マジックの本を称賛するだけの文章(The Magic of Johnny Thompson)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

タイトル: 『The Magic of Johnny Thompson』
著者: Jamy Ian Swiss、Johnny Thompson
出版年: 2018年
ジャンル: カード、コイン、イリュージョン、その他

『The Magic of Johnny Thompson』は1967年に発売された書籍で、アメリカの Johnny Thompson氏の作品をまとめた作品集です。

Johnny Thompson氏はアメリカのマジシャンで、DVDや鳩の演技で知っている方も多いと思いますが、近年ではFool Usのプロデューサも務めていました。惜しくも2019年に亡くなられた偉大な方です。

本書はJohnny Thompsonさんのマジックがまとめられた作品集です。あまり世代で分割することも早計かと感じますが、一方でアメリカのマジシャンで特定の年代以上の方を見ると、サトルティを大切にし一つひとつの練度がずば抜けているようにも見えます。まさに"Details make perfection, and perfection is not a detail"を地で行くような内容でした。『The Magic of Johnny Thompson』の大きな特徴は人生を賭けた探求だと感じています。そのため本書の中には、彼自身が一流のパフォーマーとして洗練し続けたマジックを惜しみなく掲載されています。そして、掲載されたマジックの中にはマジックの偉人、名人たちから彼が受け継いできた知識や知恵がこれでもかと散りばめられています。本書は発見が多いと同時に、情報量に圧倒されるような書籍となっています。
本書も魅力的な作品が多いため特定の作品を取り上げるというのは心苦しいのですが、この文章では特に「Expert Estimating the Aces」「The Trick that Cannot be Explained」についてコメントしたいと思います。

「Expert Estimating the Aces」はEd MarloのMarlo Miracle Acesに触発された作品で、セットアップの中に多くの工夫が見られます。私自身、鳩やイリュージョンに関する実体験がカードマジックに比べて乏しいため、こういった時にカードマジックを選んでしまいますが、本書に記載されているマジックはどれもが素晴らしい選美眼で選ばれておりますので、本作品に限らず興味深いものとなっています。本作品はそういった選美眼を示す好例で、彼らしい合理的な手順構成も加わることでとても効果の高いマジックになっています。

また、「The Trick that Cannot be Explained」は良くも悪くも議論を呼びやすいプロットであることは間違いありません。これはプロットに対するアプローチに自由度が高く、何を評価基準とするのかが決まっていないことに由来します。一方で、実際に行う際はそういった議論とは関係のないところで行われます。そう考えた時にJohnny Thompsonさんのアプローチは非常に合理的で彼のマジック観を伺えるものになっています。

最後に、今回はカードマジックに焦点を当てましたが、本書のカバー範囲はとても広くエッグバッグやスリーボールルーティンなどのクラシックやイリュージョン、鳩出しといったステージマジックも包含しています。そして、ここまででも触れてきたように合理的なんです、全ての選択が。つまり、どのような手順であっても、もし本書に含まれているのであれば一度確認することをお勧めします。もしかしたら、好みに合わないかもしれませんが、ロジカルな構成という観点では学ぶものが多く含まれているはずです。

まとめると『The Magic of Johnny Thompson』はアメリカのJohnny Thompson氏の作品集であり、彼の人生を懸けたマジックに対する探究を感じるものとなっています。彼のマジック観の中で取捨選択されたマジックは合理的で実用的であると同時に多彩ですので、全てのマジシャンにお勧めできる1冊となっています。

以上が『The Magic of Johnny Thompson』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。


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