〈2023.世界の悔恨〉
暗闇の
暗闇が
ぼくらの
宙(そら)の涯(はて)
無限縁辺の
紅球から
真っ直ぐに
射してくる
つよい
光を受け
ある日の
愛の仕草を
真似て
柔らかな
優しさを
模倣する影
金箔のマンハッタンから
ゴージャスな毛皮をまとう
モスコーまで
石油くさい
ドバイの海辺も
君の憧れた
夢の船形の
舳先(へさき)に立って
まわるのだ
あの日の
喜望峰は
何処までも広がる
青晴れの
高い空の
下に
みどりの木々の
優しい腕(かいな)を
静かに拡げて
だが
とおくから
かすかに
聴こえる砲声と
幻聴のような
高い悲鳴が
今夜も
きみたちの
間で
交わされる
愛語に
みずを差すだろう
誰も知らない
南の涯の
Bluegreenの
無音の湾に浮かぶ
氷柱のなかに
閉じ込められた
青い花の悲鳴が
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