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やわらかブーツ

◾️靴をつかい分けたい

 二分脊椎による下肢運動障害があり、普段は短下肢装具をつけ電動車いすで移動されているお嬢様とそのお母様から、「靴で困っている」とご相談を受けました。
 聞くと、平日の外出では装具をつけ、週末には装具をつけずに市販のスニーカーを履いて出かけるなど、TPOに合わせて装いを選んでおられます。けれども、スニーカーを履いた日には、時間が経つと「足が靴に当たって痛くなる」ことがあるそうです。そのため、リラックスしたお出かけのときには、柔らかいルームシューズを外履きにすることもあるのですが、夏には暑くて履けないとのこと。市販のルームシューズは防寒目的のものが多いからでしょう。
 そこで、夏のお出かけで履ける、柔らかい可愛い靴が欲しいというご依頼をいただきました。

◾️デザインの検討

 先にご依頼をいただいた装具カバーのパターンをベースに、ショートブーツを作ることにしました。studio fukuの機材では、靴用の硬い材料は扱えないので、フェルトや布のクッション材を活用して、なるべく靴らしい外観になるように工夫しました。涼しげで、可愛くて...そしてお若いお嬢さんで...と想像をめぐらしながら、デザインを検討しました。

デザイン検討 レースで涼しげに

◾️楽しい色選び

 そして最終的な寸法調整と色選びのため、試作品と生地見本を持ってご自宅に伺いました。
 当初、夏用の靴が欲しいとのことでしたが、試作品を履いていただいているうちに、気に入っていただけたのか、冬用もつくろう!ということになりました。

生地見本 夏用と冬用それぞれ選びます

 するとご本人とお母様にお父様も加わって、楽しい色選びが始まりました。とびきり明るい色がお好みのお嬢様と、ワードローブとの相性を確認されるお母様、その二人の思いを両立させたいと穏やかに素敵な知恵を差し出されるお父様とのやりとりが続きます。互いを想いやる温かい空気が伝わってきて、私も幸せな気持ちでお話を伺っていました。
 しばらくすると、お嬢様もご家族も出来上がりを楽しみにしてくださるような結論に至り、製作に入りました。

◾️納品、そしてお喜びの様子

 遠方のため、郵送での納品となりましたが、早速着用写真をお送りくださいました。ご本人が喜んでくださったのが伝わり、とても嬉しく思いました。

お喜びの様子

◾️仕様のご紹介

 このやわらかブーツをstudio fukuの見本でご紹介します。
夏用のショートタイプと、冬用のミドルタイプがあります。

夏用のショートタイプ
冬用のミドルタイプ

ショートサイズを、同じ靴サイズのスニーカーと並べてみました。

「やわらかブーツ」と市販のスニーカー

脱ぎ着しやすいよう、内側にファスナーがついています。

内側のファスナー
開け閉めのようす

ミドルタイプもファスナー付きです。

内側のファスナー

冬用は内側にもウール生地を使用して、暖かい作りになっています。

ミドルタイプ(後ろから)

このデザインをベースに、オーダーを承ります。

◾️デザインシート

 洋裁の経験があれば、こちらを参考に作ってみてください。
(難易度★★★ 厚い素材の扱いやファスナー付けに慣れた方)
(デザインシートの商用利用はお控えください) 

「やわらかブーツ」はホームソーイングで制作するには難易度が高いので、ご希望があればstudio fukuへお気軽にお問い合わせください。

◾️オーダーのお問い合わせ

 studio fuku では「ブーツみたいな装具カバー」の製作を承ります。
ご紹介したものと同じ仕様のお仕立て代 参考価格 11,800円(税込)
 ※ お仕立て代のほか、材料費(約4,000円)、送料などがかかります。
 ※ デザイン、仕様、寸法などを変更する場合は、別途料金がかかります。 
写真でご紹介している見本を試着していただくことができます。
ご依頼のご相談、試着のご希望など、こちらからお気軽にご連絡ください。
(studio fukuのホームページに移動します)

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