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中国におけるタブーを知っておこう

映画「オッペンハイマー」と「バービー」のプロモーションが、原爆をネタにしているとして絶賛炎上中ですね。やはり原爆は日本人にとって大きなタブーです。

燃え盛るタイムラインを見ながら、「中国で同じようなことしたら、とんでもないことになるだろうなあ」と思いました。日本ではこうしたことを理由に公開中止にまではならないでしょうが、中国の場合はおそらくそうはいきません。下手すれば会社ごと商売はできなくなり、罰金まで取られるでしょう。そうした実例も多々あります。

https://twitter.com/Kiki_brero/status/1685886367124041728より

そしてふと、「中国でこうした炎上案件のトリガーになる事柄には、どんなものがあるだろう」と思い至りました。中国にとっての「地雷」はなんなのか、多くの人が知っておいたほうがいいと思うのです。

そんなわけで今日は、中国での炎上案件を実例付きで紹介しながら、中国でタブー視されていることは何かについて学んでみましょう、

台湾・香港を国として扱う

領土の問題は、中国についてもっともセンシティブな話題の一つです。

日本とも尖閣諸島問題やインドのカシミール地方の問題など、領土の帰属問題を抱える土地はさまざまありますが、なかでも台湾や香港は中国の人々にとって「明らかに中国の領土」であり、多くの人が反応しやすい部分です。これらの地域を独立した国として扱うことはタブー中のタブーと言っていいでしょう。

日本がらみの例で言えば、過去に大手VTuber事務所であるホロライブに所属するVTuberの桐生ココさんの件があります。

彼女が配信においてYouTubeチャンネルのアナリティクスを紹介するにあたって台湾について触れた際、それが中国のユーザーに「台湾を国として扱った」とみなされました(配信は中国の動画サイトのビリビリでも行われていたようです)。その後、彼女は中国のネットユーザーの攻撃を受けることになりました。

結果として桐生ココさんは中国での活動を諦めざるを得ず、最終的には事務所であるホロライブ自体が中国市場から撤退したようです。VTuberは日本が大きく先行しており、「地雷」を踏まなければ大きな市場を手にできていたであろうジャンルであるだけに、中国市場の難しさが偲ばれます。

つり目

そのほか、中国人へのステレオタイプとしてみなされ、攻撃されがちなのが「つり目」です。

欧米人がアジア人のマネとして目をつり上げるポーズをするなど、差別的なステレオタイプの文脈で知られるつり目ですが、中国ではこれにかかる炎上案件が定期的に起きています。同様に、一重の切長の小さな目自体が対象になることもあります。

なにかと攻撃対象にされやすい(上述の台湾の問題でもやらかしている)クリスチャン・ディオールは、この件だけで2回も炎上しています。ここまでくると高度な炎上マーケティングのような気もしますが、ともかくタブーとわかっているのに、何度も繰り返されるのがこのつり目問題です。このへんは日本における原爆問題と似ているかもしれません(日本もアジア圏ですが、つり目問題にここまでヒステリックな反応は起きないように思います)。

「敏感日」に目立ったことをする

具体的に何を扱うか以外にも、そのタイミングによって「地雷」となってしまうこともあります。これは特に日本の過去の戦争にまつわるもので、中国に進出する日本の企業や個人こそがもっとも気をつけなければならない部分です。

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