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C.O.S.A,阿部芙蓉美,羊文学,EDENを軸に生きる過激派リスナー

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    解散・活動休止したバンドマン達の遺作をまとめてます。

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    Death Metal ,Slamming Brutal, Gore Grindのディスクレビューまとめ。 皆も深淵を覗こう。LDOH準拠。

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地方上京者の東京曲

・序文約3年前、'19年4月に私は上京した。東京という地が初めてではないにしろ、血縁・友人などが皆無なこの場所でひとり暮らしを始めるに際し背筋が伸びる思いだった。 1.エンディング-羊文学『若者たちへ(2018)』-''透明な街、東京は晴れ 呼吸は正常、心は空 透明な君、東京は影 呼吸が苦しい、風がいっぱい'' '19年から丸3年 東京の正体は知れず、地元にとんぼ返りしたのだった 意気込むこともなく渋谷と新宿の狭間に居を構え、怒涛の日々は文字通り怒涛に過ぎた つまるところ

    • 『All That We Have Now』/ Fear, and Loathing in Las Veags 10周年に寄せて【クロスレビュー】

      2012年8月8日 Fear,and Loathing in Las Vegas 3作目のスタジオアルバム『All That We Have Now』がリリース。   ・『鳴動』| by酩酊 Fear,and Loathing in Las Vegas(以下Falilv)と出会ったのは中学2年生の秋。思えばあの出会いが今の好みを形成していることに気づく。そんな自分のルーツでもあるFalilvの2枚目のアルバム「All That We Have Now」の印象を強く残し

      • 『無色透明/2020』/illequal【旧譜レビュー】

        日本のアーティストillequalの'21年作 傾向として、元来私はボーカルのない音楽を聴く方ではない。 「目の前の景色にすら勝てない程度の音じゃなんもならない」とは「sugAA」/Tohjiでのリリックだが、それを地でいってるのがこの作品だ。これほどまでに感覚を占領されるような、視界に映る風景より雄弁な音があっただろうか。 特筆すべきは一曲単位の構成の素晴らしさだ。構築された秩序を壊す(造る?)ビットクラッシュの塩梅もさることながら、独立したようなアウトロの素晴らしさ

        • 『君がまたブラウスのボタンを留めるまで』/BIG MAMA

           『Love and Leave(2007)』でBIGMAMAに出会った私にとって、今作は彼らの一つの到達点だと思っている。思い出による補正は大いにあるのだが。当時かじりついて聴いていたSCHOOL OF LOCKでリリースを知り、TSUTAYAに駆け込み、そして今に至る。  英語詞の割合は減り、前面に押し出される日本語歌詞。彼らがマスにめがけて舵をきったのは言うまでもない。しかし、今までよりバイオリンは荒々しく、タイトルに相反しロックテイストに。そしてなによりアルバム全体

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        地方上京者の東京曲

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          『東京絶景』/ 吉澤嘉代子【旧盤レビュー】

          吉澤嘉代子に出会ったのは、多くの人がそうだったであろう、'17年に発表されたシングル『残ってる』であった。 重要なトピックスをどこかあっけらかんとして歌う『残ってる』は私の心に新しい風をもたらした。センチメンタルを軸に冷ややかな目線で本心を見つめる。事実を淡々と。 彼女の旧譜は私の吉澤嘉代子のそういったイメージを一蹴した。 バラエティに富み、歌詞はユーモアを混じえ、人の機微に触れる。彼女はすべてを許容する。悲しみ、怒り、諸所の感情はきらめく語彙ですべて魔法めく。言ってしまえば

          『東京絶景』/ 吉澤嘉代子【旧盤レビュー】

          『GUNJOU』/ ACE COOL【個人的名盤】

          広島・呉のラッパーACE COOLの1stフル。 HipHopにはその音楽の特性上、自然主義的側面が色濃く出る。いわゆる''リアル''というやつである。ボースティング、地元の友人と派手な過去。優美なそれらとは無縁な泥臭いところに彼はいる。 地元での内向的な少年時代から、AKLOに魅せられ上京そして現在まで、自伝的でコンセプチュアルな作品だ。 どこまでも口語的で口をついてでたその熱情そのままにラップする。音楽的なリリックの均しは無(いように思える)く、それを聴かせる彼のラッ

          『GUNJOU』/ ACE COOL【個人的名盤】

          『NEO-PLANET』/ NEO-Kaishin【'22所感】

          Hyper Popの隆盛著しい昨今であるが、私自身はついぞ親しくなる機会を逃して久しい。HAPPY NEO HIPHOPを謳うNEO-Kaishin『NEO-PLANET』 J-Hip Hopの新譜を追っている流れで聴いたのだが、今作はHyper PopにうまくHip Hopを落とし込んでいるというより、本ジャンルの一つの特徴であるBPMの速さに歌唱法としてのラップを道具として用いて、その特性故ハマるほかないと言った印象のものだった。 ''側''は電子音の装飾を施したキラキ

          『NEO-PLANET』/ NEO-Kaishin【'22所感】

          『Maphie Season』/ Maphie【'22所感】

          インターネット音楽が持ち合わせる特製の一つとしてセルフプロデュースが引き起こす、''DIY感''とでも言うべきものがある。個人的にはdodoに端を発する、オールセルフプロデュースによるどこかこじんまりとした、外ではなく内にそして内から広がる、それ故に身近な、ポケットで弄びたい宝物。そういった感覚を今作も覚える。 BPMとオートチューン、勢い任せの作品では決してない、詩性と譜割に代表される稀代の音楽性が後押しする、アートワークから想起される''青''のイメージ。 一貫して透明

          『Maphie Season』/ Maphie【'22所感】

          『狂言』/ Ado 【'22所感】

           恥ずかしながらAdoは初聴であり、アルバムリリースの際に聴けばいいかと思う最中その機会は唐突に訪れたのである。 私の学生時代は6割のメタルと4割のボカロ文化に占められていたのであり、昨今のニコニコ動画を出自に持つアーティストたちの作品群には敬遠気味であったのであった。 一聴した感想としては歌い手文化が時代の潮流を受けてアップデートこそすれど、'10年代初頭の冷凍保存されていたあのテイストが脚光にでも解凍されたのか諸所に、諸所に感じられる。 「レディメイド」クラブ=マジェス

          『狂言』/ Ado 【'22所感】

          『Cool Kids/C.O.S.A.』Release Oneman LIve at WWW X(渋谷)

          1/12 『Chiryu-Yonkers(2015)』から実に7年ぶりとなるフルアルバム『Cool Kids』をリリース。本日1/15には渋谷WWW Xにて自身初となるワンマンライブを行った。 今作は過去の作品群とは一線を画す雰囲気を放つ。『Chiryu-Yonkers』で見せた、赤裸々なまでの自然主義性。『Girl Queen(2016)』では打って変わって終始メロウなビートとフィクションを綯交ぜにしたストーリーテリング。『C-City Lost Tape(2016)』

          『Cool Kids/C.O.S.A.』Release Oneman LIve at WWW X(渋谷)

          6/9『There You Have It』/ REASON【個人的名盤】

          TDE所属ラッパー''REASON'' 彼の1stフル『There You Have It(2018)』 私は、USのHiphop市場に明るく無いためこういった表現が適切か定かでないが彼の声は他と類を見ず、思案深く・瀟洒だ。全体を通して聴くと、彼の人間性が確かではないが浮かび上がってくる。 #3「Kurpt」,#12「Summer Up」にみられる陽気な発声にも慎重な性格が透けて見える様だし、#9「Better Days」~#11「State We In」に見られる落ち着き

          6/9『There You Have It』/ REASON【個人的名盤】

          『20, Stop it.』/ KID FRESINO('21年所感)

          '20年10月07日「No Sun」がYouTube上で公開される。それに伴い'18年を代表するhiphopの名盤『ài qíng』より3年ぶりのアルバムリリースがアナウンス。時代を象徴する『20, Stop it.』。 フレシノとの出会いは思い返せば、『FL$8KS(2013)』〜『Horseman's Scheme(2013)』でいずれにせよ2013年、まだトラックメイカーとしての彼が最初であった。''適当に''ラップしていたと語るC.O.S.Aとの共作『Somewhe

          『20, Stop it.』/ KID FRESINO('21年所感)

          5/9 『若者たちへ』/ 羊文学【個人的名盤】

          2017年10月4日1stEP「トンネルを抜けたら」がリリースされ、 敬愛するライター峰岸利恵さんのツイートで知った彼女等。 バンド名に惹かれた私は一も二もなく、天神福岡ビルにあったTSUTAYAに駆けた。期待に反して、彼女らは私の感受性をもってしてスルリと入ってきたわけでは無かった。シューゲイズという言葉も知らなかった当時、轟音の成す甘さと気怠さ。その重量にむしろ辟易したのを覚えている。しかしいつしか私の学生人生の大半を占めるJR本線先頭車両後部座席での思い出を確実に侵食し

          5/9 『若者たちへ』/ 羊文学【個人的名盤】

          4/9『千年幸福論』/ amazarashi【個人的名盤】

          私の感受性の一端を担うアーティスト、"amazarashi"。彼らのベストは2011年にリリースされた『千年幸福論』であろうと思う。 中学生の時分出会った2010年リリースの諸作も勿論名作だが、今作は私の人生において一つの指針を確立させた。 秋田さんのすべてが反映しフィクションとリアルを綯交ぜに、絶望に管巻き、希望に恐れ戦き、徹頭徹尾人間なのだ。彼が虚構と現代詩然とした詩作に本音を隠すことに彼の人間性が痛いほど表出し、染み入る。amazarashiの楽曲全てに言えることだが、

          4/9『千年幸福論』/ amazarashi【個人的名盤】

          邦邦武者修行2

          10.Gezan-「狂(KLUE)(2020)」初聴。 暗黒説法より始まる世紀末ダンスミュージック。パンク、ハードコア、ミニマル、ダブ、テクノ、呑み込み昇華した怪作。45分弱の尺が全くもって見j格感じる。荒廃した都市唯一のクラブで流れてそう。最近で一番の好み。 11.NITRO MICROPHONE UNDERGRUND-「s/t(2000)」初のフルアルバムにして、邦ラップ史に煌めく金字塔。8MCの縦横無尽でスキルフルな面が余すことなく味わえ、その魅力は渋く過激。拳の

          邦邦武者修行2

          邦邦武者修行1

          邦楽の拡張する音楽性を見極めるべく無作為に名盤を聴いていく 1.betcover!!-「時間(2021)」初聴。 ヤナセジロウのバンドプロジェクト3rdアルバム。 いわゆるインディーロックの極地的な作品。 点在して、主題の輪郭をなぞる歌詞の言語感覚。メジャーシーンに相反する、身体に浸漬し馴染むメロディー。言葉で言い表されるのを嫌うようにしっぽをつかませない作品。 2.きのこ帝国-「渦になる(2012)」きのこ帝国の1st。私とシューゲイズの出会いは本作か、羊文学「トンネル

          邦邦武者修行1