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妖精猫、ケット・シーの王様日記

 ケット・シーは妖精猫の王様です。
王様たる者、日々勉強の毎日。尊敬される王は常に学び、周りを率いるのです。


 まずは魔法の勉強。妖精ですもの、しっかり魔法のことを理解していなければなりません。
分厚い魔導書もなんのその。
読んでは実践、読んでは実践を繰り返し、自分のモノにしていきます。

「この魔法陣をこうしてああして…ふむふむ…」

今は召喚魔法の勉強の真っ最中の様子。
使い魔召喚は魔法世界には必須の魔法の一つ。
王たる者、それくらい軽くこなしてもらわなければなりません。

 生まれた時からケット・シー。
生まれた時から王様のこの猫さんは勉強しながら王として振る舞い、すごします。毎日毎日やることは絶えません。

 魔法の勉強の次はパソコンの勉強。現代社会においてパソコンが使えない王は周りに笑われてしまいます。



 表計算ソフトもなんのその。
妖精猫の世界にも経済はあります。国の経済状況を把握し、市民のことを考えるのも王のお仕事。

「今年はどうやら国民の負担が大きいようですね。税を減らし、国民が平和に過ごせるようにしなくては。」

お付きの妖精猫に今年の税魚は昨年度の半分にすることを告げ、国民に知らせてもらいます。
妖精猫の世界では美味しい魚を納税するシステム。
妖精でも猫は猫。やっぱり皆、魚は大好きです。

 日中の仕事を終え、ケット・シーは夜の世界を徘徊します。
街の中にはたくさんの猫。普通の猫から妖精界に来た者もいれば、猫又になった者、普通の猫のままの者、たくさんの猫達がそこら中にいます。
ケット・シーは一人一人に「今困ってることはないか」「改善してほしいことはあるか」など聞いていきます。
もちろん全ての意見を取り入れられるわけではありません。
ですが、これも王の仕事。しっかり意見を聞いていきます。

 帰宅すると、街中で聞いた意見をノートに書き記していきます。
「暑くて過ごしにくい」
「魚がなかなかとれない」
「充実した猫生を送れる気がしない」
国民の不安は尽きません。
さて、どうしたものでしょうか。
ケット・シーは悩みます。

 悩みに悩んだ末、まずはできる範囲での環境改善を目標に立てました。
暑くてどうしようもない時のためにペストマスク医師にお願いして涼しくなる魔法の粉を発注しておきます。
なかなかとれない魚はアマビエ殿に連絡をして、海妖怪連盟から分けてもらえないか相談をしました。
お返しにと、ケット・シーに代々伝わる秘伝の粉のお裾分けを。
これにはペストマスク医師も、アマビエ殿も喜んでくれました。

 改善するところはまだまだたくさんありますが、ひとまずこれで少しはマシになってくれるだろうとケット・シーは一息つきます。
王になった歴が短くても王は王。市政を守るのは自分の勤め。
明日は今日よりも猫達が過ごしやすくなるように願いを込めて、ケット・シーは眠りにつきます。
 ケット・シーがもっと素敵な王様になるのはまた別のお話。

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