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いまさら聞けない美容師のインボイスの話し 番外編

「インボイスしたほうが得だよ!」と先輩から聞きました。なんて人もいます。
インボイスのこといまいちよくわかっていない人同士でインボイス面倒くさいなあなんて話の時に、なに言ってんだよインボイスした方が得なんだよ!っていう人がちらほらいるみたいですね。

もしかしたら過去にメディアでそういった事を言ってたのかもしれません。だとしたらおおいにプロパガンダに毒されています。前に記述しましたが、課税事業になって得をするのは本当に非課税で報酬をもらっていた人だけです。そんなケースはおおむね単勝100倍!くらいの確率です。

しかも、中にはあなたに非課税で払っていたつもりだったけど税込で申告してたわってこともありえます。

今回のインボイスは税金を新たに徴収する制度なので誰かが得をすることはあり得ないと思っていいです。

今まで税込で報酬をもらっていた人が、インボイスをしないと消費税分報酬を減らされるだろうから、だったらインボイスをして消費税をもらって国に2割納めた方がまだましってことだけで、得をするわけではありません。

先述したごくごく稀な今まで正真正銘非課税で報酬を受け取っていた人は、課税事業になれば会社は消費税分上乗せして払ってくれます。会社は今まで国に納めていた消費税をあなたにスライドさせるだけなので痛くも痒くありません。あなたは10%の消費税を受け取って、向こう3年はその2割を納めるだけなので8%分は手元に残ります。ただ、インボイスすなわち課税事業者になると申告をきちんとする義務が付随するので、たとえば今まで白色申告で経費をおおむね言い値でつけて領収書ポイはもうできなくなります。

申告の作業コストもかかるので、タダでまるっと8%儲かるってわけにはいきません。

余談ですが、ボクが半分住んでいるバルセロナでは、交通違反をすると罰金の振込通知のハガキが家に送られてきます。そこにはこう書かれています。「あなたの交通違反による罰金は2万円です。しかし1週間以内に払えば半額になります。」

スペイン人の友達何人かで話をしているときに、最近交通違反をしたという人がいると必ずこの話になって、まわりの人は「早く罰金を払ったほうが得だよ。半額になるよ!」と言います。これはスペインの鉄板ネタです。

スペイン人の気質をうまくついていて、見事に煽動するカラクリなんですが、誰も疑うことなくみんなさっさと罰金を払います。

もともと罰金が1万円で、支払い期限が過ぎるといくらか利息がつくってなると、のんびりなスペイン人はなかなか罰金を払わずに利息がついた金額に文句を言い、渋々払うことになって罰金をせしめられたとずっと文句を言うでしょう。かといって支払い期限が過ぎると倍の2万円になりますよと煽ったところで、払うモチベーションが上がる人は誰もいないでしょう。むしろ脅されているようだといって社会問題になりかねない。

このカラクリは、1万円の罰金を徴収するために、1週間以内に払えば2万円が1万円になりますというだけで、ほとんどの罰金を期限内に徴収でき、払った方もなんか得をした気分になるという魔法のような事が起こるんですね。

さすが太陽の国スペインです。

追伸: 写真はバルセロナのグエル公園に行く散歩コース。汗をかきながら登っていく感じが気持ちいいんですよね。


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