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【経理】初めての、税効果会計。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

ベテランの経理さんになると、年度末に税効果会計の担当になることもあるかと思います。3月決算前に「初めて税効果会計をやるので不安」「1年にいちどしかやらないので、ほとんど覚えていない」など、不安の声を聞くことも多いです。

今日は、初めて税効果会計に取り組む場合や、苦手意識を持っている場合に、どのように取り組んだら良いかについて、書いてみたいと思います。


税効果会計に苦手意識を持ちやすい理由。

「税効果会計」という表現にも表れている通り、「そもそも会計の話なのに、会計だけで簡潔せず税金の話も考えなくてはいけない」というのが、苦手意識が出やすい一番の理由でしょう。

私は公認会計士の資格を持たない税理士なので、私が会計の話をするのもナンセンスな気がしますが、私自身も慣れるまでは、税効果会計に苦手意識がありました。その意味では、苦手な方向けに書いてみるのも良いかなと思い、今回のテーマに選びました。

細かい税効果会計の計算方法はあらゆる書籍等で解説されているので、今回は、実際の取り組み方について、思うところを書きたいと思います。

初めての税効果会計!どう進めたら良いか?

経理を何年もやっている方であっても、「実は税効果会計は初めて」というケースは、意外に多いです。会社によっては、全く税効果会計をやらなくても良いことも多いからです。

経験年数を重ねてから「税効果会計の担当は初めて」と言うのは恥ずかしいかもしれないと思うのですが、その事実は早めに(遅くとも決算日3か月前までには)、監査法人や税理士法人に伝えておいた方が良いと思います。その時期に知っておけば、事前に準備して、充分に年度決算に間に合うからです。

税効果会計が初めてと知ったところで、監査法人や税理士法人の担当者は、何とも思いません。「そうか、じゃあ、早めに準備しなくちゃな」と思うだけです。

しかも、実際にその経理さんにヒアリングをすると、「やはり税効果会計についての理解度が怪しいかも」などと思うことは皆無です。初めてだと認識しているからこそ本当に良く勉強されていて、フォローが要らないケースがほとんどです。

それよりも、試算表の提出日に「税効果会計は初めてなので、税効果の仕訳だけは入っていません。ちょっと自分には金額の算出ができなかったので、お願いできますか?」と言われてしまうことの方がびっくりします。そう簡単には計算できません。

仕訳は1本ですが、多くの場合において、根拠資料やレポート作成が必要になるからです。

「会社分類」決めが勝負。

税効果会計については、最初の方針決めが勝負です。

一番大事な方針決めは、「自社の企業分類が、会計基準上の5分類のうちのいずれに該当するか」です。

ここで細かい企業分類の説明は省きますが、この企業分類決めにより、作業ボリュームと、準備すべき資料が決まります

特に重要なのは、「将来の予算は何年分必要か」という点です。

この事前の方針決めが理解できていないと、本来は予算が5年分必要なのに、翌期1年分しか予算を用意していない、という事実が年度決算作業時に判明したりします。

事前の打合せが重要。

そもそも、税効果会計を実施する場合は必ず事前打合せ時に話をします。ところが、「自分は税効果会計の計算作業が初めて」や「税効果会計計算の〇〇の部分が苦手・よく理解できていない」と伝えていないために、簡単に打合せが終わってしまい、実際に自分がやるべき作業を把握していなかったりします。

一方、懸念を事前に伝えておけば、監査法人も丁寧に説明してくれます。また、実際の作業にあたっても、調整すべき金額の算出作業を、税理士法人がフォローしてくれたりします。

協力者を得るということが、初めての税効果会計・苦手な税効果会計を円滑に進めるカギだと思います。

是非、円滑な年度決算を。

誰にでも初めての作業はあり、何年経理をやっていても、初めての作業はあると思います。

初めての作業があれば、是非、協力者を得て、円滑な年度決算を進めてみてはいかがでしょうか。

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ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。