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詩 〈繚 乱〉


真っ青な空の端から
堕ちてくる

背中のショウセキは

長い怠惰と

稀にみる
狭い了見の報い

それでも
人並みに
身過ぎ世過ぎの
間には

幻の女の
幾体かに

美しい手技を
披露するひとときも
あったのだ

岩棚を吹きすぎる
ゆるい風が

つゆの寝覚めを
うながす

もう幾万年
眠ったら

あの水色の
夢の端に
たどり着くのか

果てしない思いに
茫々とした時を刻み

涼やかな目元の
凛とした横顔を
待っている

愛しい君が
散策する

若草台から
跳ね上がり

一億キロ上空から
一族の起居する
カモシカ団地に

いま
真っ逆さまに
堕ちてくる

独り寝の
夢の内外に
咲き乱れる

極彩色の
百花繚乱

その
柔らかな

桃色の
喉のうち

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