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最短30分で処方薬を配送! 画期的なサービスがスタート

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約

日本調剤とウォルトジャパンは、処方薬の即時配送サービスを月内に開始する。日本調剤が調剤した処方薬を、ウォルトの配達パートナーが最短30分で患者の自宅に配送する。料金は1回800円。まずは東京と神奈川の18店舗からサービスを始め、11月には首都圏の120店舗まで対象を広げる。

このサービスが可能になった背景として、電子処方箋の制度が今年1月にスタートし、オンラインでの処方薬の取り扱いが認められたことがある。しかし電子処方箋の導入は緩やかで、システム導入コストが障壁となっている。

日本調剤は、電子処方箋が中長期的には定着し、処方薬の自宅配送も普及すると見込む。自社の店舗網を生かした配送サービスが、制度の利用を後押しすることが期待される。一方、ウォルトにとっては新規事業の柱となりうる。



処方薬宅配、便利さとリスク

僕は定期的に処方薬を受け取ってます。尿酸値を下げる薬、高血圧の薬を飲んでおり、定期的に病院に行って処方薬をもらう生活を送っています。そのため、処方薬を自宅に配送してもらえるサービスは非常に魅力的に映ります。30分以内のスピード配送なら、予定を合わせて病院に行く手間が省けるので、便利だと思います。

可能な限り1to1で診察を受けたい。他人と接触したくない。コロナを経て、病院という場所の価値を見直した人も多いのではないでしょうか。処方薬を受け取るためだけに、不特定多数がひしめく病院の待合室に長時間滞在することの「恐怖(ある意味で)」を感じたことを覚えています。

一方で、このサービスの普及が保険料の上昇につながる可能性も否定できません。これまで市販薬を使っていた人が、配送サービスを活用して処方薬にシフトする動きが増えれば、保険から支払われる医療費は膨らむでしょう。僕自身、市販薬から処方薬に変更したほうが良いと感じることがあります。それは、例えば湿布薬。市販だと結構なお値段ですが、処方される湿布薬はかなりお安い。そう感じるのは僕だけでしょうか。けれど、これまでは、病院に通う手間を考えると見送っていました。このサービスがあれば、ためらうことなく処方薬(湿布薬)を選択するようになるんじゃないかなと思います。

もちろん、我々の払っている健康保険金の使い道として適切か判断するのは難しいところですが、国民の健康を左右する医療プラットフォームの良し悪しを、単純に経済的コストのみで判断するのは早計だと思います。国民の健康寿命をのばすことこそ、社会保障費の抑制につながると考えるべきだと思います。

処方薬宅配が地方を救う?

日本調剤とウォルトの提携をきっかけに「地方での宅配サービス活性化」が広がるんじゃないかと妄想しています。確かに、料理宅配需要は地方でそれほど高くないかもしれません。しかし、高齢者が多い地方こそ、処方薬の配送ニーズは高いはずです。

例えば、僕が住む滋賀県東近江市では、高齢化率が27.2%です。自家用車を運転できなくなる高齢者が増加を続け、買い物や病院への交通手段が課題となっています。このような地域で、処方薬と日用品をまとめて配送するサービスは、大いに歓迎されるのではないでしょうか。

今回の日本調剤とウォルトの提携は、全国配送網の構築に向けた第一歩と言えそうです。宅配網を支える担い手確保も課題ではありますが、少子高齢化が進む中、生活必需品の配送ニーズは確実に存在しています。買い物難民地域の活性化にもつながるサービス展開が期待されます。

配送事業者の抜本的変革が必要

他方で、処方薬宅配が全国的に展開するには、配送事業者側の抜本的な業態転換が欠かせないと僕は考えています。

ウォルトをはじめとする料理宅配事業者は、コロナ禍で一時的に需要が急増したものの、今は厳しい状況にあります。生活必需品の配送に特化するなど、持続可能なビジネスモデルへの転換が求められています。

また、運送業界全体が抱える運転手不足の問題もDeepな課題です。配送力強化には、宅配事業の魅力向上とデジタル化による業務効率化が欠かせません。

例えば、英国の宅配大手オカドは、配送データをAI分析して需要を予測するシステムを活用しています。運転手の移動距離を最小化し、CO2排出量も削減するなど、業務効率と持続可能性の両立を実現しています。

日本の配送業界が、単に量を追うのではなく、サービス品質を高めていく転換が求められる時代なのかもしれません。処方薬宅配を契機に、本質からの変革が加速することを期待したいと思います。


今日の問い

  1. 処方薬の配送サービスを利用したいと思いますか?

  2. 自社や自店のサービスに、処方薬の配送を取り入れることはできませんか? 導入の際の課題や可能性を教えてください。

  3. 地域の高齢者のために、処方薬と生活必需品の配送サービスを立ち上げることを検討したことはありますか? 導入のポイントや地域活性化への効果についてご意見をお聞かせください。

  4. 運送業界の抱える課題を解決するためには、どのような施策が必要だとお考えですか? AI等の新技術導入や業務効率化とサービス品質向上の両立は可能でしょうか。



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