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俺の背中を見て育て!

職場でのコミュニケーションの難しさを題材に、上司と部下の会話あるあるから、主に上司のあるべき姿を考えてみようというマガジンの13回目です。
【】は心の声、つまり言えないけど心の中でこう思っているという意味で読んで下さい。

あるある#12:

(部下)課長、今回のお客様は私にはかなり手強くて、どのような切り口で話をしていけば信頼関係が築けるのか、何かアドバイスをいただきたいのですが・・・
(課長)今まで何度もお客様の対応の現場に連れて行って、それなりに勉強してきただろう。
(部下)はい、それはそうなんですが・・・
(課長)あえて私の口から言う必要はない、俺の背中を見て育て!
(部下)【ええっ・・、背中には何も書いてないんですけど】わかりました、もう少し検討してみます・・・

21世紀にはあまり聞かれなくなったかもしれませんが、この「俺の背中を見て育て!」は20世紀にはかなり頻繁に聞かれました。
これって、マネジャーの最も重要な仕事である「人材育成」を放棄しているのと同等だと思います。

”あえて私の口から言う必要はない” ですが、これはどう言っていいのか分かっていないことも含んでいます。
要するに自分は感性で動いているので、人に伝えることができないのです。
個人的にはこれはよくあることで、自分が苦もなくできていたことでも、他の人にはなかなかできないことって結構いっぱいありますよね。

ではどうするか、ここからコーチングのコミュニケーションスキルが活きてきます。

上記の会話の最初の方は一緒ですが、途中から変わります。

(部下)課長、今回のお客様は私にはかなり手強くて、どのような切り口で話をしていけば信頼関係が築けるのか、何かアドバイスをいただきたいのですが・・・
(課長)今まで何度もお客様の対応の現場に連れて行って、それなりに勉強してきただろう。
↓↓ここから
(課長)そこから何を学んだ?
(部下)課長の発言が、宙に浮いていないというか、真実を誠意を持って回答しているというのが印象に残っています。
(課長)それを聞いた時どう感じた?
(部下)そうですね、営業の立場だとどうしてもお客様に好都合な事を言いたくなりますが、それだと結局最後に迷惑をかけてしまうのではないかと・・なので、やはり真実を告げて信頼関係を気付くことが重要なのではないかと感じました。
(課長)それでいいんじゃないの、さらにそれを自分でやるためにはどんなことを工夫したらいいと思う?
(部下)自分は声に張りがなく訴求力が弱いと思っていますので、少し大きな声を意識して出したほうがいいかもしれません。
(課長)それをやるために何か障害になりそうなことはある?
(部下)実際にお客様の前でできるかどうか自信がなくて、本番に弱いタイプなんです。
(課長)じゃあ、一度練習してみようか。私をお客様だと思って一度説明してみてよ。
(部下)分かりました、よろしくお願いします。

ちょっとうまく行き過ぎの例ですが、こんな感じです。
課長はどうしろとは一言もいってなくて、部下に質問しかしていません。
これは「私の背中を見て育て!」=育成の放棄、とは真逆で、コーチングによって部下の成長を促進しています。

時間はかかりますが、この違いによって組織の成果は格段に向上していきます。

よろしければサポートをお願いします。また、何かコメントがあれば情報交換したいので是非お願いします。