイテムでの科学実験などを経験する事ができればもっと興味を持つ事ができたかもしれないなと思います。アメリカで様々な情報に出会って最近はSTEM分野が面白くて仕方ありません。

教える側にとっては大変難しい時代になってきました。
問題に対する解答が1つの時代は終わろうとしています。
すべての問題・事象には何通りもの解答がある。そんな時代がきています。

大変な時代だけど、

毎日がワクワクであふれている。

明日は今日よりもっと楽しい。

みんながそう思って生きれる時代になったらいいな。

(Reference: Jacie Maslyk(2016)STEAM makers)


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