ランニングエコノミーに関して・・・

最近、市民ランナーの間でもランニングフォームの分析・評価が注目されているようです。

こうした背景も手伝ってか「ランニングエコノミー」を効率的なランニングフォームと解釈しランニングフォームの分析によってランニングエコノミーを評価出来るというような誤った認識の記事を見かけました。

ランニングエコノミーは「最大下のある走速度における酸素摂取量(1)」と定義され、最大下の走速度(例えば、時速15km)で一定時間(例えば、5分間)のランニング(テスト)を実施し酸素摂取量を測定することによって得られる指標です。

*ランニングエコノミーに関しては以下の動画を参照下さい。

従って、ビデオ撮影等によってランニングフォームの分析・評価を行ってもランニングエコノミーを測定することは出来ません。

確かに、無駄のない効率的なランニングフォーム(何をもって“無駄のない効率的なフォーム”とするのかを客観的に定めることは難しいですが・・・)はランニングエコノミーに関係する要素ではあるといえます。実際に先行研究では地面反力鉛直成分および水平成分、脚の前方スイング、等のバイオメカニクス的要因がランニングエコノミーに影響を及ぼすことが示唆されています。(2,3)

これらを踏まえ、逆の視点から考えればランニングエコノミーの測定・評価によって、そのランナーのランニングフォームが効率的なランニングフォームであるといえるのか?ランニングフォームの改善が出来たか?ということを評価することは出来るといえます。

いい換えれば、ランニングエコノミーの測定・評価でランニング技術やトレーニング効果を評価することが出来るとはいえる訳です。

近年の技術革新によって簡便に動作分析が出来るようになり、上述したように市民ランナーの間でもランニングフォームの分析・評価が注目され、ランニングエコノミーを向上させるために効率的なランニングフォームを身に付けることが重要であると考えているランナーが増えてきているのではないかと推察されますが、ランニングエコノミーは確かにランニングパフォーマンスに影響を及ぼす要因ではあるものの最大酸素摂取量ならびに乳酸性作業閾値(LT)がランニングパフォーマンスに強い影響を及ぼすことが否定される訳ではありませんし、ランニングエコノミーだけで持久力やランニングパフォーマンスの評価が出来る訳ではありません。

ちなみに、最近ではランニングエコノミーをエネルギーコスト(ある距離を走るために必要とされる酸素摂取量)として評価することで、最大酸素摂取量ならびにLTとの関連からラニングパフォーマンスの推定に活用する試みがなされています。(4)

いずれにしても、これらを踏まえ市民ランナーは、まずは最大酸素摂取量ならびにLTを向上させることに注力することをお勧めします。。。

(1) Cavanagh P R, Kram R:The efficiency of human movement –a statement of the problem. Medicine and Science in Sports and Exercise 17, 304-308,1985.

(2) Chang Y H, Kram R:Metabolic cost of generating horizontal forces during human running. J.Appl. Physiol. 86: 1657-1662,1999.

(3) Chang Y H, Huang C H W, Hamerski C M, Kram R:The independent effects of gravity and inertia on running mechanics. J Exp Biol 203: 229-238,2000.

(4) Fletcher J R, Esau S P, MacIntosh B R:Economy of running: beyond the measurement of oxygen uptake. Journal of Applied Physiology 107: 1918-1922,2009.

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野口克彦

マラソン/トライアスロン

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