アーティスト「ano」について

初見は、ひろゆき氏とのネット討論だった。お題は「歯並びがいい方がよいのか悪いほうがよいのか」。率直に物事を述べ、わからないことはわからないという、直観力を備えた、年寄や権威者には不可能なスキルを持っているとの第一印象だった。

一見して不思議ちゃんなのだが、彼女のアーティストやラジオパーソナリティ活動としてのプロ意識に昨年末から驚いている。「きっちりやる」という姿勢だ。
一例を挙げると、年末の多忙なスケジュールのためレコード大賞時に喉が限界であった(前日に紅白のリハも行っているー1日だけメディアから消えた日であるーてっきりグースカピーしてると思っていた)。しかし、口パクやVTRに頼らずに、生声で精一杯のパフォーマンスを行ったのである。過去には、安室奈美恵や華原朋美は口パクを一切しなかったが、ここまでのボーカリスト意識の人はしばらく見ていなかったと思う。しかも、レコ大パフォーマンス直後のxで反省の弁をしっかり述べている。

会話や受け答えは苦手、と自身は述べられていたが、彼女は自分が進行役としてイニシアチブをとる側になると才能を発揮するように思われる。この点で、受け答えは上手だが講演形式は苦手と述べるひろゆきや、天才的な発想のコメントはできるが司会役になるとトーンダウンする成田氏とは一線を画す。

特に、オールナイトニッポン0では、メールに対する返答の速さとかゲストやスタッフへの気配り。話題の自由度や場面転換が上手で、「毒舌と優しさ」を併せ持った稀有な存在と思われる。創造と破壊を常に行うようでいて、話してよい内容か悪い内容かゲストやスタッフに確認しながら進める常識的な面も持つ。

彼女自身が名曲と言う「普変」は、作り手の尾崎世界観さんとのラジオトーク(spotifyや過去の動画で視聴可能)で初めて意図を理解することができる。
個性を大切にする、という建前があるけれども。普通に生きているつもりでも変に思われることがある(歴史的には、変人と思われた人が凄い技術を生み出していたりするが)。現実には周りの空気を読んだり察してあわせる、本音はあえて隠す。というこの国で生きづらい様々な人に力を与えようとする彼女の生き様が表れているように思われる。この点で、世の中でうまく生きていけなかったりはじかれた奴らのために曲を作っている。と述べた往年のロックボーカリストを彷彿とさせる。

にゃんにゃんおえ、と読む風変わりなアルバムを出されている。このサブスク主流時に歌詞カードやジャケットを物として残そうとする職人気質が見られる。なお、cdは、30年を過ぎても保存がしっかりできる。30年後にはどんな曲が流行っているのかな〜。




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