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Re・Birth① 〜プロローグ〜

5月の半ばも過ぎ、初夏が近づいたある日…、
道東の山間部にある小さな田舎町の中学校に、一人の少女が転校してきた…。
その少女は、担任の教師と共に職員室を出ると、古い校舎の木造の廊下を歩き、教室へと向かった。木造の廊下は、歩く度に、ギシッ…、ギシッ…と、今にも床が抜けそうな音を立てていた。
ーーずいぶんと古びた校舎だなぁ…。夜中に何か出てきそうだな…ーー
少女がそんなふうに思いながら歩いているうち、2−Aの教室の前に着くと、教師は先に中に入った。
「皆さん、急ですが、本日より転校生が一人、このクラスに入ってきました。さぁ、どうぞ…」
教師がそう言って、中に入るよう促すと、少女はドアを開けて中に入ろうとしたのであるが…、
次の瞬間、思い切り頭をぶつけてしまった。
すると…、
それまで、教室内で散々騒いでいた生徒達は、少女を見て驚き、静まり返った。
ーーあ〜ぁ、やっぱりなぁ…ーー
思った通りの反応を見て、少女は溜息をついた。
少女の、170センチ以上はある長身と、日本人離れした顔立ち、均整の取れた体つきを見て、生徒達は、一瞬、言葉を失ってしまったのである…。
担任の教師は、黒板に転校生の少女の名前を書いた。そこには、『植村 好美』(うえむら このみ)と書かれていた。
「それでは、自己紹介してもらいましょう…。植村さん、どうぞ…」
「…札幌から来ました、植村好美といいます。ヨロシク…」
一見すると、『凛々しい少年』に見えるが、好美は一応、『少女』である…。

好美は、小さい頃から祖父に柔道を習っていた為、その強さは半端ではなかった。
今回、何故好美が、この町の中学校に転校してきたかというと…、
1ヶ月程前、札幌で他校の不良グループと喧嘩になり(もちろん、勝ったのは好美であるが)、その事が学校にバレてしまったのが原因である…。
その為、転校してきて間もなく、噂を聞きつけたクラスのリーダー格の男子から喧嘩を売られたが…、
余裕で勝ってしまい、好美は、あっという間に『女番長』と呼ばれるまでになってしまった…。

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