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立花隆『田中角栄研究』を読んで

こんにちは。ちょっと読書感想文、ご無沙汰でした。読書がはかどらずに、しばらくぶりです。

今回は上下巻の、引き続きの田中角栄ものです。下巻が読むのに時間がかかってしまいました(汗)

内容

上巻は田中角栄の金脈、どうやって取材を進めていったのか、当時の発表した文章の後に、著者自身による解説。
どうやって記事を書くための資料を集めたのか、どう取材をすすめていったのかが、詳しく記載。
下巻はロッキード事件について。ロッキード事件とは何だったのか、その背景、事件の核心。児玉誉士夫について、児玉とCAIについて。CAIが終戦後に日本が共産化しないように、日本の政治家、自民党にお金を配っていたこと。
田中角栄的金権政治の後、再発を防ぐための法改正や提言。

感想

田中角栄本を何冊か読んでいたので、この本ではどうやって記事を書くための資料をかき集めたのか、をとても興味深く読みました。そして真相を突き止めてやろう、という執念がひしひしと伝わってきた、と共に、どうやって資料集めをしていたのかを、とても興味深く読めました。

そして下巻。ロッキード事件とその背景など、かなりおどろおどろしくなり、そして終戦後に日本の共産化になるのを防ぐためにCIAの前身となる機関が日本で活動していた。CIAは発足時、情報収集能力が乏しく、日本より劣っていた、など驚いてしまった。では、日本は戦後も情報収集機関を継続していれば、今のような貧弱なインテリジェンス、そして国際情勢を自国に有利なようにすることが出来たのではないか、と興味深く読んでいました。
そして、最後に、田中角栄的な金権政治を産んだのはそういう時代だった、もちろん田中角栄自身にも罪はあるが、時代がそうだったのであれば、今後再発を防止するには、どうすればいいのか、具体的な変更を求める項目を列挙している。
どうせ、何も変わらないよね、政治ってお金かかるよね。選挙で投票してもどうせ変わらないよね、って思っているのがいけないんだよ、具体的に政治家にどう行動してほしいか、尻を叩くようにしていかなければいけない。
全く今の日本の政治に対する空虚感を表しており、田中角栄が逮捕されてからも、何も変わっていないのだな、と暗い気持ちになりました。
立花隆さんは、下巻で逮捕された田中角栄さん宛に、逮捕された今、無罪なら真相解明に真実を語ってほしいこと、無罪でないならもうあきらめてくださいよ、と記載されています。

今、自民党の裏金について、今後どういう展開になり、法改正など今後の再発防止につながるのかが、問われていると思いますが、まさに、この時代に既に提言はあった。自民党がどの程度この提言を真剣に検討したのか、或いは当時の国会議員、野党の議員はどう行動したのか。
提言がどの程度実行され、ざる法ではなく、法改正が出来たのか。

今まさに、お金の問題で政界のスキャンダルが出ているということは、金丸の事件の際も、脈々と基本的には政治と金が切れていなかった、ということでしょう。
暗澹たる思いになりますね。そして私も、政治に変わるかけない、投票してもどうせ変わらない、と思ってしまっている。

そんな風に思うと、この下巻はなかなかサクサクと読むことが出来なかったです。

今読んでよかった、今だからこそ読んでほしい一冊です。



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