魅力あるキャラクターを次々と生み出すには
漫画で最も重要であるキャラクター。
1人だけでも大変なのに連載となると、何十人、もしくは何百人というキャラクターを生み出す必要があります。
私も以前の連載を経験したときは、展開によっては一気に10人近くのキャラを出さなければいけない…ということがあり、かなり追い詰められた記憶があります。
これはまずいと思い、キャラ量産のやり方を自分の中で確立させていきました。この記事では、その「魅力あるキャラクターを次々と生み出すための考え方」を、すぐに使えそうな2種類紹介してみました。単純にキャラ作りがいまいちわからないという方にも役立つ内容になってると思います。
1:ねじれた関係性から生み出してみる
関係性からキャラを作っていく。
これはよく知られている方法だと思います。キャラが1人生まれたら、そのキャラとの関係性から別のキャラを生み出していくというやり方ですね。
例えば主人公ができたら、主人公の親、兄弟、親友、ライバルと、その主人公を軸に考えていきます。たぶんこの方法は、多くの方が無意識にやられていることと思います。
ただし、その無意識にやられていることに少し意識してほしいことがあります。
それは、「◯◯だけど××」のある関係性を作ってみるということです。
実は関係性はただ作るだけでは、物語に必要なドラマを生んでくれないんですね。そこで必要なのが、「◯◯だけど××」という、ねじれた関係性なのです。
妹だけど、血がつながっていない。
親友だけど、今は憎しみ合う仲。
憧れだけど、どうあがいても届かない。
まっすぐには繋がらない関係性。摩擦が生じて、ドラマが生まれる関係性。キャラクターたちがそれぞれ、そのねじれた関係性とどう向き合っていくのかで、より魅力が伝わります。
ねじれた関係性からキャラクターを考え出してみると、ひと癖もふた癖もある魅力あるキャラクターが生まれやすくなってくれるわけですね。
もしも1人でもキャラクターができているなら、そこからねじれた関係性を想像していってみると、これまでに生まれてこなかったキャラクターがあなたの前に現れてくれるかもしれませんね。
2:作品テーマに対しての考え方から生み出してみる
キャラクターをそのキャラクターたらしめる要素は見た目やクセや能力はもちろんですが、軸となるのは価値観…
つまりそのキャラの考え方、思考、それに伴った行動だと思っています。
その違いは、同じシチュエーションにキャラたちを立たせてみるとわかりやすくなります。
例えば目の前に人が倒れているという状況。あるキャラはまず声をかけるかもしれませんし、すぐに救急車に電話するキャラもいるでしょう。パニックになってしまって何もできないキャラもいれば、もしかしたら無視して通りすぎるキャラもいるかもしれません。このように、同じシチュエーションを用意してあげると、キャラらしい考え方や行動というものが見えてきます。
そしてこの例えから見えてくるのは、同じお題を元に価値観のアイディアを出していくことが、キャラを生み出す考え方としておすすめということです。
価値観が大事と言われても、意外と思い浮かびません。しかし例えで出したように、何か一つお題となるシチュエーションが加わると、とても思いつきやすくなるはずです。
どんなアイディアもそうですが、ゼロから何か思い浮かべろと言われるよりも、お題を設けられてそれに対してアイディアを出せと言われた方が、色々と思い浮かびやすいものですよね。
条件があるほうが思いつきやすい。
これを利用するといいですね。
ではここで。見出しに戻ってみましょう。
「作品テーマに対しての考え方から生み出してみる」
先の例では、「倒れている人」がお題でした。しかし、このお題を見当違いのジャンルの作品で使っても、多少のキャラらしさは出ても広がりは見込めません。
そこで必要なのが、作品テーマなのです。
その作品のテーマをお題として、テーマに対しての色々な考え方を生み出していけば、それだけキャラクターが生まれるということになります。
では作品テーマが「サッカー」だとしましょう。
サッカー大好きボールは友達、というキャラもいれば、
サッカーはプロになってお金を稼ぐ手段なだけ、
サッカーなんて野蛮で嫌い、
サッカーは手を使えるキーパーが最強!…などの考え方を持つキャラもいるでしょう。
このように、テーマに対して様々な考え方を思い浮かべていけるのです。
これだけでも、何となくキャラが見えてくる気がしないでしょうか。
キャラクターの生み出し方というのは、その難しさゆえ、人によって様々な方法があります。
しかし、今回紹介した二つの方法。
ねじれた関係性と、作品テーマへの価値観で生み出す。
この二つを意識してキャラクターのアイディアを出していければ、創作が少しはやりやすくなるかもしれません。
今回紹介した方法は、割とすぐに使えるやり方だと思いますので、キャラ作りに悩んでる方はぜひ試してみてください。
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