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詩集 不幸と幸福の量


◎大切なものを失ってから
その大きさに気づいたくせに
今あるものの大切さを
忘れてしまうのはなぜ



気づかない
ふりをしていること
私を偽っている訳ではないが
そんなはずはないと思う
敵意を持って相手を見ることには
勇気がいると書いてあった
否定されるのは私ではない



幸福と不幸の量は
みんな同じなんだよ
と言う人に
うなづいてしまった
そんな訳あるかと
言ってやりたかった
自分が経験した不幸よりも
ひどい不幸があることぐらい
想像しろ
世界は不条理にできている当たり前だ
そのことに気づけない大人がいる



絶対に正しいことが
ないと気づいてから
誰も否定できなくなった
あの人を尊重しなければと
悪意さえ受け止めていたら
自分を肯定する力がなくなった
正しさとは
何なのだろう
自分が間違っているかもしれないと
いつも思う
これは正しさではない
自分が悲しんでいることに
気づけなくなるほどの
正しさなんてあるのだろうか



他人に認められることを求めて
何になるのだろう
死にたい
楽になりたい
愛されたい
許されたい
あまりに残酷であるけれど
それは無理だ
あなたの苦しみは苦しみしか生まない



笑顔に騙されてはいけない
子どもは自分を偽ることができる
無邪気である
無力ではなく
健気なだけだ
本当は仲良くして欲しかった
自分が笑わなくても
笑っていてほしかった
嫌われたくなかった
怒らせたくなかった
私のせいでなければ誰が
私を守ってくれたのか
子どもでいるために子どもだった
無垢に甘えていたのは
若さのせいではない



言いたいことは山ほどある
私は怒っている
温厚だと言われる
それにすら怒りを感じる
笑っているところが良いところ
いい子だねって言われる度に
大人の私は怒っている
私はもう子どもではない



笑われた方がよかった
誰もいない
この絶望を
笑うこともできない
誰一人として
私の味方でなければ
私の敵でもなく
私は激しく激しく誰よりも激しく
激情しているのに
しずかだ
こんなにも人はいるのに
私を理解しようとする人がいない



失敗した
そう思うのは
思い通りにならなかったからだ
思いなど私の思い違いでしかない
正解は私にあるが
私が正解だと言う訳でもない
失敗したと思い込んでいる
罠だ
他人は慰めにはなる
笑われることは恥ずかしい
面白さは浮いてしまう
普通にしている
普通を手探る
笑われる理由は珍しいからだ
私の普通は激しくて
誰のことも許せなくする
力無く笑う
優しく見える
傷ついた
私が柔らかすぎる
力無く生きる
激しさは自分を殺す
刃は外へ向けなければならない
そんなことで
誰も傷つかない
あまりに鈍感すぎる
私は力無く生きる
年を重ねれば
何か変わるのかもしれない



相田みつをが好きだと
言う人が嫌いだ
幸せの形が
私とは違う
彼の生き方
苦しんだはずだ
編集された相田みつをの
文脈を呪っている

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