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短歌 すみれの私

誰か僕を強く殺してくれないか抱きしめ涙を流す代わりに

大丈夫私は生きていくからねどんなあなたも忘れないから

悩んだら僕を殺していきなさいあなたのために咲いたすみれだ

心とは目には見えないものだけどたしかに触れる瞬間がある

月の影 最終列車の停まる音 ホームに立った君の脊椎

荒ぶった私の中を通るとき光を放つブラックホール

君はまた死んでみようとしているが今回ばかりはそうはさせない

死んだあと私のために泣くのならもう少しマシな生き方をしろ

苦しいと伝えたときに助けずにどうして今頃泣いているんだ

助けてと言いたかったが虚しくてありがとうとか言ってしまった

心から愛する人に出逢ったら死ぬのが怖く無くなるのかな

なぜ父を殺さなかったか聞かれたら子どもの私が泣いてしまうな

どうしても僕を殺しておかなくちゃいけない世界で息しろと言う

いつまでも一緒にいると思えない あなたと僕と君の私と

父親を殺してやればよかったな心が傷つくずっと昔に

夏の君 空はこんなに青いのにスマホの画面ばかり見ている

死ぬのなら肉体なんか捨てていけ ぬるくて重い体温残し  

雨音でラジオの音が聞こえないあなたの足音が消えていく

今ここに僕の味方はいないけどいいよ未来は待っているから

懸命に生きた結果がこれだけど諦めるにはまだ早いだろ

泣きあげたこの後悔を胸に抱きあなたは死んでしまったろうか

僕たちは全く違うものを見て愛し合ったりキスしたりする

どんな人よりも自分が劣ってるように思える月曜日夜

ぼくたちはずっと未来を待っていた今を生きてることを笑って

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