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マレーシア、サバ州のケニンガウには日本人がつくった道がある

ボルネオ島、サバ州にケニンガウという町があります。
ロンプラを読んでも、時間がなかったらスキップしてもいい、といった書き方をされているくらい、特になにもありません。
サバ州南部の主要ターミナル地点といった場所です。

そこになんと、日本人が作った道がありました。

Yamazaki Road

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この名前の標識はありませんでした。
道の名はJalan Tambunan - Keningauです。
google mapで見ると一目瞭然!
真っ直ぐな道が出てきます。

タンブナン-ケニンガウの道。そのまんまですね。
Jalanはマレー語で道のことです。通りの名前に使われ、住所はJalan◯◯と振り分けられることが多いです。

サバにしては珍しい、真っ直ぐに続く道が、このケニンガウにありました。

道の歴史

第二次世界大戦中の1942年から4年間にわたり、ボルネオ島は日本統治されていました。
その時にケニンガウ地区の長だったのが、山崎劒ニ氏でした。

彼が行った事業の1つが、この山崎ロードです。
ケニンガウは標高も高く、サバは曲がりくねった道が多い中で、16キロに渡る直線の道を作ったのです。
この道は更に標高高いタンブナンへと続く道です。

非常用の滑走路を目的としたようですが、物資の運搬に大きく貢献しました。
周辺のテノムやタンブナンよりも、タンブナンが開けているのはこの道のお陰かもしれませんね。
実際、まっ平ではなかったので滑走路になり得たのかどうかは疑問です。

北ボルネオの歴史

実際に走った感想

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拡大したので画像が荒いですが、真っ直ぐな山道です。
正直、知らなかったらそのまま走りすぎてしまったかも知れません。

真っ直ぐな道を久しく走っていないので、なんだか変な感じでした。

サバのあちこち行きましたが、確かにサバでこれだけ真っ直ぐな道はないと思います。

スピードを出す車が多い、という人のブログを見たので心して行きましたが、スピードに慣れてしまったのか、さほどでもありませんでしたよ。

ケニンガウ市街地から少し離れた場所と、Apin Apinというカンポンを結んでいます。
このアピンアピンは、サバのハートフルソング「オリジナルサバハン」という曲に出てきます。

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Saya ini original Sabahan.
Mantad Kampung nuntuan Apin-Apin.

nuntuan Apin-Apinというのは村の名前なのですが、これはドゥスン語なのだそうです。
どうりでいくら調べても出てこないはずです。

私たちはnuntuan Apin-Apin出身です。

という意味なのだそうですよ。

アピ(火)事件の前まで、コタキナバルはアピアピという名の町でした。

歌詞の意味が、このアピに関係しているのか?
アピンアピンにどんな意味があるのか?
ここで謎は全て解けました!

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Keningauの名前も登場してます。

KENINGAU BAH!(笑)
このBahはサバなまりです。

西の人たちが中国語の了(正しくはleですがlahと書きますね)を語尾につけるのと同様、サバではbahが着きます。
もちろん、leも使いますけどね。

OK→OK bah

いい?→いいよ〜

Sudah → Sudah bah

終わった?(完了した?)→やったよ〜
食べた?→食べたよ〜

そんな感じです。

余談ですが、ケニンガウはコタキナバルとラジオの周波数が違いました。
周波数を変えて耳に飛び込んだのが、なんとOriginal Sabahanだったんですよ。

私、日本生まれ日本育ちの純日本人なのですが、この曲大好きなんです。
サバハン(の一部ですが)がサバが大好き!ってのがつまってます。

ケニンガウで暮らす人たち

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ケニンガウに入って目に飛び込んできたのが写真のラウンドアバウトでした。

これは、ドゥスン族のワキッドと呼ばれる竹製の背負い籠です。
ドゥスン族が多いのは知っていましたが、人の顔を見るとコタキナバルとは全く違う国のようでした。
なんというか、血が混ざっていない印象でした。
もちろん、混血も進んでいるのでしょうけどね。
西マレーシアにいるような感じを受けました。

kedaiのおばちゃんのお話です。
このおばちゃんはタワウ出身のチャイニーズだそうです。
お母さんは香港人なのだとか。
旦那さんは半島から来たチャイニーズ。
タワウ出身だから、色が黒くチャイニーズに見られない、と言っていました。

ドゥスンはもちろん、ムルッ族、オランマラユ(半島とは違う)インド系の人もコタキナバルより多い気がします。
それぞれ特徴を教えてくれて、あそこの人は、、、と説明してくれました。

コタキナバルの住んでいるコンドの守衛のおじさんが、オランマラユでした。
でも、どう見ても顔つきはドゥスンなんですよ。
てっきりドゥスンだと思っていたら、プアサ(断食)をしていて、
あれ?おじさん何族なの?
という話に。
でも、ケニンガウでは違いがハッキリ分かります。
たまたま私が見た人がそうだったのかも知れませんが。

ムルッ族は、ケニンガウから40分ほどの場所にあるテノムに多く住む民族ですが、ケニンガウのムルッ族はテノムのムルッとは違うのだそうです。

これは意外でした。
顔を見たら、何族か見分けがつくのです。
そういう意味で、混血はコタキナバルほど進んでいないのではないかと推測します。

サバってこんなところ、という自分の中にあった定義が覆された感じです。
ケニンガウも暮らしてみたい町になりました。
まだまだ知らない発見がありそうです。

ケニンガウの牛乳

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我が家がサバでずっと買っているが、
eco-yapのfresh milkです。

クンダサンにあるdesa牧場の牛乳などもあるのですけどね。
スーパーでオーガニックの食品をカゴにたくさん入れている西洋人が皆飼っている牛乳なので、信用して買ってます。

値段は店にもよりますが、RM6.2〜Rm7程度。日本円で1リットル180〜200円前後です。
下手したら牛乳1本でkedaiなら1食食べられちゃいますね。
社名がecoなのもポイントです。

ここに入るには、オフィスでpassを受け取らないとならないのだそうです。

牧場入口と街中のオフィス10kmを二往復しましたが、日曜日のオフィスは閉まっており、passの発行は出来ないとのことで断念しました。

ちなみに、牧場ゲートに住んで管理している家族は、英語で聞いてもバリバリのマレー語で返答が帰ってきます。
オフィススタッフは、英語で大丈夫でした。
中国語、マレー語もいけると思います。事前にオフィスに確認しておくのがおすすめですよ。
そんな訳で、写真はゲート外からとった牧場。

**タンブナンのタムー **

曜日が合わず、これは行けませんでした。
毎週木曜日がタンブナンのタムーです。
タムーは市の事ですが、テンポラリーな市を指します。
毎日出ている市はパサールと呼びます。
この辺りの主要都市だし、コタキナバルでは買えないものがたくさん出ているのではないでしょうか。
木曜日にケニンガウに行ったら必見ですよ。

Keningau Oath Stone

州政府事務所などがある、いわゆる官庁の地域にある石碑です。
これは、サバがマラユ連邦、サラワク と合併してマレーシアとなった時の条件を記載した石碑です。
サバハンを守るためには必須ですね。

サバ州の保護地区クロッカーレンジ

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長い尾根が続くクロッカーレンジはイノボンからタンブナン、ケニンガウ、テノムまで続いています。
そして、ケニンガウにありるのが、クロッカーレンジ国立公園です。
トレッキング、ハイキングをするならば事欠きません。
キナバル山やコタキナバルと一味違う植物や昆虫に出会えます。
キナバル国立公園よりもジャングル度は高いですよ。
ここも、貴重なボルネオ自然の宝庫です。

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自然ってすごいな、と改めて思います。
体の3倍は足が長いクモや。見たことないくやい大きな抜け殻。
蝶の種類は多いボルネオですが、特にレンジに入ると近くで見られます。

鳥の鳴き声にも耳を済ませて見てください。

あ、ヒルがいるので長ズボン、靴下、靴は必須ですよ。
ここのヒルは小さいので、靴に張り付いてないか時々確認が必要です。
知らない間に靴の中に潜り込んでました。

トレッキングコースは2036m。
しかし、これを突き進んでしまうと、全く違う場所に出てしまいます。
クロッカーレンジ事務所に戻りたい場合は、折り返しがおすすめです。

そのまま突き進んだ為、1時間程度のトレッキングが3時間みっちりコースになりました。

展示館や、ケニンガウが一望できるレンジ内のレストランも見られたので良かったのですが。
最終的には、レンジを出て車道を30分以上歩いて戻りました。

どれが正規ルートなんでしょうね。

ケニンガウに行くには

レンタカーか長距離バスになります。コタキナバルまでのミニバンも走っていて、これが最安でしょう。
以前、ケニンガウからコタキナバルまでミニバンに乗った時は、1人RM40程度でした。

夜ごはんを食べたkedaiのおばちゃんの話では、11月12月は日本人観光客が多く来るのだとか。
あそこ(私たちが泊まったホテル)にみんな泊まるのよ。
とのこと。
クロッカーレンジのツアーもありそうですね。

また、コタキナバルからテノムに行く場合、ケニンガウで乗り換えとなるので、2箇所合わせて回るのもおすすめです。
ケニンガウのバスターミナルはそれなりに大きく、どこにでも行ける感じでした。
ただし、待ち時間が長くても時間を潰せる場所はあまりありません。
お洒落なカフェとは無縁です。その辺りは、サバの地方なので心得ておきましょう。

車で行く場合、パパールを抜け海沿いから入るルートと、タンブナンを経由するルートがあります。
パパール経由だと2時間弱、タンブナン経由だと約3時間の所要時間です。
タンブナンからコタキナバルに行く道には、ラフレシアセンターやキパンディバタフライパークなどもあるので、どちらか一方をタンブナン経由にしてもいいですね。
いずれも山道なので、運転には注意してください。


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