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『聲の形』 感想

耳の聴こえない少女と耳を塞いだ少年の映画。

原作未読でしたが、すごく良かったです。

こういう作品の性質上、聴覚障害者が観ても感動が同じになるよう、丁寧に工夫された視覚の演出がいくつもあり、どれもとても良かったです。

また、agraphの音楽は繊細でシーンにマッチしていて素晴らしい仕事だ! と、ため息つきました。

キャラクターも全員が同じはっきりと立っていて全員に感情移入できるし、キチンと登場人物が事件を起こすので、一緒にハラハラしたり何とか解決できないだろうか? と、頭を悩ますこともできて気付けば随分ハマって観ていたため、ラスト、川で主人公がヒロインに伝えるセリフの素直さにボロボロと泣いてしまいキモいおっさん一丁上がり! 返品不可! でした。

あと、ネットの感想で幾つか見た、いじめをしていた人間が赦されるのは許さない、みたいな意見書いてた人は、たぶん情報だけ知って、この作品観ていないのだと思いました。

あ、あと、とある人物がずっと撮影していた写真の真意がわかるシーンで、家族はずっと苦しんでいるところを見ていたんだ、て一気にわかって鳥肌立つくらい泣いた。

美しく丁寧に作られたアニメーションと、魅力的なキャラクターのために目眩しされ、ある人物が、自殺をしようとまでどん底に落ち込んでいた、ことが伝わりづらく、そこは共感というよりも、後でそのことを知ってハッとし、心を抉られるような気持ちにさせられる。

本心を人に伝えることができない事と、理解しているつもりであっても、誰も他人とは全く同じような心にはなれないのだ、という、重いテーマが響きました。

だからこそ、ラストの台詞がとても救いになる。

#映画 #映画レビュー

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