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【大人】意識的に生きる時代へ③~教育の目的が変わる?~

『一般人間学(普遍人間学)』の第1講に「教育の課題は、時代によって変わっていくから、時代の課題を意識して教育しましょう」という意味のことが書いてあります。子どもの教育も大人自身の自己教育も、それに向かってなされるべきだ、と。では、私たちが生きる現代=意識の時代には、どこに向けて子どもを育てていけばいいのでしょうか。

「オレの言うことが聞けないのか」

私が子どもの頃には、まだ「決まったことは守れ」「オレの言うことが聞けないのか」なんていう先生がいました。当時、子どもながらに違和感を感じて「軍隊調でイヤだなぁ」と思っていました。今はあんまりそんな話を聞かないのが嬉しいです。

分別の時代から意識の時代への変化を平たく言うと、「エライ人の言うことに従ったり、みんなで一緒に動けるように育てるんじゃなくて、一人ひとりが自立し、意識的に行動できる人になろう」という方向のようです。そっちに向かって、子どもも大人も成長していけるよう考えていくのが「意識の時代」の教育の目的だと言えそうです。

自分より立場の強い人に「オレの言うことが聞けないのか」と言われた時、分別のある人なら「モメそうだから適当に従っていた方が無難だ」と上手にやりすごせます。でも、意識的な人なら「なぜ、それを強制したいのですか」と質問したくなりますよね。意識的でいると、シーンによっては「ややこしい人」と言われるかもしれません。だから黙るかどうかも、自分次第で決めていい。

1人ひとりが答えを出す、正解のない時代

かつて「当たり前」と言われてきたことを「どうして?」と問うて、意識的にそれぞれで答えを出していく時代。誰かに従うのではなくて、答えは各自で出さないといけない時代。考えようによっては、前よりも大変。

コロナの対応を見ても、いろんな専門家がいろんな事を言います。自分で考えるにしても、年齢、既往症、職業、地域の状況などによって、1人ひとりの正解が変わってきます。「今の状態って、誰も答え持ってないよね」「自由に向かっての訓練とも捉えられるよね」「違う意見の人と一緒に暮らす練習かも」というような話になりました。そう考えると前向きに捉えられなくもないのですが…自立へのスパルタ教育を強制されている感もあります。

人類の進化と、1人の進化の共通点

長いスパンで歴史を見ていくと、人は少しずつ自由になっていく方向に進んでいることを確認しました。しんどくても、そこを乗り越えて、1人立ちしていくのが、今の教育の課題のようです。もちろん、大人だって一人で立てるように自己教育せねば!

そう思った時に、ふと人類の進化と一人の人生が重なっているんじゃないかと気づきました。

第1七年期の、環境と調和して生きていた時代があって、第2七年期(7歳~14歳)の「外の権威に従う」時代になります。そこが分別の時代。大好きな先生のお手伝いをしたい。大好きなアイドルと同じ格好をしたい。尊敬できる誰かを求め、その人が決めてくれる事に従いたい時期です。

そして、第3七年期(14歳~21歳)の「自分の中の光を育てる」時期が、今=意識の時代。その時代に入ろうとする中2の子どもが、分別の時代との違いを示してくれます。たとえば掃除をする時。第2七年期の小学校の頃は「次は床掃こう」「コレで窓拭いていって?」と親が言って一緒にやれば、ゴキゲンに掃除が進んでいきました。

でも第3七年期の入口の今は、外の権威より、自分の中の光に従いたい様子。「掃除しよ~」と言えば「30分で!」と決めてタイマーをかけ、親とは別の場所をちゃちゃっと自立的に済ませて行きます。そして、自分で30分と決めた事に過剰に意識的で、1秒でもオーバーしたくないという気持ちをムンムン醸しています。

こんな風に、人間で言う第2七年期と「分別の時代」、第3七年期と「意識の時代」には、多くの共通点があるように見えます。まだ入って間もない時には、やり方が不器用なところまで(^^)。

人類の進化と第3七年期の子どもを重ねて見ると、教育とは人類の進化とリンクした壮大な課題なんだと圧倒されます。一人ひとりが自立して行動できるよう、自分の真ん中にある光(自我や精神)に意識的になることから始めたいと思います。
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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
小さな勉強会や書くことに関する仕事、普段の暮らしなどを通して自分の考えを深め、表現する。その結果、自由で愛のある社会に近づけるといいな。
ブログ毎日更新中。https://blog.goo.ne.jp/oneby1
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