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debt

ずっと好きでした。
成人式以来だから3年ぶりか、
あの時は特に話もしなかったな、東京に住んでいる友達とタバコの煙、燻らせて。

なんで別れたんだっけ?
まあ、方向性の違いと言ったところでしょうか?
でも、その後すごく険悪になりそのまま卒業して疎遠になっていった。

険悪になったんだっけ?覚えていないなぁ
そうか思い出した、文化祭か、


中学3年生の9月頃、体育館は夏の暑さを引きずり蒸し暑い。
窓は全て開放し、空気の循環を促す中で、
文化祭のリハーサルは行われた。

僕たちの役目は司会、仲良し3人組でわちゃわちゃ騒ぎながら、
バンドやダンス、コントなど、ステージの幕が閉まる間、
それぞれが舞台の上で表現する準備の時間をトークで繋ぐ。

かっこいいと思った。芸人さんみたい。

明日、全校生徒が見守る中でトークをするんだ、
音響や照明の不備がないように本番さながらマイクを持ちなんとなくそれっぽい話をする。

「お前金返せよ」
「任せろ、借金は10年以内に返すって決めているから」
「おせーよ」

気分が高揚する。身を削りみんなを笑顔にする。
みんな確かに笑っていた。

「お前彼女と最近どうなの?」
『いや、別れたんだよ!』

体育館の外で僕らのやりとりが耳に入ってしまった元彼女を除いて、




たまに無性に恋愛話をしたくなる時がある、
その時は決まって電話する友達がいる。

その娘はいつも教えを乞うスタンスをとるが、
3ヶ月に1度くらい、びっくりするような言葉を吐くから面白い。

今日も突然だった。
「何かで読んだのだけれど、面白い人は確かに魅力的、
でもそれより魅力的なのは、一緒にいて楽しい人だから」

電流が走った、しばらくうなっていた。

誰かを楽しませることは、時として誰かを傷つける側面を持つ。
なぜ芸人さんが魅力的か、それは、その人の話が面白く、楽しい気持ちになれるからだ。
一方で、彼らは傷つける側面を理解し、
きちんと、登場人物に公の場で話す了承を得たり、
アナザーストーリーとしてまた違った側面を
商品の体をとり、理解してもらおうと努力する。

浅はかな15歳の僕はただ芸人さんの佇まいのみ模倣し、
大切に思ってくれていた人を傷つけた。

今となってはいい思い出、なんて彼女は笑っていたけど
本当はどう思っているんだろう、
今、ようやく理解しました。僕が間違えていた。

またご飯いきましょう。
傷つけた分の借金、たくさん笑顔になっていただいて。
少しでも返済させてください。

借金は10年以内に返すって決めているから。

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