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新広告市場“動画配信”に参入のAmazon、コンテンツ費用70億ドル(約1兆円)

5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。

記事の要約:

Amazonは2024年から、Prime Videoの有料会員向けサービスにおいて、米国を始め英国、ドイツ、カナダなど計9カ国で、映画やドラマなどの視聴時に前後に広告を表示することを発表した。月額料金を支払えば、追加で広告なしのプランを選択できる。

Amazonがこの決定を下した背景には、Prime Videoのコンテンツ制作費が年々増加していることがある。特にオリジナルコンテンツの制作費は高騰しており、2022年だけで約70億ドルを投入した。一方で有料会員数の伸びは鈍化傾向にある。

競合他社のNetflixやDisney+も、会員数伸び悩みから値上げや広告導入を実施。消費者は低価格の動画配信に馴染み、コスト上昇を受け入れざるを得ない状況となっている。

日本は今回の広告導入の対象から外れたが、AmazonはPrimeの年会費や音楽配信サービスの値上げを実施済み。業界全体の動向から、日本でも将来的には広告やさらなる値上げが避けられない可能性が高い。



競争激化、プラットフォーマーの収益モデルが変容

AmazonがPrime Videoの一部の国々で、映画やドラマ視聴時の動画前後に広告を表示することを発表した主な背景には、グローバルな動画ストリーミングサービス間の熾烈な視聴者獲得競争があると思います。

NetflixやAmazon Prime Video、Disney+、Hulu、HBO Maxなどの主要プラットフォーマー各社は、オリジナルコンテンツの制作予算を年々拡大させています。特にNetflixとAmazon Prime Videoは、2022年時点でそれぞれ200億ドルと70億ドル以上の制作費を投入したとのこと。エグい、ですね。

調べてみると、日本テレビの番組制作費が約850億(21年)なのでその差は、歴然です。制作費投資の拡大路線は、他の動画配信サービスも追随しており、新作や名作の独占配信権獲得競争が活発化しています。

一方で、各社の加入者数や収益の伸びは鈍化傾向にあるんですよね。ユーザーのサービス間の移り変わりも激しく、高額な投資が視聴者獲得につながりにくい状況です。このため、Netflixが長年堅持してきた「広告なし」「安価な定額制」からの方針転換を余儀なくされ、値上げと広告付きプランの導入を決定したという、背景があります。

日本のメディア環境は多様化の一途、各社の対応が鍵

日本のメディア環境を見てみましょう。特に若年層を中心に大きな変化が起きています。

テレビ広告費はピーク時から4割減少し、若者のテレビ離れが進行。一方でネット広告は拡大を続け、2022年には過去最高の1兆1000億円を突破しました。スマートフォンの普及に伴って、動画配信サービスの利用も定着しつつあります。テレビのリモコンが変わったことで、シニア層もYouTubeなど動画配信サービスにどっぷりハマっています。

新聞や雑誌の発行部数は、長期的には減少傾向にあるものの、デジタル化を進めたメディアも存在感を保っています。消費者のメディア接触は多様化が進み、個々人の嗜好に合わせたサービス選択が可能になったと言えます。広告ビジネスは、どのように発展していくのでしょうか。

創造性と資本の好循環を目指して

グローバルな動画配信競争の激化に伴い、制作費の高騰はバブルの兆候との指摘もあります。しかし他方で、新進気鋭のクリエイターや俳優の登場、既存メディアからの人材流入など、エンターテインメント業界全体の活性化も生み出していると、にらんでいます。

低予算で個性派作品を生み出す映画会社や、配信を活用した新人発掘も続いています。多種多様なコンテンツが共存し、支え合う文化が理想だと思います。ビジネスとクリエイティブの好循環を支える仕組みづくりが、今後ますます重要になってくるんじゃないかな。


今日の問い

  1. ストリーミングサービスの広告表示について、あなたはどのように受け止めていますか?

  2. 広告付きの低料金プランと、広告なしの高料金プラン、どちらを選択しますか?

  3. デジタル化が進むメディア環境下で、信頼できる情報の判断基準は何だと考えますか?

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