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第二十五話 住宅ローン③審査の前に

さて、住宅を購入したい、ローンを組みたいという段階になりました。誰でもどんなローンでも組めるのでしょうか。銀行は融資をする前にその人を審査し、きちんと返済してくれそうなのかを見極めます。普通は「事前審査」「本審査」の2段階の審査が行われます。事前審査では物件の契約前に金融機関が融資可能なのか、いくら融資できるのかをあらかじめ判断します。年収や年齢などの情報から審査します。

昨今、どんなに働き方に変化が出てこようとも、良い条件でローンを組める人は上場企業などの正社員です。長期にわたって安定して返済していける見通しがあるからです。そういった人からは銀行も借りて欲しいので、金利を低く設定して貸してくれるのです。

ですが、そういった条件でない人でもローンを組むことはできます。場合によっては金利を含めて選ぶこともできるでしょう。住宅ローンの比較ができるサイトを見てみるのも良いし、物件によっては不動産会社が提携しているローンもあります。

では、どんなローンがあるのか、銀行の特徴と借りる人の相性を見てみましょう。

住宅ローン選び

「ネット銀行」
大企業の役員や会社員、士族、医者、公務員など、返済能力が高い人がターゲットなので、審査は厳しい。貸し倒れない人に絞っているから、金利は低い。ただし、ネットなのでリフォームや今の家を売りながら買うなど、細かくて難しいことは対応できない。

「メガバンク」
基本的には正社員がメイン。銀行は正社員が好きで、来月辞めるかもしれないのに今正社員であれば良い。将来会社を辞めて独立を計画している人は、辞める前に住宅を購入した方が良い場合も多い。

「地方銀行」
地方銀行というのは、地域を営業基盤とする銀行で、地元の中小企業の取引先になることが多い。社長さんなら取引先やメインバンクになっていれば、相談するのも良い。契約社員や派遣社員にも貸してくれる場合もある。

「信用金庫、信用組合」
銀行は利益を出すことを目的に経営するが、信用金庫は”地域の繁栄”を目的とした社会的使命を持っていて、地域の中小企業、住民等を主な融資先とする。自営業、法人役員等の人は地元の信用金庫が融資してくれることも多い。ただし、借りやすい分、貸し倒れリスクも高いので、金利は高くなる傾向がある。

「フラット35」
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローン。変動金利と固定金利の選択ができず、今のところ金利は高めの設定になってしまう。保証人が不要、繰上げ返済手数料無料などのメリットはあるが、上記のどの金融機関からの融資も受けられなかった時の最後の砦的なスタンスで考えると良い。


また、物件によってもローンの選び方は変わってきます。”新築マンションは提携ローンが充実している”、”築古やリフォーム、旧耐震基準などには融資しづらい銀行がある”、”注文住宅の場合、土地の資金と上物の資金を用意するための「つなぎ融資」に対応した銀行でなければならない”、など、さまざまです。

ほとんどの人は物件を決めてから急いでローンを組むのでじっくり検討する時間がありません。もしかすると不動産業者にとって都合の良い、自分にとっては条件の悪いローンに決まることだってあるかもしれません。できることなら自分はどこからいくらくらい借りられそうなのか、「事前審査」をして見当をつけておくのも賢いやり方かもしれません。

いくら借りられるのか

銀行は、この人は毎月きちんと長年にわたって返済する能力があるのかをチェックします。融資額の目安としては年収の6〜7倍くらいまで。重要ポイントは「返済比率」です。収入に対してローンの占める割合がどのくらいなのか。当然低い方が審査に通りやすいのです。

35%以下ならまずは問題ないでしょう。40%ともなると厳しいかもしれません。例えば月収40万円の35%で14万円。ただ、年収が高い人ほど借りやすいので40%を超えるケースもありえます。

住宅ローンだけではなく、車や時計などのローンの残債もカウントされます。「総量規制」といって、年収の1/3を超えるローン契約ができない規制があります。返済能力を超える負債を抱えないように設けられています。

また、借りる人の年齢もおおいに関わってきます。若ければこれから昇給のチャンスもあるし、長期ローンを組む時間があります。長期になると毎月の返済比率が抑えられるので、借入額を増やせるのです。

借入額を増やす方法としては、「ペアローン」というものもあります。夫婦で収入合算をしてローンを組むやり方です。ただし、銀行側にはどちらか一方が育児、介護などで収入が減ってしまった時に回収できるのかどうかというリスクがあります。

こんな人は要注意

⚠️無担保ローンを借りている人
カードローンや消費者金融など。銀行から見ればそういったところからお金を借りている人はお金に困っている人、住宅ローンは貸したくないと言う事です。もし組んでしまっていたら、審査の3ヶ月前までに完済してください。

なぜ3ヶ月前なのかというと、借入審査には「個人信用情報機関」という、信用情報の収集と提供を行う機関が利用されるのですが、審査直前に完済してもデータベースのアップロードに1〜2ヶ月かかるからです。もし申し込みに「借入0円」と書いたのにデータベースが更新されていなかったら、「虚偽」となり、アウトです。

⚠️延滞
上記のローンをはじめ、クレジットカードやその他の「過去の借金」が完済していたとしても、「延滞」があるとブラックリストに載ってしまい、信用は得られません。少なくとも過去5〜7年は延滞のないようにしてください。

住宅ローン一括比較サイト、モゲチェック代表の塩澤さんのお話を聞いてなるほどと思ったのは、スマホのうっかり延滞。通話料金などと一緒にスマホ本体の代金の割賦もついていることがありますが、うっかり残高不足で引き落としされなかった時も借金の延滞と見られてしまいます。たった数千円の延滞で住宅ローンが組めないなどという事態になってしまいます。

⚠️キャッシング、リボ払い、分割払い
もうなんとなく感じがつかめてきたかと思いますが、クレジットカードや銀行のキャッシング、リボ払いや分割払いもお金が足りていない人と判断されますので極力控えましょう。先ほどお話しした「返済比率」を侵してしまいます。

住宅ローンの審査は、返済の最中にもし金利が上がったとしても返済する余力があるかどうか見るために、実際に借りる金利よりも少し高めの金利で計算します。返済比率がギリギリのところで考えていると危ないですね。

ちなみに、クレジットカードやキャッシングの”一括払い”は返済比率には組み込まれません。

⚠️将来の借金の可能性
銀行やクレジットカードのキャッシング、利用はしていなくても、「キャッシング枠」がついている場合、枠の1/5が年間返済額として加算されてしまいます。例えば30万円の枠だと年6万円、月5千円借りられることになります。使っていない銀行やクレジットカードがいくつもある人は注意が必要でしょう。

また、銀行の「定期預金」に残高があると、普通預金はある程度マイナスまで引き落とせます。それも金利が発生していると借金していることになるのです。

⚠️不動産投資ローン
不動産投資ローンは、自分が住むための住宅ローンより延滞率、デフォルト率が非常に高いと言われています。借りる人が単身者の場合、その後結婚してその物件を不動産投資に回すのではないかと懸念されることがあります。もし結婚の予定があるのなら、結婚してからローンを組んだほうが良いでしょう。

余談ですが、ローンを組むために結婚するという人もいます。そこまでしてもローンを組みたいのでしょうね。


いかがでしたか?私は何度もローン審査の厳しさを体感していて、今日の内容には体験談がいくつも含まれています。でもそれで世の中の仕組みを知る良い経験となりました。
以上、今回は住宅ローンを借りたいけれど、借りられるのか、借りるにはどうすればいいのかをお話ししました。次回もお楽しみに!


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