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小説版『アヤカシバナシ』 逆さま

小学校、高学年ころの話だったと思います。


心霊写真が爆発的に流行していました。

不謹慎な言い方ですけど大流行りでして、

遠足の写真が出来上がれば全員が霊を探すような状態。


そんなある日、クラスメイトの1人が私とAとBの3人にだけ

『放課後にちょっと見せたいものがある』と言ってきました。


そして放課後、教室に居残りをして数十分

私を含む4人だけになった。


見せたいものがあると言って来たCが周囲をきょろきょろし、

誰も居ない事を確認するとランドセルの小さなポケット部分のジッパーを開け、

写真を取り出した『これなんだけど』と言いながら。


Cの出した写真には老婆に抱かれる赤ん坊が写っていた。

『ここ』とCが指差した老婆の後ろ、少し開いたふすまの隙間に

青白い男の顔があったのです。


Cを真ん中にして左にA、右にBが並び、Cの真正面、

つまり写真を逆さまに見ているのが私。


AとBは『うわぁ!!!』と声を上げて怖がった。


ふすまの隙間から覗き込む男に3人は恐怖した。


そこで私は理解した・・・

逆さまから見ると、写真いっぱいに大きな女性の顔が写っている事に

3人は気づいていないんだな・・・・と。

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