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部室③


愛薫は4階の廊下窓から外を見つめていた。
鉄筋コンクリート造の校舎は凸が二つ並んだ型で、凸の突起部分にトイレがある。
教室側の廊下窓からは階下の女子トイレの端っこの個室の窓を斜め上から俯瞰して見ることが出来た。

型ガラス越しなのでモザイクがかかってはいるものの…
ドアが開き便器をまたぐ、スカートをたくし上げてパンツを下ろししゃがみ込む、正面を見据えたままの子、天を仰ぐ子、丸めた背中だけ見える子など様々な排泄中の表情、立ち上がり下を向いたままの子はナプキンを替えているのかも…そこからパンツを上げスカートを直してペダルを踏む…
愛薫は数人の女子の排泄行為を観察しながらズボンのポケットに入れた手で昨日作った合鍵を撫でていた。
鍵を持っているとは言え部室の入口はグラウンドに面しているから人目につかず入れる時間は限られている。

『とりあえず今日のうちに出入り口の確保しとかなきゃだな…』

夕方、すべての部活動が終わり校内には数人の職員しか残っていないはずの時間。
愛薫は女子部室の前を一度通り過ぎ、男子部室の前で周囲を見渡す。女子の部室の鍵が掛かっていることは通り過ぎる時にさりげなく扉を押して確認済だ。
グラウンドに誰もいない事を確認すると、引き戸の鍵穴に鍵を差し込み左に回す。かなりの抵抗を感じながらも鍵が開いた。愛薫はもう一度グラウンドを振り向き、人影がない事を確認すると引き戸を最小限に開けて体を横向きに滑り込ませた。

『入れた....』ふぅと息をつき、中から施錠する。
部室は更衣室としても使われるのですべての窓にカーテンがかけられており、中に人がいる事はわからないはずだ。

愛薫はその場で靴を脱いで手に持ち、部室内を見回しながら深呼吸した。埃とベニヤ板の匂いに混ざって汗臭さも感じる。しかし男子部室の汗臭さとは別物。
グリーンのカーペットが敷かれた室内は綺麗に整頓されており、ラケットやボール、雑誌など散乱している男子部室と同じとは思えないほど広く感じた。また、ロッカーの配置が男子は窓から壁にかけてLの字に置かれているのに対してコの字に並べられていて、ロッカーがパーテーションの役目もしていることがわかった。
そのぶん窓を塞ぐロッカーは男子に比べて半分で部屋全体が明るい。

愛薫は真っ先に窓へ向かい、ロッカーとの隙間を確認した。男子と同じく40cm程の間隔がある。

「よしっ」

思わず声に出しながら痩身の体を横向きにしてロッカーと壁の間に入り込む。そのまま蟹歩きで一番奥まで進み、サッシのクレセント錠をカーテンごとつまんで開けた。

『出入り口確保!』と心の中でつぶやき、窓の下に靴を置いてから隙間を出た愛薫はコの字に置かれた上下二段ロッカーの真ん中に立ち、扉に書かれた名前を確認し始める。
『櫛田先輩の下は江田洋子か…吉田留美に川田知佳…あ、佐藤愛凛…マネージャーのもあるんだ あたりまえか』
主だった可愛い子達のロッカーを眺めながら
『この中に彼女達の体臭が染み込んだ物が詰まっている....』
そう思うと途端にに股間が反応し始める。

『まずは佐藤先輩からかな…』【佐藤 A】と書かれたロッカー扉に手をかける。


自分の荒い鼻息が聞こえ、手が震えた。


つづく…


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