【イギリス留学体験記】イギリスの食事が意外と美味しかった件。

 「イギリスのメシはまずい」という言葉を何度も聞いて育った私は、現地での食事には寸毫の期待も寄せていなかった。だからこそ、スーツケースにカロリーメイトとインスタント味噌汁、そしてカップラーメンをこれでもかというくらい詰めてきたのだ。

ところが、意外な事実が判明した。

普通にオイシイのである。


 一般的に言われている「イギリスのメシ」とは、日本でいう「日本食」に当たるものであり、すなわち伝統料理のことである。確かにイギリスには伝統料理といえばフィッシュ&チップスしかないかもしれない。

ところが私たちは別に毎日伝統料理ばかり食して過ごしているわけではない。自炊が面倒くさければコンビニやスーパーで惣菜を買い、もしくはファストフード店やファミリーレストランで安く食事をすませる。イギリスでも同じである。


 ロンドンを歩いていて頻繁に目撃するファストフード店は、「GREGGS」や「PRET A MONGER」、「COSTA」などである。これらはいずれもサンドイッチやトーストを中心としたラインナップを展開しており、5ポンド以内で手軽にロンドンっ子気分を味わわせてくれる。チーズトーストに関しては、レジで注文後専用のトースターでこんがりと焼き上げ、とろーりと伸びるチーズがたまらない。日本のファストフード店ではなかなか味わえない美味しさだ。


 ロンドンのファストフードは、日本に比べてカスタマイズの自由度が高い。特に野菜に関してはそれが顕著だ。トマトやキュウリ、タマネギやレタスなど、カットされた野菜がショーウィンドウに並んでおり、サンドイッチを注文すると、それに好きな野菜を載せていくことができる。パンの種類も豊富だ。


 日本にはない落とし穴もある。個人差はあると思うが、「VEGAN」は私にとって思わぬトラップだった。欧米諸国には日本と比べて菜食主義者がかなり多いらしく、それに伴ってベジタリアン向けのメニューが必ずどのレストランにも存在する。それがVEGAN(ビーガン)である。

私はロンドン塔を見学した際、近くの「SUBWAY」に立ち寄った。その日はあまり野菜を摂っていなかったため、メニューの写真を見てなんだか豊富に野菜が取れそうな「VEGAN」を注文してしまった。すると、何か得体の知れない茶色い長方形の物体をパンに挟み、それが「VEGAN」だというではないか。詳しくメニューを見ると、「大豆やグリーンピースなどから作られた健康なメニュー」やらと書いてある。食べてみて後悔した。味がどこまでいっても単調なのである。

「なぜ私ははるばるイギリスまで来て、大して美味しくもない精進料理を食べているのだろうか……」

ベジタリアンでない人は、くれぐれも「VEGAN」には注意したほうがいい。


 以上ファストフードについて述べてきたが、イギリスに来た以上はやはりフィッシュ&チップスを食べずには帰れない。というわけで大英博物館周辺で「Traditional Fish and Chips」を提供していると広告を出している店に立ち寄った。単品で10.99ポンドと書いてある。なかなか割高に感じられるが、他の店を見てもこの辺りが相場だったので、諦めて注文した。

ところが実物を見てみて納得。Fishが驚くほどデカいのである。

予想していた「白身魚のフライ」とは程遠い。塩と酢、お好みでタルタルソースをかけていただくが、もはや食事というより魚と格闘している気分だった。味はとても素朴でシンプルに美味しい。

もうFishもChipsも見たくないと思うくらい満腹になって店を出た。
 

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