ビットコインは中央銀行の代替となるか?

好評だった前回の記事に続き、今回もビットコイン・デベロッパーJimmy Song氏の記事を翻訳しました。

ビットコインの価値の有用性は、どこからくるのか?

その根拠は?

ゾクゾクするような考察です。

以下、本文。

Bitcoinが成功したという事実に、疑いの余地はありません。 Bitcoinは10年間、止まらずに稼働しています。 Bitcoinの時価総額は100億ドルを超えています。 Bitcoinは他のどんなシステムよりも稼働率が優秀で、ビジネス、オープンソース・プロジェクト、投資家が関わる巨大なエコシステムを生み出しました。一方で、プログラムであるがゆえ、Bitcoinは競合する多数の模倣者も生み出しました。

一般的に明らかではないのは、そもそもなぜBitcoinが機能するのか?またBitcoinが価値を持つのか?ということです。私たちはビットコインに価値があることを知っていますが、ビットコインの価値は、どこから来るのでしょうか?私たちはビットコインがお金のように振る舞うことを知っていますが、なぜお金のように振る舞うのでしょうか?私たちはビットコインがどのように機能するかの仕組みを知っていますが、なぜビットコインが機能するのでしょうか?

これらの問いは、Saifedean Ammous氏の著書、「The Bitcoin Standard」で答えられています。本記事では、この本の詳細を検証するのではなく、Bitcoinがなせ機能するのかを答える方法として、本に提示されている有力なアイデアをいくつか紹介します。

ちなみに、この本は非常におもしろいです、通貨の歴史を知るためのだけに買う価値があります。通貨が有用である根拠が徹底的に研究され、その論理的な説明には洞察力がありました、金融政策の2次、3次的な効果もよく説明しています。本書は、Talebの「Antifragile(反脆弱性)」など、私がこの数年で読んだ本のセレクションに加わっています。

ネタバレが嫌な場合は、この記事はここで中止して、本を読んでから戻ってきてください。気にならないならば、このまま読み続けてください。では早速、本書からの有力なアイデアのいくつかを見てみましょう。

インフレが人の時間選好率に大きな影響を与える

時間選好率※1は、社会がどのように機能するか測る上で重要です。高い時間選好率を好む人は、例えば、欲しいものがあれば「現在」または、できるだけ早く手に入れようとします。時間選好率の低い人は、後でより良いものを手に入るのであれば、すぐに手に入れることは控えようと考えます。

※1: 時間選好率とは、「将来に消費することによる満足度」より「現在に消費することによる満足度」を好む割合のこと。
例:「今1万円をもらうか、1年後に1万円をもらうか選んでください」と言われたら、どちらを選びますか。時間選好率が高い人は、今1万円をもらうでしょう。逆に時間選好率が低い人は、1年後に1万円をもらう方を選択します。 引用元

時間選好率の高い人々は、将来についてあまり深く考えないでしょう。明日のために節約する代わりに、彼らは今現在を消費します。彼らは皆、明日のための節約、事業のための貯蓄、または大規模なプロジェクトのための計画は行いません。

「ローマは一日にしてならず」です。文明を築くには、時間選好率の低い人々による社会システム構築と、大資本プロジェクトが必要です。

Saifedean氏は、本書の中で金融政策が、人々の時間選好率に大きな影響を与えると主張しています。高いインフレ、または購買力の急速な低下は、人々に高い時間選好率を持たせる。そのような国々の人々はできるだけ速くお金を使います。これは超インフレ経済に見られる現象です。

さらに興味をそそるのは、高い時間選好率が、他の生活分野にも浸透しているという考えです。例えば、肥満および2型糖尿病は、不健康な食物の過剰摂取によって引き起こされ、これは時間選好率の高い人のあいだで顕著です。これが事実であれば、貧弱な金融政策を行なっている社会では、肥満の人だらけになります。確かに、肥満は過去40年間で世界的に3倍になりました。当然のことながら、この事象に因果関係はありませんが、調査する価値があります。

Bitcoinには、鉄壁の金融政策があります。インフレ率が予想され、供給量は2100万枚に制限されています。Bitcoinを所有している人々から、見て取れるのは、低い時間選好率を持つ人の行動です。少なくとも個人的には、Bitcoinを手に入れた人は節約についても、気にかけているように思えます。どちらが原因で、どれが結果であるかを結論付けるのは困難ですが、非常に相関があると言えます。

実際、Bitcoin保有者の時間選好率は低く、それがよりBitcoinの希少価値を高いものにしています。結果、Bitcoinをより手に入れたいと思わせ、さらに多くBitcoinを保持したいと思わせます。これこそが、過去10年間、Bitcoinの価値を高めてきた好循環です。

マネーサプライを増加させる終わりなき欲望。

本書で最も興味深い考察の一つは、過去に実際の通貨として使われていた様々な媒体についての議論です。例えば、レアストーンや貴金属などです。実際、これらの媒体の通貨としての機能を無効にしたのは テクノロジーです。具体的には、人類は同じ媒体を大量に生産する方法を考え出し、供給量を増やして、媒体の希少性を減少させてきました。

通貨を生み出すためのコストが、通貨自体の価値よりも低いとすれば、より多く発行しようと思うのが合理的な行動です。貨幣媒体の価値よりも、少ない価値でより多く手に入れようと誰もが思います。しかしながら、通貨を大量に発行したからといって、経済の生産能力を増大させたことにはなりません。通貨の供給を増やしても、実際には何かを生み出すわけではありません。貯蓄している人々から、通貨の供給側に富を移動させているだけです。

あまり一般に理解されていないのは、我々、法定通貨の経済圏では、より多くのマネーサプライを創り出すこと自体が、目的になっていることです。 Saifedean氏は、銀行セクターの大部分が、本質的には通貨の創出活動に従事していると主張しています。米国の銀行がGDPの7〜10%を占めていることを考えると、この作られた富は、社会の生産性を高めない再分配であることがわかります。

Bitcoinを価値あるものにしているのは、もちろんproof-of-work (マイニング)です。 Bitcoinがより多くのマネーサプライを生み出すことについて興味深いのは、マイニングが二次的な機能を持っているということです。 Bitcoinが発行されるという行為は、proof-of-workを通じて、Bitcoinネットワークのセキュリティを強化しています。ある意味、Bitcoinのこの機能は他のどの通貨システム違って無駄がないのです。富の再分配をすることによって、ネットワークにセキュリティを与えているのです。ネットワーク全体が、セキュリティを強化するためにマイナーにBitcoinを払っており、送金者はセキュリティを担保するために、マイナーに手数料を支払っているのです。

さらに、このことはPos(proof-of-stake)が劣っていることを明らかにしています。より多くのコインを生み出すための、エネルギーは費やされるでしょうが、私たちはそれがどのように行われたかは検証しようがないのです。さらに言えば、Posによってネットワークにセキュリティが追加されることはなく、発生した作業は無駄になります。

法定通貨は、あなたの所有物ではありません

本書の中で、最も注目すべき箇所は、第一次大戦時に起きたことの言及です。セルビアの分離主義者と、オーストリア・ハンガリー帝国との間の小さな戦争として始まったことが、戦争に関与したほぼすべての国の財源を使い果たした世界規模の大戦となりました。この戦争と、以後の戦争の違いは、中央銀行の存在でした。

具体的には、中央銀行が法定通貨を増刷するを可能にし、所有者の同意なしに、通貨の価値を減少させることが可能になりました。政府が所有しているお金だけを使うのではなく、政府がインフレを通して、間接的に所有者から通貨の価値を奪うことを可能になりました。

インフレだけが、法定通貨の価値を減少させるのはではありません。ほとんどの通過は現金ではないため、銀行口座を差し押さえることは、政府がお金を没収するためのもう1つの有効な方法です。金融機関をめぐるAML / KYC法は、政府が承認しない人々からの口座を差し押さえるための監視システムです。暴政の始まりは、いつだって、テロリストやマリファナの栽培者、ポルノ作家、政敵の資金を立つことです。

一方で、Bitcoinは特定の第三者機関によって管理されてません。 Bitcoinを没収するには秘密鍵が必要です。これは法定通貨とは異なるだけでなく、多くのアルトコインとも異なります。 例えば、Tetherは特定の硬貨を、買い戻し不能とマークしました。 Ethereumは一方的に「ハッカー」と見なした人間からETHを没収しました(DAOハック事件)。

Sound Moneyはよき未来を作る

Sound Money※2、が社会にとって重要である理由はたくさんありますが、本書から学んだ最大の理由は、Sound Moneyによって人々が、効果的に計画を立てることができるということです。法定通貨の得意分野は単位の分割と、長距離間での送金です(例外は外国送金またはマイクロペイメント)。法定通貨が得意ではないのは、将来のために通貨自体の価値を保持することができないということです。

※2: Sound Moneyは主にオーストリア経済学派のリバタリアン的な考え方から生まれた概念。個人の趣向性を写す市場によって選ばれるモノであり、特定の権力者の意思により供給量が変更されることがないお金がSound Moneyと呼ばれる。 引用元

Sound Moneyは、貯蓄をより推し進め、貯蓄は資本の蓄積を可能にします。十分な資本が蓄積されたら、それを利用して生産をより効率的にするための大規模プロジェクトを実施することができます。本書の例では、素手を使う漁師 対 釣り竿と網を買うために貯金をする漁師の例があげられてました。後者はより効率的であり、そしてより多くの生産を可能にします。

鋭い読者は、誰かが一元的に資金を供給して、同じだけの利益を得ればいいのでは?と疑問に思うかもしれません。実際にこれが、政府支出でやろうとしていることです。残念なことに、何に投資すべきかについての決定は、金銭的インセンティブも、専門知識も持たない政府官僚に依存しています。その結果、多くの不正投資または、無駄が生じることになります。企業の福祉、どこにもつながっていない橋、またはグリーンエネルギーの大転換のような、無用な仕事に流れて行ってしまうのです。

一方、起業家には大きな経済的インセンティブ(特に損失回避)と投資に対する専門知識があり、それが成功の可能性を高めます。さらに、成功した起業家はより大きな報酬を得て、彼らは大資本プロジェクトに再投資でき、時間の経過と共に、より良い結果を生み出します。

結論

Bitcoinの存在意義は、このSound Moneyであることです。Sound Moneyは、資本蓄積を推し進め、投資を可能にし、その結果より少ない努力でより良い商品とサービスをもたらします。最終的には、すべての文明に利益をもたらします。まだ人類はそこまで行ってませんが、これがゴールです。

Bitcoinを通して、法定通貨に基づいている私たちの社会との違いを見ることができます。ただ利益を追求するより、新たな起業家を。ゼロサムゲームをプレイする代わりに、パイに加わえる新たなイノベーションを。

BitcoinはSound Moneyであるため機能します。そして、Sound Moneyこそがすべてを変えます。 Bitcoinは、政府の役割や人々がお互いにどのように関係するか、人々の将来に対する見方などを変えるでしょう。Bitcoinは、今の通貨システムが混乱しているから誕生したのです。Bitcoinは、社会からいたずらに利益を求めるためではなく、建設することを動機付けるために存在するのです。

革命へようこそ。


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