見出し画像

葉月智子 舞台 Vanity & 播磨かな 朗読劇 名前を付けて保存~データフォルダ~

①葉月智子 舞台 Vanity (10/26~10/31 シアター・アルファ東京)

8月の朗読劇「エターナルメロディ」以来、中2カ月ぶりの出演(ってなんか競走馬じゃないんだからw)となった、葉月智子・ちょもの出演作品を、ここ、

所属のスターダストプロモーションのお膝元たる恵比寿の、シアター・アルファ東京にて、10月28日の金曜日のマチネ公演を観賞。

この劇場は、初めて訪問したのが今年の5月、かつての3Bjunior時代の仲間の有沢澪風ちゃんが、過去に記憶を封じられてしまった女性を演じた「トレーディングライフ」で、こんなふうに、

ビルの外に向けてビジョンで宣伝をしているというシャレオツなイベント会場なの。ここは、後述の播磨も12月に「マジの宅急便」という演劇で立つので、三たび来ることにもなるけど、席の前後の間隔が、もう少しだけあるとうれしいな、ってのが気になる程度で、なかなか観やすいところですが、今回はB席ながらもA席は全部潰していたので事実上最前だったのだが、そこだと舞台をやや見上げる感じになるため、観終わってちょっと首がしんどかったのも思い出すかな。

さて、そんな会場で、我らが3Bjunior出身の俳優組のトップランナーのちょもは、どんな芝居を観せてくれたのかと申しますとー

(あらすじ)

アパレル会社「Virtual Growing(VG)」の地下の在庫置場に、うず高く積まれる不良在庫の山。そこで唯(北原里英)は、調子よさげな感じではあるがうだつは上がらない先輩の今泉(越前屋由隆)と、大ざっぱな感じで物言いががさつな感じの後輩の美由紀(佐藤絵里佳)とともに、それらの管理と搬入出に暇がない。新コロ禍で販売の見通しなども難しく、差し入れに来た部長の片岡(原真善美)は結局は廃棄ね、と自嘲するが、唯は、母の香苗(秋本奈緒美)が藍染の職人でもあるので、衣料品の廃棄はもったいないと意見し、美由紀には部長へ具申とか凄いと言われるが、そんな唯は、昔から周囲にちやほやされていて、入社まもない頃は「港区女子ー起業家達との交流を通じて自らも一流の社会に身を置こうという女性ー」として社交的であったが、30歳に近づいてきて人生の曲がり角にいて(こうト書き的に紹介したのは、幼馴染で現在は弁護士の絢香(橘未佐子))、帰宅して、職人を辞めて、今はとある老人ホームで働いている香苗との話で、廃棄在庫とホームの老人が同じかのように言って、酔った香苗に怒られる始末だが、ふと飲み仲間のイベント会社社長の近藤(田邉淳一)に一本の電話をかける。

 その近藤と唯は、無口にカウンターの奥で酒を調合するマスター安斎(友澤晃一)と、同じく無口に配膳、清掃をこなす店員の亜紀(渡部美幸)が働くバー・RUTSUBOで、近藤の冗談に「お腹が痛い」と笑いっぱなしの麗美(葉月智子)と、唯ら女性の前でも平然とAV女優の話題を爽やかに語る若手俳優の宗玄(天川義輝)と、例の、港区女子としての飲み会をしていた。唯の狙いは、近藤を通じて、VGの廃棄在庫をなんとかできる人脈とパイプをつくることだが、目的の人物はまだ来ずに、話題はいつしか新コロや、欧州での戦争話になり、戦争でイベント中止となり数千万円の被害を受けた近藤は怒りで当事国で侵略側の国家を詰る。そんなとき唯の目的の人物、ネット販売を手掛ける会社社長の三枝(青柳尊哉)が来ると、容姿も申し分ない三枝に、唯は本来の目的と同時に、30前のひと花ならぬ想いも抱きつつ、商談に前向きな回答を三枝から得る。

 二人が一座から離れ時間がたつと、近藤らは酒が進み、カウンターで背を向けて飲んでいた女性のナナ(福島愛)に絡み始める。ほどなくナナは、自分は、先ほど近藤が暴言を吐いた、紛争の侵略側の国の人間だと話し、国のしたことでその出身の人間まで仕打ちを受けていることを怒る。ナナは、それがために日本人の恋人と破談となったのだ。しかし近藤は態度を悪化させてナナにさらに侮蔑すると、冷静だった安斎が声を荒げて一触即発となったとき、三枝が仲に割って近藤を諫める。宗玄は麗美を「持ち帰りますか?」と、これは麗美の尊厳もあったものではないが、とにかく座は鎮まり近藤も落ち着き、ナナに詫びをいれて解散。そんな場に、スーツで現れたのが絢香で、ナナの破談話での慰謝料請求等の余地を安斎から相談を受けた仕事で来て、近々唯の会社の人間に用があると言う。

 騒動はともかく商談は進み、唯は三枝を片岡に引き合わせてVGの倉庫で打ち合わせ。最終確認でいったん片岡が席を外すと、今泉と美由紀は三枝もいる中で、会社が課している自分達の評価目標の未達の場合に書かされる「反省文」などの話を始めだす。さらに今回ここまで意欲的に取り組む唯が、これまでは男性社員に、あたかも媚びを売るかのように、その視線ばかりを意識した勤務態度であり、この部署には流れ着いたことなどが明かされると、三枝は3人に、反省文は会社が自主退社をしやすくするツールで、会社はこの在庫同様3人が自主的に廃棄になればよいと願っていることを指摘して、唯には、そんな自分を、自ら男の道具のように位置付けしまう態度を詰り、商談こそ前向きに進めたいが、3人は会社に評価を変えるような成果をあげない限り退社は時間の問題だと言い放ち倉庫を出てゆく。

 打ちのめされる唯、諦めの表情の今泉、怒りが収まらない美由紀の前に戻った片岡は、三枝の言うことの真実を片岡に尋ねると、大筋でその考えは否定せず、しかも会社に何ら貢献もないことを問い詰めると、苦し紛れにSNSで拡散をすると脅す唯に、世間は甘くない、身から出た錆だと逆に責められるだけだと止める今泉。それでも、唯一といっていい港区女子として羽振り良かった時代の名残、SNSでのフォロアー数が8万であることを活かしたい唯は、片岡に、この自分の影響力を会社に活かすことで評価を変えることを持ち掛けて、会社がイメージキャラクターに使いたいという人物との仲を取り持つことを約束。唯の気迫に、今泉は、廃棄在庫のコスト減を、美由紀はフォークリフト導入で効率化を図れる算段があることをそれぞれ成果の条件として片岡に再評価の検討を頼むと、片岡は上層部へ掛け合うことを約す。

 安堵して帰宅しようとした今泉のもとに、絢香がやってきて、ナナの件で話があると言う。唯は、今泉がナナの破談の相手だと驚くと今泉は唯にも同席を願い絢香も認めつつ今泉に復縁を望むと、両親は反対していいたが祖父は侵略国の占領下でも個々の人間とは仲良く暮らしていた経緯もあり喜んでくれていたが、紛争で交流が途切れると、家族に祝福されない結婚は出来ないと苦悩で告白する今泉だが、家族よりもナナという人物その人への愛を育むことが大切と説得する絢香に、今泉も最後は両親を説得してみると頷けば、後を追ってきたナナがその話を耳にして二人は抱き合う。一方唯と絢香も、その夜は唯の家で、母の香苗ともども家飲みで、絢香の愛の説得を笑う唯に、自分は愛をどう語るかを問われると、今は仕事とはぐらかして、片岡らの会社との問題を話すが、一方部長(会社)にも、自分が愛されたいのなら、まずは部長たちを信用しないといけないと言う。そこに宗玄から、イメージキャラクターの件を前向きに検討するとメールが届き、宗玄ってどんな役者?と香苗がRUTSUBOでの写真を示すと、香苗が安斎を見て、藍染の会社にゆかりある人物だと呟く。

 その後、近藤から、宗玄について麗美が、暴露記事を売り込むと怒っていると聞いた唯は、RUTSUBOで麗美と会い、曰くセクシー女優との合コンにうつつを抜かして浮気している宗玄が許せないということだが、それだけ仕事が順調で調子に乗りたいのが男、自分もたくさん男に遊ばれたけど、麗美がホステスという夜の仕事をこれからも続けるならば、男という生き物を知るためにも、この浮気は知ることは大事だけど、自分のより太い顧客などの人脈として使うしたたかさも持つべきと説得して、麗美は唯を、神と呼ばせてと納得して暴露は留まり店を出る。

 ホッとした唯に、今度は三枝がやってきて、その後の唯らの会社への交渉を聞いて、唯は身近の人を幸せにできる愛に溢れた人だと認識したといい、近藤も交え改めて乾杯し、今も仕入れた廃材を途上国へ寄贈するのに忙殺の毎日だという三枝。すると、カウンターで静かに飲んでいた、とある途上国の出身で現在英会話の講師をしているというコフィ(村上隆文)が話をききつけて、安斎が止めるのも聞かず、善意で贈られたはずのそうした廃材が、途上国ではすでに先進国からの廃材で超飽和状態で、とくに化学繊維が使用されているものは再資源化もできずの山へ埋められているといい、これ以上の寄贈は迷惑とまで詰る。先進国のSDGsが途上国には迷惑な考えであるという一面を唯は知らずに、知っているだろうはずの三枝に、なぜ続けるのかを問うと、疑問は抱きつつもビジネスと割り切り、唯には、これまで同様身近な人の幸せのために愛を注ぐことが一番であり、その一人一人の幸せが長期的には途上国の支援になると説き店を後にして、唯は戸惑う。そこに絢香がまたやってきて、今度はコフィに入管職員が気づいたようで、すぐに出国をしないと拘束されると進言しにくると、コフィは安斎に、ここは安らげる場所でしたと礼を言って店を去る。

 唯も近藤も帰り、客は誰も居なくなったRUTSUBOに、一人、香苗がやってきて、安斎はいつか来ると思っていたと言うと、香苗は藍染を広めるために外国に行ったままの安斎を案じていたと言うと、苦労は重ねたが最後は騙されて文無しとなり逃げるように帰国して数年、大見得切って会社を飛び出した自分の恥ずかしさは、香苗には見せられないと涙する安斎。コフィ達外国人の被差別感などを安斎は肌身で分かっていたからこそ、外国人に優しい店として慕われていたのだ。それでも連絡は欲しかったという香苗に、ただ跪いて頭を上げる安斎に、でも、いまは良きパートナーに恵まれたようねと優しく微笑むと、亜紀は涙を隠すように裏口へ出て行った。

 数日後のVGの地下倉庫では、もう終ったなと落ち込む唯を、廃材譲渡の契約まで破談ってことはないでしょ?と慰める今泉と美由紀。そこに片岡が、作業の一旦中止と新たな作業内容の告知をしにやって来る。その説明は彼から、と片岡が呼び込むとやってきたのは三枝で、いまから廃材を化学繊維の使用有無で仕分けしてほしいという。唯がその真意を求めると、化学繊維含有のものは、途上国への出荷をやめて、それらは断熱材にリサイクルできる事業の会社に譲渡して、その投資を開始したと三枝が説明。あのRUTSUBOでの話を踏まえて、三枝なりに出したひとつの結論であったのだ。喜びのあまりに思わず三枝に抱き着く唯。美由紀は仕事中とブーイングだが、片岡が急ぐわよ、と率先して作業に加わるなど、少しだが変化も見られ始めた地下倉庫は、本来の薄暗さとはかけ離れた光が差し込んでいた。

(所感)

作演出は中津留彰仁さんという方で、Nakatsuru Boulevard Tokyoの第3回公演とのこと。小生でも名前も顔も一致する数少ない元AKB48の、それこそ創成メンバーだっけ、という北原里英さんが演じる三十路間近の中堅会社員が、なんだかんだで寄らば大樹、的に安住していた会社から、クビ候補のレッテルを貼られていたことを知ってから目覚めて奮闘するという物語だけど、その奮闘が、等身大というか無意識というか、決して身の丈を越えたものをしようとかでないことが良かった。北原さんも、そこまで熱は無い感じで演じられていたのも良かった。小生には、三枝の言葉どおり、途上国支援とか大上段で考えることでなくていい、自分の身の丈でできることから始めればいいんですよ、と言われていることがありがたかったね。恥ずかしながら小生もまた、こうした問題には無知だったから。せいぜい途上国の問題も、そこの政治家とか国王とかが、寄贈された品々を過大なマージンつけて横流ししてるんだろう、くらいにしか想像できなかったもの。安斎の挫折なんかも描いていて、現実はなかなか難しいってことに言及しているしね。社会問題は、自分たちの立場それぞれで違うんだというところから始めようってことだろうかね。

 また、序盤のRUTSUBOの、近藤がナナに絡むシーンでの、露骨な侵略国への非難とか、自国内だからこそ平然と蔑むような言動をとれちゃうところが、最前ってのもあるからか、とても居心地が悪くてね。マスクの下で、近藤ちゃん、それ以上は言わないでよ、って止めてたもの。この部分だけは、近藤ひとりだけで帰ってほしかったね。宗玄も麗美を、女性がモノみたいに平然と言うところとかも含めて、それくらいこのシーンの役者さんたちがリアルで、小生を帰りたいって気にさせてくれました。

 北原さんともう一人、これも昭和から平成にかけてテレビドラマ等ではお馴染みの、秋本奈緒美さんを、この距離で観られたのも、もうテレビドラマとかはとっくに興味も失った小生だけど、あの時代にそれらに出ていた人の今を舞台で観られたのも何より。小生には、最初の唯とのシーンで出た時は、メイクが薄い感じに思えたんだけど、それがリアルな帰宅後の唯との会話って感じに思えたくらい。そしてラストの、この部分自体は本編からすれば、無くても良い、という安斎演じる友澤さんとのシーンも、客席には後ろ姿を見せてであるけれど、感情が高ぶらず、でも数年来の再会を喜び、明らかにかつて愛していたことを想像できる芝居も素敵でした。

他、近藤の田邉さんの、調子よさの中で数千万を負った悲哀とか、今泉役の越前屋さんの、まあ、小生が好みの、とくに友池さん作品でよく出る、いわゆるダメな男の演技とかも素敵だし、ちょもとは「舞台 013」で共演の美由紀役の佐藤さんの良いがさつさとか、会社の裏切りが暴露される前にも3人には優しかったと思える片岡役の原真さんとかも素敵でした。

(ちょも)

今作でも、新境地たる役柄を演じられて、小生はまた引き出しが増えた、鈴木萌花が主演したとか、平瀬美里が主演続くとか、そうしたことに引けをとらない喜びを感じたね。この、麗美という、港区のホステスで終わるかどうかが、暴露を止めてしたたかに女を利用して生きることにして、銀座の女にまで昇りつめられるチャンスに近づいた女性の、まさに「オンナ」を演じられたのは、こういう役もできますよってことだものね。すでに善悪は何度も経験しているので、ここで、性を表現することをできたことが、さらに生かされることは間違いないでしょう。そして、ちょもも、先述した、居心地わるいあのシーンに登場して、宗玄にモノみたいに扱われることもある程度はかまわないよ、みたいな表情でいたのも、ますます小生が居心地悪くなった気分をアゲてくれたしねw。ひとまず年内の舞台出演は終了なのかな?でも確実に来年も、たくさんの舞台で、また、いろんな役柄で、小生の予定を埋めてくれること間違いないでしょう。


②播磨かな 朗読劇 名前を付けて保存~データフォルダ~ (11/1~11/6 アトリエファンファーレ東池袋)

播磨は、舞台としては、8月中旬のメイホリさんの朗読劇「叶え屋ソルシレーヴ」以来約3か月ぶりの出演(だから競走馬じゃないってw)。でも、10月はアイドル活動の唯一のよりどころである、浪江女子発組合でのライブが全くなくて、でもソロイベントなども無いところだから、この朗読劇はありがたいね。余談だけど、スタプラもこのところ、川上さんの配信番組(ひとりふんどしやYou Tubeのやかんのやつw)が、ももクロからスタプラアイドル主体になっていたり、また変わってきているみたいだから、もっとソロのライブイベント的なものも出来ないものかなあ!?

と、本題に戻ろうか。播磨は今作はダブルキャスト公演で、全10公演中5公演に出演で、小生はその初日の11月2日に観賞。

(あらすじ)

ある日、クラウドサービスを管理する会社が持つ、世界的な巨大サーバーがバグを起こして、誰もが削除したはずのデータがよみがえるという事件が起こる。ラジオのDJ(はらあやの)が早速この件に基づいたエピソードを募集すると、4つのエピソードが読まれ始めた・・・

居酒屋で飲食中のマイ(日比美思)と、その先輩の男性社員のクロサワ(シゲタロイ)。マイのスマホには、この事件で、かつて撮影した、クロサワが後輩の女子社員とのろけている写真がよみがえってしまい、その写真を消すべきかどうかをクロサワに委ねるべく、マイは彼を呼び出すがてら、当時マイもクロサワに少し好意を持っていたこともあったが彼が結婚が決まったということで感慨深い思い出があったが、一方クロサワは、この時結婚への迷いや、結婚のために好きだった物を捨てざるをえなかったという苦い思いがもあったようで、こうした姿はその反動的なものと釈明し、今は娘も3歳で、娘にのろけている真っ只中だという。もちろんマイも、今をどうこうする意図は無く、最後は懐かしさを封印するべく削除を押す。

そのマイが夜に帰宅すると、マイも思い出せない、男女によるハッピーバーズデーの歌と猫の鳴き声が入る音声が蘇る。男の声は不明だが、女の方は思い出せば、それは同級生のアカリ(播磨かな)。電話してこの声の経緯をアカリに問うと、アカリの方は、どうやらこの件は思いだしたくない様子。するとマイは、男の声は、前にアカリが付き合っていたタモツ(山﨑玲央)のものと思い出すが、依然として、このシチュエーションは心当たりがない。するとアカリは、マイに教えるというよりは、自分の過去を振り返る意味で、静かに回想を始める。

今は社会で働くタモツは、かつて劇団に所属して芝居に没頭する毎日を送った演劇青年。その当時の写真がこの事件で蘇ると、そこに映る劇団の主宰のクロサワが懐かしくなり電話。果たして今は、あの演劇好きはどうなっているのか、と電話口にでたクロサワはクロサワで、やはり演劇バカというくらいのタモツからの電話には、今は演劇を辞めて、しがない3歳の娘の父親であることに、見栄もあるのだろうか、当時の演出家ばりにふるまうが、やがて今の素性も明らかにして、夢に破れた自分をタモツに詫びるが、タモツの方もまた演劇は止めていて、そんなクロサワをおかしく思うと同時に、同様のほろ苦さも覚えながら、思い出したくないこの写真と別れを告げる。

そのタモツが、まだ演劇に没頭していたころに付きあっていたアカリは、友人のマイの誕生日のサプライズを演出するべく、当時マイの部屋にも入れたこともあり、彼女の留守中にその部屋でハッピーバースデー、ディア、マイ!と収録しようとする。芝居っけがあるタモツのこと、自分の声はヘリウムガスで変声させて吹き込んでいるその最中に、突然猫の鳴き声が入ってきたところで音声を切る・・・、という話を改めて、アカリは別れたタモツと久しぶりに電話で話すが、いつしか別れの原因は何であったのか、をまた蒸し返すような流れには、それぞれが受け入れがたい部分もあり、お互いにこれ以上は止そうと、写真とも電話ともまた別れを告げる。

・・・今夜も番組にお付き合いいただきありがとうございました。最後はこの曲「データフォルダ(作詞作曲 はらあやの)」でお別れです。

僕だって君だっていつかは忘れるんだろう

仕草もにおいも声もあんなに

頭ん中焼き付けたのになあ

あの時のあの場所もいつかは無くなるんだろう

景色と時代が変わってゆくように

きっと当たり前のことなんだろうなあ


(所感)

企画制作は東京舞台製作というところで、先述のとおり実際にはありえないファンタジー事件ではあるけれど、消した過去の思い出は誰にもあって、それらが予期しないときに突然蘇ったら、どこまで当時の思いに踏み込むだろうか?ということを描いた作品。

とにかく、小生が一番に思ったのは、これまでの観劇経験でも、事件こそありえないものだけど、思い出した過去の内容も現実にあり得るものばかりで、それを、播磨含めた4人の演者さんが、演劇的でない普通の会話調で、かつ、ほぼ静かに、というか我々が日常で人と会話する時ってこう話すよね、という、つまりセリフチックになってないのが素敵だった。DJ役のはらあやのさんも、開場中に番組をオンエアしている体でDJするのも自然だったしね。

ただ、これは残念というか、でも主催が認めたんだからいいんだが、小生の座った後ろに、一般のお客さんだと思うんだけど、明らかにいわゆる「未就学児童」連れが居てね、その子が、小さい声だけど、やはり出ちゃうんだよね、そうしたものが。小生もよくアイドルライブのMCとか、曲を口ずさんじゃう人がいても自分は大丈夫と思っているけど、今回演劇の観劇では、やはり集中がそがれてしまうことを実感しました。でも、この子も大声とかではなく、むしろよくこの大人しさで済んだなあ、と感心もした自分もいたし、なにより演者の4人も、まあ、播磨は子供好きだから微笑んでいたけど、他の3人も、無理に声を上げたりとかはしないで、先述のとおり、日常会話の芝居のような、静かさを保っていたのも素敵でした。

※こんな事情もあり、ここで書いたあらすじは、結構小生が脚色しちゃってる部分あります。でも、こういう背景も含めてレポするのが小生のスタイルなのでご容赦ください。

(播磨)

これはもう、とにかく、播磨も、この3人の方々に劣らないと思えるほど、いつもの立ち芝居とかで演っている、芝居らしい、ってものを抑制して、静かにアカリの心情を吐露していたのが素晴らしすぎ。年齢は21歳の播磨よりも数年先のアカリだけど、メイクや着るものもあるだろうけど、25歳の播磨ならこんな感じ、というように25歳くらいのアカリの姿だったね。もちろん播磨の活舌の良さは証明済みで、噛んだりも無くて安定していたし、これも相変わらずの、朗読劇でありながら、目線は台本にあるようで、実はセリフはほぼ頭に入っているという感じにさせられるのも技術の高さでしょう。まあ、大学とSHOEROOMとラジオ(MBSのごちゃまぜ)で、アイドルのライブが無いのは、その分自主練にできるというのはあるかもしれないがね。でも、播磨はアイドルとしての活動が増えても、しっかりとどの仕事も全うするんだろうな。

そんな播磨の次回作は、舞台「マジの宅急便」というもので、これには、ちょもやみぃちゃんも共演したことある役者さんも多くて楽しみ。高橋明日香さん、永瀬がーなさん、そして結城美優さんで、とくに結城さんは、あーりん推しってのをツイッターで呟いていたとあれば、

播磨!

まずは、結城さんとは、

あーりんでつかみはOKね!

楽しみに待っています。

この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?